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お父さんがゆく異世界旅物語  作者: はなまる
第六章 砂漠の旅とパラシュ

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閑話 しりとり

 あくびの背中に揺られながら、ハルと異世界語しりとりをする。「ん」ではじまる言葉が、この世界には結構あるので、思いつかなかったら負けのルールだ。


 これは馬車の中で暇つぶしに始めた遊びで、ハザンやトプルも飛び入り参加したりした。二人は助っ人扱いで、詰まった時のブレーン役なのに、ハザンは思いつかないと寝たふりする。まぁ仕方ない。筋肉の人だから。




「ソンポル(雨)」


「るーるー、ルギリット(緑豆)」


「とーとー、トポイ(サラサスーンの羽虫)」


「イザラガザラ(忙しい、手が放せない)」


「らーらー、ラーザ(地名。海辺の街)」


 無意識のうちに「ん」で終わる言葉を避けてしまうのは、日本語ルールの弊害へいがいだな。


「おとーさん、アトリューン、キャーー」


 アトリューンは「見て見て!」みたいなニュアンスだ。


 ハル、頭の文字は「あ」じゃなくて「ざ」だぞと言いかけて、ハルの指差した方を見る。


 ミーアキャットのような小動物が、ひょっこりと穴から顔を出している。しばらくすると穴から出て、スンスンと空気の匂いを嗅ぐように伸び上がり後ろ足で立つ。途端に胴がぐーんと伸びる。


 おい! ずいぶん伸びたな!


 気持ち悪いと可愛いのギリギリの長さだ。ハルも、


「キャルカ(可愛い)?」と疑問形になっている。


 お父さん、割とキャルカかも。


 ちなみにこの世界には「very」にあたる言葉がない。じゃあ、どうするのかと言うと、繰り返す。


 例えば、とっても可愛いなら「キャルカ、キャルカ」。辛抱堪しんぼうたまらんほど可愛いなら「キャルカ、キャルカ、キャルカ」。声の調子と表現力によって度合いを伝える。なかなか面白い。何度繰り返すも、本人の自由らしい。全くもって面白い。


 もの凄く好きな人に、思いの丈をぶつける場合など、どうなるのか見てみたいものだ。


 さて、キャルカな動物を見かけた場合、鑑賞するか獲物とするか、なかなか悩みどころだ。手持ちの食材は、まあ足りている。こういう時はスマホの動物図鑑(続々更新中)を調べる。


「ネズミの仲間らしいな。『ニューラモーノ』だって。肉が臭くてあんまり美味くないってさ」


「そうなんだ。じゃあ狩らなくて良いよね?」


 ハルの思考回路が、どんどん即物的になっているような気がする。


 オマエ、ニク、ウマイ、食う! みたいな……。あながち間違いでもないので、良いのだろうか?


 キャルカでも、キャルカじゃなくても、俺たちは狩りをする。うまい動物や植物が見つかれば嬉しいし、美味いメシを食えば、楽しくて幸せな気持ちになる。


 この世界にも、絶滅危惧種ぜつめつきぐしゅの動物がいるんだろうか? 俺たちが狩って、美味しく食べた動物が、最後の一頭なんて事があるかも知れない。俺が知らないだけで。


 知っていたら食わないか? と聞かれたら、腹が減っていたら食うかも知れんと応える。俺も、ずいぶん地球にいた頃とは、考え方が変わってきたものだ。


 ああ、そうだ! ここにいるな。


 俺とハル、そしてナナミ。ハナがこの世界に同化した今、生存確認出来ている個体は、たった三体のみ。とびきりの絶滅危惧種だ。種族名は恐らく『耳なし』。


 特に保護対象には、指定されていない。


 そんな事を考えていると、ニューラモーノは、親子で連れ立って岩かげに消えて行った。美味いメシを食って、楽しく過ごすのだろう。


 俺はなんとなく、ニューラモーノの長い背中に元気でやれよ、と心の中で声をかけた。


 お互いにな、と。


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