始まりの始まり
沈んでいく。
強いて言えば、泡立つ音が少しうるさい。
目を閉じ。
息を止め、自重のままに沈んでいく。
このまま___死・・ん?
顔面に何か張り付いているような?
いや、掴まれている?
僕は目を開けた。
「ぶばぼばぼぼぼぼ!」
金髪の変なのがいた。
(誰だコイツ)
【おいおい、どうしたチミィ!なんでこんなとこいるんよ?】
頭に言葉が響く。
(は?頭に声が・・・)
【そうだ!我輩が!この金髪ツルペタスーパー女神がいま貴様の頭の中に声を届けている!】
(・・まじかよ・・・。)
【とりあえず、岸に上がるぞぞ!】
ぐいっと、一瞬だった。
いつの間にか僕は陸にいた。
(は?!まじかよ・・)
【ヨォし、これでええじゃろ!んで、お前さんはなんで川の中におったんじゃ?】
歯をむき出しに笑顔の金髪幼女が聞いてくる。
「そりゃあ、かくもしかじかで・・・」
【なるほどな!自殺しようとしていたと!】
(何故わかる?!)
【まぁ、でもなぁ若人よ自殺は勿体無いぞぇ?何せお主・・・異世界へ行けるのじゃぞ?】
「異世界・・?」
【そうじゃ、お主らのクラス、貴様以外はもう送ってしもうた】
(嘘だろ・・そんなバカなこと・・)
【ガチじゃ、ほれ】
金髪幼女がおもむろに空を撫でると、空間に何かが浮かび始める。
「え、いや、うお、まじか・・」
【ほぉ、ちょうどお偉いさん達との謁見じゃな】
霞みが多少かかってはいるが、知った顔がちらほら見える。
そもそも、何もなかった空間に突如映像が浮かぶなんて意味がわからない。
【それは、ほれ神様パワー的な?】
(心も読まんでくれ・・)
僕はこの金髪が神様であることを認めることにした。
【やっとかえ、ほなお前さん異世界いってみたいかの?】
「いってみたい・・・」
【ふふふ、素直じゃな!では、お前さんを異世界へ送る!】
「はやっ!」
【即断即決が我輩の座右の銘だからな!】
フハハと、笑いながら金髪幼女が手のひらを僕に向ける。
【なぁーに、一瞬じゃ】
手のひらから、小さな光が溢れ始める。
【達者でな小童っ!】
パンッ!
光が破裂した。
一瞬で視界を光が覆い尽くす。
そして___
【餞別じゃ、目にもの見せちゃれ】
そんな声を最後に、僕は意識を失った。