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ジェットのぼうけん  作者: ジョーカー
前章:勇者進撃
21/131

森にて

エルフの女王、クローディナを倒したジェット。

勝ち名乗りを上げると共に、エルフ族の軍勢が揺らいだ。

「じ、女王様がやられた……!?」

「そんな……!!」

司令塔を無くしたエルフ達は、たちまち体勢を崩してしまう。

ついには大軍の勢いが止まってしまった……

「……そろそろ、終わる頃か。」

ジェットが座り込みながら、戦いの様子を見る。

その背後では、クローディナが血眼になっていた。

「はぁーっ……はぁーっ……!!」

腕に力を振り絞り、使い捨てたボロボロの矢を拾って、矢じりに置く。

そして、ジェットの背中に狙いを定めた。

「ぐ……!!」

この目標なら、背中から入った矢は胸を貫通する……

「これで終わりだ、勇者……!!」

今まさに、矢を撃とうとした時だった。

その矢に斬撃が入り、バラバラになった。

「!!」

「往生際の悪い女だ。」

ローレンスがクローディナの顔を覗きながら、そう言う。

「ーーー!!!」

「……」

憤怒する彼女の眼前で指パッチンし、背を向けて歩く。

「因果応報。」

ローレンスがそう言った瞬間、クローディナは細切れになった。

バラバラになった肉片が四散しながら転がり、血溜まりが広がった……

「女王様が殺られた!!」

「退避だ!!全員退避ーっ!!」

劣勢を確信したエルフ族は、退却した。

これで、もうこの村に襲いかかることは無いだろう。

「……や、やったぞ!勝ったのだ!!我々が!!」

「やったーっ!!」

「村を守ったぞーっ!!」

ダークエルフの村の戦士達は、勝ち名乗りを上げる。

たちまち歓喜の雰囲気が溢れて、この場を包んだ……

「……誰だか知らないけど、助けられちまったな。」

ジェットはそう言って、フッと笑う。

「ありがとな……」

振り返り、礼を言おうとした時……

既に、ローレンスの姿はなかった。

「……」

暴れるだけ暴れて、どっか行ってしまった……

何だったのだろう、あの戦士は……

「……」

ジェットは立ち上がって、村の方へ歩き出す。

歓声に満ち溢れた声が彼を迎え、勝利を祝った……


「……」

戦いに参加していた忍者風の男、ローレンス。

その戦いが終わると同時に、すぐさま離れていた。

焦り気味の、早足の歩きで。

仮面で隠れているとはいえ、顔からは焦りのようなものが覗ける。

この世界の問題などそっちのけで、焦っているのだ。

「全く、世界がこんな時だというのにどこへ行ったのだ……」

独り言を言いながら、彼は歩き続ける。

友を探すために、歩き続けているのだ。

言うほど急いではないが、そこまで焦っていない訳でもない。

微妙な感情を胸に、ローレンスはローレンスの旅路を進んだのだった……


「もう行ってしまうのか?」

村長が、ジェットに声をかける。

「ああ……」

彼はダークエルフ達に傷を全て癒してもらい、全快していた。

肩の傷もすっかり治っており、肩を回して手をグーパーさせていた。

「こうしている間にも、魔王側は動いてんだからな。のんびりしちゃいられねぇ。」

グッと拳を握りながら、彼は勇者らしくそう言った。

「それで、次はシクスパークって所に行きたいんだけどさ。どうすればいい?」

「む、シクスパークか……」

村長が、頭を抱える。

「どうした?なんか嫌な事でも?」

「む、むぅ……シクスパークは、森を抜けて貰う必要があるのだ。だから、残党のエルフが……」

「ああー……」

エルフ軍は、全滅させた訳ではない。

逃げる奴を追うほど暇ではないので、逃がしていたが……

戦わざるを得ないというなら、そうするしかない。

「あー、めんどくせぇな……でも、行かなきゃならねぇなら行くしかねぇんだ。」

「お、おう……」

ジェットは準備を終え、立ち上がった。

肩を回し、剣を携え、ぴょんぴょんと跳躍する。

「万全だ……そんじゃあ、俺は行くぜ。」

「うむ。気をつけるのだぞ……!」

万全の状態で、この村から出ようとする。

村では人間やダークエルフの子供たちが、この村のために戦った勇者に手を振っていた。

「ありがとーお兄ちゃーん!」

「また来てねー!」

「……」

振り向きもせず、手を振る。

そして、次の目的地へ進むために、この村から発っていった……


旅路を進み、森の前……

「……」

木々が生い茂る、綺麗な森だった。

シクスパークに向かうには、この森を抜ける必要があるとか無いとか。

森を抜けたら抜けたで、またちょっと進む必要があるというのがなんとも。

「よっしゃ、いくぜ!」

ジェットは一人、森へと入った。

エルフ達によって道は整備されており、ちゃんと進むべき方角が分かる。

この道を進むのみだが……そんな単純な事で通れるほど、ここは甘くはなかった。

「……!」

風を切る音が聞こえ、すぐさまバックステップする。

すると、さっき居たところに矢が突き刺さった。

「……やっぱそんな甘くないか。」

周囲の木々から、敵意を剥き出しにしたエルフ達が姿を現す。

「おのれ、邪悪な勇者め……!」

「女王様を殺すで飽き足らず、この森を穢すか……!」

「待てよエルフ。俺はここを通りてぇだけだ。出来れば無駄な殺生はしたくねぇ。」

説得を試みるが、既に矢が眼前に来ていた。

それをキャッチし、止める。

「たわけ、人間が……!!」

「せめて、女王様の仇をとってくれる!」

エルフ達は弓を構え、矢を引く。

ジェットはそれを見て、ため息を吐いた。

「聞く耳持たねぇなら、殺す他ねぇな。」

「殺されるのは貴様だ!!死ねぇ!!」

こちらに向かって、一斉に矢が放たれる。

「はっ!!」

すぐさま剣を抜いて、その場を薙ぎ払った。

剣圧が矢を吹き飛ばし、逆にエルフ達に突き刺さる。

「ぐぁああっ!!」

「くっ!矢は無駄かっ!!ならば、これはどうだ!?」

敵の一体が、杖を持ってジェットに突進する。

「はぁあっ!」

至近距離で雷を放つが、それは避けられる。

「なっ!?」

そのエルフの両腕を、切り落とした。

「ーっ!!?」

「おらぁあっ!」

腹を剣で突き刺し、走った。

「こっちに来るぞっ!!」

「くそっ!」

魔法が、こちらに集中砲火される。

さっき突き刺したエルフを盾に、敵の群れへ走った。

「よしっ!!」

剣から手を離し、跳んでエルフの一体の顔面を蹴る。

「っぐぁっ!?」

「しゃああっ!!」

更に胸に後ろ回し蹴りを叩き込んで、蹴り飛ばした。

すぐさま剣を取りに、走る。

その目の前に、エルフが立ちはだかった。

いや、背後からも迫っている。

「させんぞ……!!」

「邪魔ぁあっ!!」

ジェットの拳がエルフの腹に叩き込まれ、貫通した。

「っごはぁあっ!!?」

「よいせっ!!」

アッパーして持ち上げ、背後から迫ってきたもう一体もろとも叩き潰す。

腹から手を抜いて、剣を取ろうとした……

「はっ!」

剣が風魔法で、遠くへ飛ばされてしまった。

「あっ!」

「吹き飛べぇ!!」

暴風が、ジェットに襲いかかる。

吹っ飛びそうになるが、何とか踏ん張っていた。

「ちっ……!バリヤーっ!!」

魔力を練り、氷のバリヤーを生成する。

バリヤーが包んだのはジェットではなく、暴風を巻き起こしてるエルフだった。

「んなっ!?」

「零度っ!」

氷のバリヤーに包まれ、風魔法が中で反射する。

更に中は絶対零度なり、それに包まれたまま暴風を受けたエルフは、ミキサーに入れられたかのように切り刻まれた。

「そん中、風魔法は厳禁だぜ。覚えときな。」

エルフの攻撃に対応しながら、ジェットは言う。

今は、剣を持った相手の攻撃を凌いでる途中だ。

「あ、当たらんっ!?」

「らぁあっ!!」

その土手っ腹に、重い拳を叩き込む。

「っごぱぁああっ……!!!」

敵は吐血しながら膝をつき、顔を上に向ける。

「くらえぇっ!!」

その顔面に、渾身のスレッジハンマーが叩き込んだ。

頭部が胴体に埋まり、背骨が粉砕する。

そのエルフも絶命し、倒れた。

「くぅうっ!!」

一人のエルフが、短剣とジェットの剣を取って切りかかる。

しかし、そいつには綺麗に足払いが決まった。

「きゃっ!?」

「くらいなっ!!」

足を天に向け、顔面にかかと落としする。

その顔面が粉砕し、ビクンビクンと痙攣した。

「返せ。」

ジェットが剣を取った時に、敵の一人が背後から突っ込んでくる。

その剣を振り向きざまに振り、胸を横一文字に斬った。

「!!!」

「おらぁあっ!!」

顔面に蹴りを入れ、一蹴する。

しかし、今度は横から二体のエルフが襲いかかってきた。

「せぇいっ!!」

ジェットはそいつらの足を切り落とし、転ばせる。

「っぁあっ!!?」

「あ、足が……!!」

まだまだ、エルフ達は襲いかかってくる。

「はぁあっ!!」

「あめぇっ!!」

そいつを剣で斬り、回転しながら斬撃を放つ。

周囲のエルフ達も斬られ、ジェットを囲む輪を広げた。

「……!」

このタイミングで、走り出そうとした時だった。

先程の足を切り落したエルフが、足にしがみついていた。

「貴様だけは……許せん……!」

「く……く……!!」

「しつこいっ!」

一体の頭を刺して、息の根を止める。

しかし、周囲のエルフがチャンスだと言わんばかりに襲いかかってきた。

「ちっ!」

まず掴んでる奴の上腕を斬り、後退しながら猛攻を凌ぐ。

「ファイヤ!」

敵の火の魔法が、ジェットに飛んでくる。

「させんっ!」

片足を上げて、掴んでる奴を盾にした。

「っぎゃああっ!?あついぃっ!!」

「へいお待ちっ!!」

火だるまになったエルフを、大群の中に蹴り飛ばした。

火はどんどん引火し、群を乱していく。

「うわぁああっ!?」

「ひぃいっ!」

「この……!!」

正面から、敵の群れが来る。

「せぇいっ!!」

抜き胴で一閃し、一体。

「はぁっ!」

斬り上げで、もう一体。

「そりゃあっ!」

廻し斬りで、更にもう一体。

「くっ!」

「邪魔っ!!」

横から襲いかかってきた奴に裏拳し、一体。

剣を構え、正面の奴の胸を突き刺し、合計5体の敵を倒した。

剣を振り、血を払う。

「っひぃいいっ!?」

「ば、化け物め……!!」

「……これで分かっただろ!これ以上やっても、時間の無駄だ!!」

剣を地面に刺し、柄の部分に腕を乗せて寄りかかる。

そんな体勢のまま、真剣な顔でジェットは声を上げた。

「さぁ、やんのか!?やらねぇのか!?」

「ぐっ……く……!!」

「わ、私達が……た、たかが、こんな少年ごときに……!!」

「女王様の為にも、退くわけには……!」

どうやら、退く気はないらしい。

死んでも、女王の仇を取ろうとしているようだ。

「分かった……なら、もう遠慮はいらねぇな。」

剣を取り、両手持ちして構える。

それと同時に、エルフ達も突撃してきた。

「さぁ、新技だ……!上手くいくかなっ!」

ジェットの剣に、魔力が纏われる。

その魔力が爆発し、天にまで届くような冷気が立った。

辺りには、凍えるような寒さの突風が吹き荒れる。

「な……!?」

「まとめて凍っちまいな!!」

ジェットはその場で回し斬りを放って、敵の群れを一閃した。

冷気に斬られた敵達は、次々に凍結して言った。

「そ、そんな……!!」

「に、人間……ごときに……!」

敵は、一人残らず凍りついた。

もう、襲ってくることはないだろう。

「……決まった。」

剣をしまって、先へと進む。

「……」

はた迷惑な奴らが居なくなった事で、静かな森の風景が堪能できた。

「……さて。」

進みながら、これからを確認する。

今のところ、シクスパークへ行く事が目的となっている。

確か、その前にブファイ村という村があるから、そこで休憩する事になるのかな。

ひとまずは森を抜けて、ブファイ村を目指すか。

目的が決まった事で、足取りは早くなった。

「さぁ、次はどんな所なのかな。」

足取り軽やかに、ジェットは旅路を進んだのだった……

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