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思いはひとつ

作者: DAIKI

 思いはひとつ


テレビをつける。

いつも通りのニュースが流れる。

「昨日、サボテン街に、甘いスイーツのお店がオープンしました。初日から大勢の人が立ちより、久しぶりに書店街がにぎわったそうです。」

「次に、夜空の観察より、少しずつ連れている星があると一般の研究員より情報が入りました。三十日間の星空の写真を重ねたものがこちらです。」

「確かに少しずつずれていますね。なぜずれているのかは、研究結果が分かり次第、報告をするとのことでした」

「次に・・・」

プツンとテレビを切る。

「あまり変わったことはないか~」



私は、〇〇村の〇〇学校に通っている女子高校生。

家は、村が全部見渡せる一番高い山の上にあるの。昔ながらの家だけど、とても大きくて屋敷みたいな家なんだぁ~。

でも、普段はめんどくさいことばかり、家にいると掃除を手伝わなければならない。

掃除機じゃないんだよ。雑巾がけ・・・。毎日疲れちゃう。

というわけで、そんなところに住んでいる私の名は、トキ。

不思議な家系だけど、時間を表す名前を付けるのが伝統みたい。

その伝統の由来は、時代の懸け橋となる役割があるからなんだって。

あまり信じていないけどね。

今は『春』。私の家から学校までは坂道一本、とても長いけど、今の時期は桜の木でいっぱい。山のてっぺんからグルグル回って山を下って、下り終わったらすぐ学校につく。でも、帰りはずーと登り坂。山の下に住みたいと思ったことは数えきれないほどあるよ。

そんな毎日を過ごしていた。


新年度を迎えた。

「おはようトキ、私たちもう3年生だよ」

「おはようオト、3年生って進学校いけるか心配だよ。もう余裕言っていられないし」

オトは、私のいとこ!同い年なんだ。いつも明るくておっちょこちょいなところがポイント!

「なにしけてんの、あぁ~大学って憧れるぅ~」

「てか、オトはやりたいことあるの?」

「ギクッ!」

「ほら~楽しみとか言ってないで自分のやりたいこと見つけないと~」

「は~い」

意外と正直、そんなところが好きなのかも。

「おっはよう!」

バン!

「イッタぁ~、何してんの?」

「ワリ~ワリー、手がすべったのや!」

「も~タクミのいじわる」

ず~っと小さい時から変わらないのがいたずら好きのタクミ。物心つく前から一緒に居たみたいだけど、あまり覚えてない。でも、どんな時も明るくしてくれるから、頼もしいところもある。

「おい、なにわらってんや?気持ち悪いで」

「べ~」

「おっ出たな「べ~」、昔から変わらんな。そういえば朝のニュース見たか?」

「何のニュース?」

「星や、星が少しずつ移動しているニュースや」

「あぁ~見たけど、それがどうしたの?」

「宇宙って憧れるよなぁ~、俺も天文学者にでもなろうかな~」

「あんた、プロ野球選手なるんじゃなかったの?」

「この、からかいやがって!3年間ずっと補欠や!」

いつも楽しい毎日だった。登校中も学校も。


でも、おばあちゃんが急に倒れた。

病院に搬送されて、もう長くないって言われた。数日でおばあちゃんは退院し、自宅に戻ってきた。

寝たきり状態のおばあちゃんの看病は、私がやった。だって私はおばあちゃんっ子だから。両親は家にいないんだ。最近は家のしきたりなどを拒む人が多いけど、私の両親もそれを拒んだの。

「おばあちゃん、大丈夫?」

「大丈夫だよ。でも、もうすぐ、私たちの出番だよ」

「出番ってなんの?」

「時が来ればわかる。トキ!」

「何?」

「私の名前を知っているかい?」

「うん、フジでしょ。」

「あんたは、時間を意味するトキだよね。私のフジはカタカナで書いていたが本当は不時と書くの、あなたの先祖には、正の時を示す名前と不の時を示す名前があったの。そして、私はその100人目。」

「でも、それになんの意味があるの?」

「まぁ~落ち着きなさい。先祖代々、不の時を示す人がこの世を去ったあとに、人類の危機が訪れると言われていてね。50人目に日本列島を飲み込むほどの天災が起きたの。そして、私は100人目。わかるかい?」

「大きな危機が来るってこと?」

「そうじゃ、それを止めるのは私と反対の名前のトキかもしれないね」

信じられないような話だけど、おばあちゃんはなぜかうれしそうだった。

その日はたくさん話して疲れたのか、長い間寝ていた。

 

テレビをつける。

「星の状況が一変したもようです。動いていたと言われていた星は、また動かなくなったそうです。引き続き経過を見ていきたいと思います。」

最近すこし話題になっていた星のニュース。関心を持つ人がおおいからなのかもしれない。でも、私にとってはなんの意味もないものだとこの時は思っていた。

「トキ」

どこかから声が聞こえた。

「トキ」

「おばあちゃん?」

おばあちゃんのところに行ってみるが、まだ寝ている。そこから立ち去ろうとした。

「トキ、おばちゃんだよ。よく聞いて欲しいの、もしかすつとあの星は、あなたにとてつもない影響を与えるかもしれない。私は、もう長くない。だから、あの星について調べてみなさい。」

おばあちゃんは寝ていた。誰が喋りかけたのかは分からなかったが、何となく星について調べることにした。

 

図書館

「星についての本はないかな?」

天体についての本棚に着いた。タイトルを順番に見ていった。

「はぁ~星座については書いてあるけどよくわからない」

図書館はまた来ることにした。


学校の昼休み

「ねえねえ、あのニュースで言っていた星なんだけど」

「なんやトキ、急に宇宙にあこがれたんか?」

「ちがうよ、なんか気になっちゃってさ」

「なんか理由があるの?」(オト)

「うん、おばあちゃんがあんたに影響ある星だとか言ってさ、眠りながら」

「はぁ?頭にこぶないか?」とわざと頭を見るタクミ。

「もう、打ってないよ~。そんなことより、ちょっと知っていること教えてよ」

「あの星はなぁ~星座にはない星みたいなんや、いつ現れたかわからんみたいだけど、新しい星じゃないかって噂や!」

「へ~意外と知っているじゃない」

「怪しいうわさも流れているで、軌道を変えて地球に向かう隕石やって」

「もう、適当なこと言わないで」

「まぁ~そんなこと考えるやつもおるってことや」

「それにしても、全然解明できないよ」

「それより、今日新しいカフェいかねぇか?サボテン街に出来たやつ!」

「いいね!トキも行くでしょ」

「うん」

「なら、授業終わったら集合や」

 

学校のチャイムが鳴った。

3人はカフェで落ち合った。タクミは先について店の前に並んでいた

「おつかれさん」

「おそかったなぁ~残念ながら混んでいるな、待つか?」

 

30分後

「やっと座れた、えっと、この一番人気のやつください。三つで!」

「疲れたぁ~もう6時だよ、あまり遅いと心配されちゃうよ。急いで食べて帰らないと。」

テレビが急にニュースに変わる。

「速報です。例の星の情報が入りました。星は後100年後に地球に衝突する可能性のある隕石だそうです。」

「まじか!俺が言ったことが本当になっとるやないかい」

「予知能力でも芽生えたんじゃないの?」

テレビ「地球への衝突は1億分の1と言われています。」

「このニュースで星の情報は最後だろうね、情報が分かればもう報道しないもんね」

そして、ニュースはその日で終わった。

「ただいま~」

「お姉ちゃん遅いよ、家の事大変だったんだから」

そうそう、言い忘れていたね。私には妹がいて、コトという名前。

二人で頑張って生活しているんだ。

「ごめんね、おばあちゃんは?」

「起きて空を眺めているよ」

「えっ?」

おばあちゃんのいるえんがわに走っていた。

「おばあちゃん大丈夫なの?」

「あぁトキか、大丈夫だよ。それよりあの星を見てごらん。よく見ると、赤や黄色や緑に光っているのが分かるだろ?」

その星をじっと見ていた。

「たしかに、色がキラキラ変わっているように見える」

「あれは、すごいスピードで移動しているから他の星や光に影響しているのよ」

「おばあちゃん、何か知って」

バタ!

おばあちゃんが倒れた。

救急車を呼んで搬送されたが、状況は深刻だった。

医者が出てきて、首を横に振った。「今夜が最後だろう、そばにいてあげなさい」

おばあちゃんのそばにいることにした。

何も話しかけられなかった。ただ近くに居たかった。

0時を回ろうとしていたころ、おばあちゃんが口を開いた。

「時期、来る。あんたたちは、重大な仕事が待っているよ」

最後に聞く言葉としては、不思議な気持ちだった。何かを託された感じがした。

コトと私は、その晩は、おばあちゃんと最後の夜を過ごした。

次の日、お通夜には、多くの人が来てくれた。おばあちゃんは、寿命だったから、お通夜は、送る会として盛り上がった。お母さんとお父さんも来た。

「あんたら二人を残してこの家には置いとけないわ、お父さんか私のところに来ない?」

トキは黙って首を横に振った。

「半年たったら必ずどちらかの方に来るのよ。未成年だけで生活することはできないの」

トキは頭を下げたまま、聞いていた。

その晩、おばあちゃんを昔から知っている人の話が聞けた。

「フジさんは、不思議な力を持った人だ。こんな言い伝えがある。人間は、人類滅亡の危機を救うための人を自ら作ったという。それがフジさんだと思っていたんだけどな?そんな簡単に滅亡はしないか!」

「不思議な力かぁ~そうかもしれないなぁ~」

お通夜も終わり片付けでドタバタしていた。

次の日、お葬式が行われた。

挨拶は私がすることにした。

「おばあちゃんは、私を小さい頃か育ててくれました。両親がこの家を出てから、ずっと落ち込んでいた私を、元気になるまでずっと励ましてくれた。おばちゃんは正直もので嘘をついたこともありません。それなのに私は、嘘ばっかりついて、おばちゃんを困らせていました。でも、最後におばあちゃんは、嘘つくトキもオトも、落ち込んでいるときも、元気な時も、全部楽しかったと言ってくれました。亡くなってからでは遅いかもしれませんが、おばあちゃんありがとう」


簡単だけど、私にとっては、お礼を言えなかったことが一番つらかった。


葬式も終わり、埋葬も終わった。一息ついて、おばちゃんの遺品整理をしていた。タンスを開けたとき、ボトッ!と何かが落ちた。

封筒みたいなものだ。それをそっと開けて読んでみた。


トキ。これを見るときはきっと私は、この世にはいないでしょう。もう、そんなに長くないのは知っていたわ。でも、トキやコトには、伝えることができなかった。いいかい、あなた達は、人類に欠かせない人物と言ったかもしれないが、重く考えてはいかんよ。普通に生きて、結婚して、子供も授かって、幸せに生きてくれることを願っている。


おばあちゃんは、年齢を嘘ついていました。心配かけさせたくなかったから、私は105歳なんだよ。これを聞けば落ち着くかな?私は幸せだったよ。だから、あなた達も幸せになりなさい。本当は話してあげたいけど、ごめんね。あなた達の前では涙は見せたくなかったの。でも、本当に楽しくて幸せな人生だったわ。

ありがとう。

                              おばあちゃんより



涙があふれてきた。手紙を胸元でぎゅっと抱いて言葉をだした。

「必ず幸せになる。おばあちゃんに幸せな私たちを見せてあげるね。」


す~と胸が軽くなった。モヤモヤが取れた感じがした。

その日以来、目の前にあることに集中するようになった。しきたりやニュースにとらわれて、他のことをするのをやめた。


学校の昼休み

「な~楽しいことないかぁ~?」

「タクミは暇人なの?進学校のことであたまいっぱいだよ。」

「進学校っていっても俺は、私立やしなぁ~、頭いらんとこに行くのが俺や!」

「いいね、頭いらん人は!」

「おい!自分で自分のことをバカにしてもいいけど、他人にされるのはイラっとくるな」

「何よ、本当のことでしょ!」

「まあまあ、二人ともやめてよ。そんなことより面白いことしない?」

「なんや面白いことって?」

「着いてきて!」


学校を出て、トキの家のある山の奥へ歩いて行った。

「なんやこんな気味の悪いところに連れてきて」

「怖いん?」

「なっ、怖ないわ!ただ、なんか妙なところやってこと」

「ねぇ、学校抜け出していいの?」

「トキ?今さら?それ言うなら学校出る前に言わない?いいの!もう受験おわっているし、少しぐらい付き合いなさいよ!」

「じゃ~ん、ここかなり古い学校です」

「めちゃくちゃ怖いやないか!」

「ここは、変わった学校だったみたいなのよ、予言や占いとかが専門だったとか!多くの人を犠牲にした事件があったみたいで、それ以来、学校は閉鎖された。」

「やめようよ、怖いよ」

「よし!俺が守ってやる」

「足震えているよ・・・。」

「当たり前やないか、お化けでるかもしれんぞ」

「ちょっと待って」時が何かを発見する。

「ねぇこれ見て!」

「どうした?」

「どれどれ」

「これって、今ニュースになっている星のことじゃない。」

「まさか、これ書かれたのは何千年前だよ。」

「予測していなのかも」

「もう、帰ろうぜ、怖くなってきた。」

トキは、何かを感じた。でも、何が何だか分からなかった。

「トキ!いくよ」

「あっ、うん」と廃校になった校舎を見ながら、二人の方へ歩いていった。


次の日の学校

「おい、そこの3人、こっちにこい」

「やべ~昨日のこと先生に怒られるな」

「オトが悪いんのやで

「何よその言い方、みんなで行ったんだし。」

「お前たち、昨日の午後どこに行っていたんだ。」

「え~っと、トキが悩みがあるって言ってきて、学校では話せないから別の場所に言って相談したいと言ってきたんです。」


え~~~~~~なんで私のせいにするの?

心で叫んでいた。


「ごめんなさい」

「まぁ~事情があるなら、連絡ぐらいしろよ。あまりひどいと進学校へ連絡するぞ」

「すみませんでした。」3人で頭を下げて、声に出した。


「も~~~~なんで急に私のせいにしたの?」と頭を上げると、二人が走って逃げる後ろ姿が見えた。

トキは、必死に追いかけた。

笑いが止まらなかった。こんな青春も今年で終わりか~っと思いながら。


楽しい一日が終わって、家に帰り着く。

「ただいま~・・・・。」

「ただいまぁ~~~~~~~~~~~~~。」

「あれ?誰もいないのかな?コト?」

見渡すが誰もいない。ベランダに近づくと、「あっお姉ちゃん返ってきた。」

「お姉ちゃんこっち、こっち」と妹に呼ばれ近くに言った。

「あの空見て」

空を見上げると、不思議な光景が見えた。

「月が二つ?・・・えぇ~~~~~~~~~?どうなっているの?」

「なんかの現象じゃないかな?鏡みたいになっているとか?」

「でも、違う星にも見えるけど。」

急いで部屋に行ってテレビをつけた。

「何らかの星が急に現れました。地球に急接近していると発表されています。」

「距離は、不明ですが、月の近くではないかと言われています。」

「しかし、こんなことがありえるのでしょうか?」

「とても、考えにくいですが、現実に起きていることは確かです。」

次の日、世間は騒いでいた。


朝テレビをつけると、どのチャンネルも同じだった。

総理大臣が何かを話していた。

「日本国民の皆さん、先日から、大きな星が空に見えますが、正しい情報が出るまでは、焦らないでください。」

「地球への衝突などのうわさが出ていますが、正式発表がありまでは、いつもと同じように過ごしてください。」

「急な、国民の動きで、社会の安全が損なわれる可能性があります。」


「ニュースですごいこといっているね」

「お姉ちゃん、あの星衝突したらどうする?」

「どうするって、何もできないよ。その時は、みんな一緒だよ。」

「そんなことより、学校行ってくるね」

オトは、登校中には、空に星がないことに気付いた。


学校の昼休み

「なんで昼間は、星ないのかね?」

「あぁ~月と近いとか噂なっていたけど、違うみたいやな~。他の星と同じで動かないみたいやで」

「まぁ~星のことはどうでもいいじゃない。それより見てこれ」

「なんやこの気持ち悪いの?」

「はぁ?男にはわからんのよ」

「ねぇトキはどう思う?」

オトが見せてきたのは、ペットだった。

「私は・・・イグアナはちょっと・・。」

「なんだ、トキも嫌いか~」

「嫌いじゃないけど・・。」

「爬虫類好きな奴が珍しいわ」

「まぁ~かわいいという人とそうでない人に分かれるのが多いいのが爬虫類じゃない?」

「あまり、フォローになってないよ」

トキは頭を手でこすって、ベロを出して照れていた。

「それより、進学が不安」

「相変わらずトキは心配性だね。何とかなるよ」

「話変わるけどさ、少し気になっていることあんねん。」

「なに?」

「あの、古い校舎のことや、いろいろ調べようと思って調べたんだけど、あの学校のことはどの文献にも載っていないんのや!」

「えぇ~なんか怖いね」

「そんでな、俺が男たち連れていったんやが、ただの山の奥の平地になっとった。」

「よし、信じられないから、放課後見に行こう!トキも行くでしょ?」

「うん」

トキは、それ以外にもあの校舎に不思議なことを感じていた。


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