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ジェットのぼうけん  作者: ジョーカー
中章:激震魔大陸
76/131

全力の拮抗戦

「貴様は……そうか、ジェットと一緒に居たあの男だな?」

 アルトリウスは、ジョーの事を思い出したようだ。そして、疑問が浮かんだ。

「モルドレッドは、どうした?」

「知るか。」

 即答と同時に、無造作に顔面に足刀した。不意打ちのような一撃に、彼女は揺らぐ。

「ッ……!!?」

「よくも俺の友人吹っ飛ばしたな。簡単に済むと思うなよ……!!」

 そのまま猛ダッシュし、殴りかかった。しかしその拳は避けられ、逆に斬撃を入れられてしまう。

「づっ!!?」

 しかし、切り落とされはしなかった。軽く、切り傷が入っただけだった。

「っ……!?」

 両者とも、驚く。

 ジョーは、あの拳を相手にカウンターされた事に。アルトリウスは、彼の腕の強靭さに。

「ヂャアアッ!!!」

 めげずに接近し、拳を振るう。それはスウェイバックで避けられ、また腕が斬られた。感覚的には、(ほッそ)い棒で思いっきり打たれたかのような感覚だ。

「オラァアッ!!」

 勢いは()だ止まらず。跳躍し、顔面を蹴った。直撃し、アルトリウスを揺るがせた。

「ぬぐ……!?」

「オラァアアアッッッ!!!」

 拳に全力を込め、顔面に向けて思い切り拳を振り下ろす。

「くっ!!」

 それを剣でガードする。しかし衝撃は凄まじく、足を地に擦らせながら後退りした。

「おおぉおおおおッッッ!!!!」

 そのアルトリウスに向け、猛ダッシュでタックルした。タックルは彼女を捉え、建物をなぎ倒しながら進む。

「たぁああっ!!」

「っぐ!!?」

 しかしアルトリウスはジョーを抑え、思いっきりぶん投げた。彼はそこらの建物に激突する。それも崩落し、瓦礫に埋もれた。

「が、がはっ……!!」

「ハァアアッッ!!」

 アルトリウスは跳び上がり、ジョーの腹に飛び蹴りした。直撃し、彼は思いっきり蹴り飛ばされた。

「ぐぁあああああッッッ!!!」

 建物やら何やらを突き抜けながら、吹っ飛んでいく。爆煙がキャメロットの外にまで吹き飛んだ。

「……ふん。」

 ジョーを片付けた事を確信し、彼女は踵を返す。

 一方彼は、まだ生きていた。

「ぐっ……!!」

 キャメロットの縁を掴み、何とか耐えていた。そこに力を込め、キャメロットに飛び戻った。

「おぉおおおおおッッッ!!!」

 ジョーは咆哮し、全ての力を解放した。彼から爆炎が広がり、辺りのモノを焼き焦がした。

「……!!?」

 アルトリウスは振り返り、ジョーの方を見る。彼は目を殺意に染め、邪悪なエネルギーを溢れさせながら、一歩一歩彼女に歩み寄っていた。

「まだまだ……ここからだぁあああッッッ!!!」

 そう怒号し、殴り掛かる。彼女は冷静に剣を持ち直し、ジョーの一撃を止めた。それを切り口に、凄まじい攻防が開始された。ジョーからは嵐のように乱暴な攻撃が飛びアルトリウスはそれを華麗に避けながらの剣撃が飛ぶ。ドカドカとぶつかり合う、二人……その一方のジョーが、突如飛び退いた。

「逃げる気かッッ!」

 アルトリウスは、逃げるジョーを追うために腰を落とす。次の瞬間、その脳天に踵落としが入った。

「!!?」

 それで彼女は叩き伏せられる。攻撃の主は、ジョーの横に飛んだ。

「ふん、どうやら今戦えるのは我々だけか。」

「ローレンス。」

 そう、ローレンスが飛んできたのだ。

「レシアは?」

「知らぬ。ただ、増援には向かえないほど傷を負ってるとか。」

「チッ。まぁいい……俺達のどっちかが、奴を倒せば万事解決なんだからよ。」

 二人は並び、アルトリウスの方へ向いた。彼女は起き上がり、何事も無かったかのように体のホコリを払う。

「チッ、腹立つぜ……どうやら、微塵も効いてねぇらしいな。」

「ああ……機械なのだ。ダメージなど、あるかどうか……」

「貴様ら。」

 会話する二人に、彼女が大きめの声をかける。

「二人で協力した所で、私を倒せるとでも?」

 その言葉は、二人の癇癪に触れた。

「あァ!?こんな奴と協力なんぞ、死んでもゴメンだ!!」

 ジョーは拳をギュウウウッと握り、構えた。

「我もだ。我は我のやりたいようにやらせてもらうぞ。」

 ローレンスはそう言いながら仮面を取り、どこかに投げる。そして、構えた。

「……愚かな。」

 アルトリウスが剣を構え直した、次の瞬間だった。二人は彼女に突進し、一撃を放った。

「!!?」

 それを剣で受け止めるも、ぶっ飛ばされてしまう。二人はそれを追いかけ、猛スピードで猛攻した。

「オラオラオラオラオラオラ……!!」

「はぁああああああ……!!!」

 嵐のように迫り来る、斬撃と拳。それを、剣一本で対応し続ける。しかし嵐のような二人の猛攻は、彼女の防御(ブロック)を着実に削っていた。

「はぁあっ!!」

 たまらず、猛攻を振り切るように剣を薙ぎ払う。それを、ローレンスは倒れるように避け、ジョーは飛び上がって避けた。

「ヒャッハァアッ!!」

「せいやぁああッ!!」

 ジョーから脳天へ踵落とし、ローレンスから顎に向けての掌底が、かまされた。

「かはっ……!!?」

「せりゃああっ!!」

 ローレンスが、揺らぐアルトリウスの腹に拳をつけ、無寸勁する。その衝撃が背中へ突き抜け、彼女はぶっ飛んだ。

「ぐっふ……!!」

「どらぁあああッッッ!!!」

 ジョーが飛び上がり、渾身の踵落としを放つ。それは避けられ、標的を逃したそれは地面を粉砕した。

「そこだっ!!」

「オラァアッ!!」

 剣と拳が、ぶつかり合う。そして、とてつもない衝撃を巻き起こした。その衝撃を前に、ジョーは揺らいでしまった。

「ぐっ……!!」

「せぇいっ!!」

 揺らいだ彼の顔に、足刀が入れられた。

「ぐ……!!おらぁあああッッッ!!!」

 拳に神力を込め、無造作に振る。そこから拳の形したエネルギーが飛び、アルトリウスの頬に掠った。

「ふん。」

 顔色一つ変えずに、ジョーの胸を切り上げた。刃が深々と入り、出血してしまった。

「がはっ!?」

「はっ!」

 そのままジョーを蹴り飛ばし、今度はローレンスの方へ向いた。

「はぁあああっ!!」

 斬撃魔法を纏いし手刀を両手に、アルトリウスへ攻め込む。そして、超スピードで彼女に猛攻した。

「はぁあああああっ!!」

「おそいっ!!」

 しかし、彼の速度は彼女の世界に追いつかず。逆に手に何度も斬撃されてしまった。

「ぐぅっ……!!ならば、小細工を弄するまで!!」

 そう言いながら、エネルギー波を放つ。

 アルトリウスはそれを切り弾き、ローレンスに右手を向けた。しかし、そこに彼の姿はなかった。

「なにっ!?」

「せいやぁあっ!!」

 ローレンスは高速移動でアルトリウスの背後に回り込み、背中に寸勁し、彼女をぶっ飛ばした。

「がはっ!!?」

「しゃああああっ!!!」

 その場で手刀を何度も振り、斬撃を飛ばす。それは全て彼女に直撃し、真紅の液体が飛び散った。

「……ふん、よく出来てるな。ソレは血か?それとも燃料か?」

 彼がそう言ってる間に、巨大なエネルギー波が迫ってきた。

「なにっ!?」

 それを前に、腕をクロスして地に踏ん張る。そして、それに直撃した。

「くそっ!!」

 爆煙を払い、アルトリウスの方を向き直す。次の瞬間、顔面に両足蹴りが入った。

「ぐぁああっ!!」

 ローレンスは遠方にぶっ飛ぶ。そこから、何か走ってくる影があった。

「まだまだぁあああッッッ!!!」

 入れ替わるように、ジョーが来たのだ。拳を振りかぶり、アルトリウスに殴りかかった。

「はぁあっ!!」

「ふんっ!」

 拳を腕でガードし、剣を振るう。彼はその剣を見切って、足払いした。

「はっ!」

 それを跳び避け、こめかみに後ろ廻し蹴りする。とてつもない衝撃が、頭を直接打ち抜いた。

「ぐぁああっ……!!?」

「はぁああっ!!吹き飛べ!!」

 アルトリウスの勝利の剣(エクスカリバー)が、魔力の光を放つ。それは、竜巻を噴射し、ジョーを吹き飛ばした。

「ぐぅううッッッ!!」

 吹き飛んでいる途中で足を踏ん張り、止まった。丁度その横に、ローレンスが居た。

「ハァッ……ハァッ……!!」

「はぁっ……はぁっ……!!」

 二人は肩で息をしながら、アルトリウスに向いていた。対する彼女は、顔色ひとつ変えずに、二人を見ていた。

「ど、どうなってやがる……!!?」

「相当ダメージを与えているハズ……クソッ!」

「当然だ……私が貴様ら人間ごときに、敵う相手とでも思ったのか?」

 アルトリウスはそう言いながら不敵に笑い、剣の柄の底を両手持ちし、刃を地面に立てた。

「私の頭部には、戦闘データ学習インターフェイス搭載されている。戦闘を進めれば進めるほど、私は貴様らの動きを学習し、戦闘の精度を上げていく。更に私の胸部には遥か永久なる炉心(アヴァロンリアクター)が搭載されている。」

「あァ?」

 聞き慣れない単語を聞き、二人は首を傾げる。アルトリウスはそんな彼らを嘲笑した。

「永久エネルギー炉だ。この炉心により、私は永遠に戦い続ける事が出来るのだ……!!」

「んだと……!!?」

「なるほど……道理で、途中から攻撃が通用しなくなった訳だ……!」

 アルトリウスは腰を落として眼光を輝かせ、突進する。その二人を、剣で薙ぎ払った。

「ぐぁあっ!!?」

「がはぁあっ!!」

 二人はぶっ飛ばされるが、途中で踏ん張る。ジョーの眼前に、既に彼女が迫っていた。

「ふんっ!!」

 剣が振り下ろされる。その剣を、力を込めた腕で止めた。

「オラァアッ!!」

 そして、もう一方の腕で彼女の腹を殴る。しかしその腹は腹筋が固まっており、嫌でも通用しなかったことが実感出来た。

「なん……だと……!!?」

「軽いな、少年よ……拳打というものは──」

 次の瞬間、アルトリウスは右の拳でジョーの腹を打った。その威力は彼の腹筋を超え、内臓を響かせた。

「──こういうものだ。」

「ガハァアッ……!!?」

 ジョーは吐血し、目を見開く。腹を押さえて、うずくまってしまった。

「ふんっ!!」

 アルトリウスはそんな彼の横腹を、容赦なく蹴り上げる。

「ガハァアッ!?」

 ジョーは吐血し、アルトリウスも頬に返り血を浴びながら蹴り続けた。

「止めろぉおおおっ!!!」

 そこにローレンスが、飛び蹴りしにかかった。しかし、彼女はその足首を掴んで、蹴りを止めた。

「ハァアアッッ!!」

 そのまま、ジョーに思いっきり叩きつけた。

「ガハァアアァッ!!?」

「ごはぁああ……!!!」

 二人は揃って吐血し、重なる。その二人を、彼女は纏めて蹴り飛ばした。

「ぐふぅうっ!!」

「がぁあっ!!」

 二人は何とか立ち上がり、構えた。しかし、表情は既にグロッキー。既に、この時点で勝者と敗者が決定していたのだった──

勝利の剣よ(エクスカリバー)力を解放せよ(リミットオフ)。」

 彼女の黄金の剣が、魔力の輝きを放つ。その刃が炎上しながらも冷気を放ち、雷鳴を纏わせながら暴風を巻き起こしていた。

「アルティメット・フォース・ファースト……!!!」

 次の瞬間、アルトリウスの姿が消えた。それと同時に、二人の体に無数の斬撃が走った。

「ぐぁあああああああッッッ!!!?」

「ーーーーーッッッ!!!?」

 何をされてるのかすら、理解不能。ただ二人の認識には、傷つけられているという情報しかなかった。

 無数の斬撃を叩き込んだ彼女は、彼らの背後に現れる。

「残念だったな。」

 彼女は右手を向け、エネルギーを充填させる。それがとてつもない光を放った瞬間、とてつもなく巨大なエネルギー波が二人を飲み込んだ。

「うわぁあああああーーーッッッ!!!」

「くっ……南無三ッッッ!!!」

 エネルギー波は大爆発し、キャメロットの城下町の半分を消し飛ばしてしまった。更地になったキャメロットの中心に、ぽつんと立つ。

「が……がはっ……!!」

「くぅ……!!」

 二人は、この場に倒れ込んでいた。しかし、体の神力も魔力も、綺麗に霧散していた。しかし、彼らの闘志は未だ消えず。

「……む。まだ原型があるのか。」

「ぐ……ぐぐ……ぐぅう……!!」

「これで……終わるかァアッ!!」

 二人は何とか立ち上がる。しかし、とても戦闘を続行できる状況ではなかった。

「……ならば、全てを終わらせてやろう。この戦いの全てを……!!」

 アルトリウスは飛び上がって距離を離し、二人に右手を向け、全力を解放した。全力のエネルギーが波動し、とてつもない旋風が巻き起こる。

「ぐぐぅうッッッ!!?」

「な……!!?」

 二人は吹き飛ばされそうになりながら、地に踏ん張る。

 エネルギーが彼女の右手に凝縮され、超高密度のエネルギーボールがその手に収まる。それが、勢いよく発射された。

「クソがァァァ!!!」

「はぁああっ!!!」

 ジョーは両手に炎を纏って、手を合わせる。そして両手を突き出し、獄炎のエネルギー波を放った。

 ローレンスは両手に魔力と神力を詰め込み、腕をクロスしてから、思いっきり突き出す。それで、エネルギー波を放った。

 二つのエネルギー波は一つの巨大なエネルギー波となり、彼女のエネルギーボールとぶつかり合った。

「ふふん……」

 次の瞬間、エネルギーボールの方が巨大に膨張し、二人のエネルギー波を消し飛ばした。

「そんなッッ!!?」

「おい、ウソだろ……!!?」

 驚愕する二人に、容赦なくエネルギーボールは迫る。遂に、すぐそこにまで迫ってきた。

 二人は、この距離での回避は不可能と見た。受け止める……気にも、なれない。そうして、嫌でも自分達の敗北を確信したのだった……

「……くそぉおおおッッッ!!!」

「無念……!!!」

 覚悟を決め、目を瞑る。

 これで、終わった──

「おぉおおおおおッッッ!!!」

 彼らの背後から、怒号が聞こえる。聞き覚えのある声だ。振り向く前に、彼は二人の目の前に来て、飛んだ。

「しゃおらぁあああああッッッ!!!」

 エネルギーボールを、何度もぶん殴る。すると、そのエネルギーボールにヒビが入り、脆くなる。

「だっしゃああッッッ!!!」

 そして回し蹴りして、エネルギーボールを破壊したのだった。

「……何っ!!?」

 アルトリウスは、その光景を前に驚愕した。

 一方二人は、胸を撫で下ろしながら笑った。

「……遅すぎだぜ……!!」

「よ、ようやく来てくれたのか……ジェット。」

 二人の前に立った背中……それが振り返り、笑顔を向けた。

「おまたせ!」

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