1.2
参田は契約の時のことを、与えられた個室のソファーに仰向けにながら思い出す。
あの夢のような情景は参田の脳裏に深く焼きついていた。
部屋の中にはベットと机そして大きめのタンス、廊下に続くドアの前には大きな姿見の鏡が置いてある。
この個室は名をもらった後、いくつかの契約をあと、RFに迎え入れられた。
ーーーーコンコンコンコン
参田は部屋の前にいる誰かに起こされた
「参田、夜食の準備ができたわ。下の階の食堂にすぐに来なさい。」
扉越しに使用人の【セラ・V・D・R】が声をかけ、すぐさま廊下に気配を消す。
使用人は以前、包帯を取ってくれた黒髪のメイドだ。
参田は、ソファーから起き上がり着替えを軽く済ませ、
姿見で格好を気にした後、食堂に向かう。
食堂はどうやらこの建物の1階の恥にあるらしい。
階段を駆け降り、食堂と思われる扉を見つけ開ける。
ーーR館 食堂ーー
参田が扉を開けると目の前に広がっていたのは、
横に細長い白のクロスをかけられたテーブルにローズブレイド家の住人と思われる人達が数人、
椅子に座り主様を待っている用だ。
「参田、あなたはここに座って」
使用人に座る場所を指示される。
参田は少し頭を下げ、
住人の数を心の中で数え始め、
ーー1、2、3、4、………ーー
メイドを合わせると6人が座って待っている。
昨日、名を授けた少女はどこにもいない。
そして、ひとりの背の高いコック帽をかぶった男が廊下の方から扉を開ける。
すると、皆一斉に立ち上がり視線を扉の方に向ける。
参田も、つい成り行きて立ち上がる。
コックが1人の白髪の少年を食堂の中に通す。
少年は海兵の軍服のような白い衣装を身に纏い、テーブルの上座に鎮座する。
その後に続きコック以外は皆席に座り直す。
ん、こいつもこの館の主人なのか?
そして、上座に座る少年が話し始める。
「皆集まっているな、今夜も北刻の時だ。夜食を始めよう。
の前に、今回、皆に新しい家族の紹介をする。」
そして、男は参田の方に手首を見せるように参田を指し、皆の視線を集めた。
「使用人」
「はい、こちら今日からローズブレイド様と契約を交わした。
【サンタ・Y・A・R】です。」
簡単な紹介を使用人がするとそれに合わせ頭を少し下げる。
「ローズブレイド様、この男は何ができるんだ。」
席の左隣の男が、軍服に聞く。
それを少し遮るように俺は答えた。
「いえ、俺は職業というものに就いたことがありません。学生だったので」
「 他には」
軍 服が俺に話をふり、
俺は、色々住んでいた場所などつまらない話をする。
「もう、よいぞ。今の話でだいたいお前のことは分かった」
1人の白髪の庭師が声をかける。
参田は少し落ち着きふとさっき疑問に思ったことを
「1つ聴きたいことがあるのですが、
昨日、契約を交わしたローズブレイド様はどちらにいるのですか。
お礼が言いたくて。」
すると、食堂にいる全員がクスクスと体を震わせる。
軍服の男が使用人を呼び出し、その場で服のベルトを緩め外し始める。
ーーーーーなっ!
参田は思わず声が出てしまう。
ズボン、パンツ、上半身の軍服を少年の体から溶け流れるように衣服が足元に脱ぎ落ちて行 く。
幼く、か細い少年の裸体が奇妙な配色で食堂に映っていた。
俺は顔を少し赤く染めながら、手を自分の目の前に出し極力裸を見ないようにした。
「サンタ。ちゃんと観なさい。
これは、これからする仕事で
必要になる知識。
少年の秘密を1つ教えてあげよう。」
使用人が昨日少女が着ていた服(丈の短い赤い西洋ドレス)を少年に手渡す。
ーーーシュルル、シュルル
と、布と布の擦れる音を響かせながら、
女性のドレスに少年が脚を通し、
女性ドレスの着方を初めて目の当たりにする。
コルセットもつけないままドレスは着れるのだろうか。
使用人が後ろの紐を簡単に結び止め着替え終える。
すると、少年の両目が深紅になり、少年の皮膚が妖しい光を放つ。
その怪しい光から、みるみるうちにシルエットが変わっていく様子が分かる。
そして光が消えると、そこには昨日いた金髪の少女が目の前に現れる。
「ふふ、あなた男なのに少年の体に興味がお有り?」
昨日聞いた、少女の声から今の俺にとって最悪なセリフが耳を過ぎる。
俺は今までの反応した中で1番のウブな反応を見せてしまったらしい。
「サンタ。私が女の時は外の世界では【ヴィレッタ】
男の姿をしている時は【ヴィオン】と名乗っているわ」
男にも女にもなれるとかこの主人様は何者なんだ。
そのあと、その場で、食堂にいる住人1人1人軽い自己紹介をしてもらう。
料理がテーブルに並び始め、夜会が終わり食事に写ろうとする。