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お父さんがゆく異世界旅物語  作者: はなまる
第三章 海辺の町ラーザ

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第四話 ロレンとディナー

 ハルと二人、大急ぎで海から戻ると、宿屋のソファでロレンが本を読んでいた。息を切らして入ってきた俺たちに気付き、顔を上げて立ち上がる。


「ロレン、待たせる、すまん」


 頭を下げると「大丈夫、それほど待っていませんよ」と笑ってくれた。


「海、きれいで、遊びすぎ、ぼくがわるい」


 ハルがわたわたと説明する。


「コレ、おみやげ、ロレン」と、薄い緑色の小さな貝殻を見せる。


「目の色、同じ、きれい」と、恥ずかしそうに手渡す。


「私の目の色ですか?」


 ハルがコクンと頷く。


 ロレンはソファに手を突いてフルフルと震えている。


 俺は思った。


 ああ、落ちたな、と。


「ありがとう、ハル! とても嬉しいです。さあ、美味おいしいものを食べに行きましょう! 何でも好きなものを食べて下さい!」


 ロレン店長がハルの手を取って歩き出す。うむ、流石さすがだハル! おっさんキラーの名は伊達だてじゃないな!


▽△▽


 ラーザの海の幸は、どれもとても美味うまかった。


 赤い皮の魚は身がホロホロと柔らかく、酸っぱくてピリっと後味の辛いタレと良く合った。貝を殻ごと炊き込んだ米料理は、コックリと味が濃く、シャキシャキの葉野菜で包んで食べると、また違う味わいがある。


 甲殻類っぽい小ぶりな何かは、毒々しい紫色にビビったが、噛むとプツリと歯応えがあり、トロリとクリーミーな何かが口いっぱいに広がった。


『何か』について詳細を聞くのはやめておいた。知らない方が良いこともある。


 ロレンはハルが美味しそうに食べるのを、ニコニコ眺めながら、次々に料理を勧めてくれた。そしてハルがトイレに立ったタイミングで、真面目な顔になり、


「ヒロト、教会へは行ったのですか?」と、聞いてきた。


「奥様の足取りは?」


「全然」


 俺がそう答えるとしばらく考え事をして、


「うちのキャラバンは、まだ他にも海へのルートを持っています。また参加して下さい」


 と言った。難しい言い回しもあったが、おおむね理解出来た。願っても無い提案だ。


 俺は「お世話になります」と頭を下げた。


「あなたは自分で思っているより、ずっと有能ですよ」


 うむ。褒められているような気がするが。ロレンの話し方は、丁寧な分難しい。ハルが単語帳ごとトイレに行ってしまったので、調べることもできない。


「キャラバンでヒロトが、役に立っているという意味です」


 俺が理解できずにいることに気付いたのか、簡単な言葉で話してくれた。


 ハルがトイレから戻ると、デザートが運ばれてきた。もうおなかいっぱいで食べられないと言って、お土産用に包んでもらった。


 店を出て、二人でご馳走ちそうさまと言うと「美味しいものばかりだったと言う意味ですか? なら良かった」と言われた。


 うむ。この挨拶あいさつも通じないらしい。なかなか異世界語マスターへの道は遠いな。


 ハルとロレンは、また手をつないで、歌をうたいながら宿屋までの道を歩いた。


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