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とりあえず普通に暮らしたい。  作者: 輝木吉人
西の少年
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第5話

街中に警察がパトロールに出ている。


いつものパトロールとは少し違う。人数が比較的多い。何かあったのではないか。少女はカーテンを開け、窓の様子を家の中から眺めていた。


「お母さん!街の様子が変だよ!?」


「何があったのかしら。そんなにあの事件が?」



「それだけじゃない気がする。だって警察はおそらくあのヤクザのグループはあれで全員だと思うって言ってたし、、事件は解決したんだよ?」


さなは自分の部屋に戻り、ベッドに寝転がる。




「はぁ、、、こんなことになってるなんて、学校始まるのかなぁ。ん?学校?、、、あっ。」


学校ということは、提出しなければならないものがある。そういえば今日までに学校に提出だった。部活のことを考えていて、忘れていた。


「は、春休みの宿題やってない。」


勉強机の上には平積みされた山があった。












四条家は大変なことになっていた。お湯がとびちってびしょびしょになっているし、沙織が隠れようとする際にクローゼットの中もぐちゃぐちゃにしてしまったため、かなり散らかっている。






あの後、警察によって女は逮捕された。ところどころに散らばるナイフを丁寧にプラスチックの袋に入れながら警察の一人が尋ねる。




「君がやっつけたのかい?」




半信半疑という顔だ。無理もない。拳銃やナイフが散らばる戦場といっても過言ではないこの状況で 中学二年生の女の子が頰の切り傷以外、まったく怪我をしていない。


「い、いやたまたまですよ。本当に運が良かったんです。」


優樹菜は、あははと頭の後ろに手を回す。


「お前は知らないかもな。その子はな、崎岡さんの一番弟子さんだ。」



隣にいた別の警察官が手帳に何かを書き込みながら言う。


「ほへー。この女の子がねぇ。」



警察官は首を傾げたが、上司に呼ばれて家から出ていった。




入れ替わりで別の人警察の人が入ってきた。

警察の勤務時間にも関わらずタバコを吸っている。



「よぉ優樹菜ちゃん。無事で何よりだ。」



「あっ崎岡さんじゃないですか。どうですか?私見事に撃退しましたよ。凄いでしょう。」



エッヘンと腰に手を当てて胸を張る。

これは四条姉妹の癖である。




「はっははは!流石はお前さんだ、、だかしかしその頰の傷は何だ。あの程度のギャングに手こずっているようではまだまだだな。」





「崎岡さん、なんでこの家にそんな組織の人が、、、。何か理由があるんですか?」




「そこがおっちゃんにもわからんとこでな。金目当てでもなさそうだし、、、優樹菜ちゃんが可愛いから誘拐しようとしたんじゃないのー?」


「ふざけないでください。怒りますよー。あっそう言えば、私の目が欲しいみたいな事を言ってました。あれはいったいどうゆう、、、」


()?だと?、、、、、まさか、、な。」



「何か知ってるんですか?」



「ん?あ!あーいやそのー、、、あのな、もしかしたら、目のドナーが欲しかったんじゃない?世の中には目が見えなくなってしまう人がいるからな。適応するドナーがいないとダメなんだよ。特に若い子の眼球なんか高値で取り引きできるんだぜ。」



「で、でもなにも私じゃないといけないことはないよね。」


「わからん。こちらで取り調べる。何か分かったら連絡するさ。とりあえずお母さんに心配ないって連絡しといたけど、帰ってくるそうだ。」


「話終わったー?」


リビングから沙織がひょこっと顔を出した。


「あーちょっと待ってて。」


沙織は頷くと、リビングに戻った。


「あんなことがあったのに、ケロっとしてるな。君にそっくりだ。絶対勝つんだってお姉ちゃんを信頼してるんだろうな。」


優樹菜は自分の拳を見つめる。今回は沙織を守れたが、今度こんなことがあった時に果たして同じように勝てるだろうか。


「崎岡さんこれからもご指導お願いします。」


「はっはは!了解了解!じゃあおっちゃんはこれで。」


崎岡はドアノブに手をかける。


「あっそう言えばだな。お前の兄ちゃんは無事だぜ。病室でぐうすか寝てるらしい。」


はぁっとため息をつく。


「じゃあ今から見舞いに行ってきますよ。」


「あーまてまて今外は危ないぞー。お母さんも帰ってくるそうだから。明日詳しいことを聞きに病院に行くからその時に一緒に行くぞ。この事件と風通高校の事件は無関係ではないらしい。」


「わかりました、じゃあさようなら。」




崎岡が帰った後、散らかった家を掃除していたら


「優樹菜!本当に大丈夫ーー!」


お母さんが帰ってきた。


とりあえず事件はひと段落ついた。




眩しい光に包まれて、少年は目覚めた。


「んーーっ久しぶりにだいぶ寝たなー。」


テレビをつけた。


「え!池照輝が、、、!人気俳優にも裏はあるんだなぁ。まぁどうでもいいけど。」


テレビから目をそらし、大きく伸びをして携帯を手に取った。妹からの不在着信があった。


「あっ連絡するの忘れてたな。まぁ大丈夫だろう。」


少年は昨日の妹の災難を知らない。

テレビのニュースでもその事件は取り上げられていなかった。


コンコンとノックが聞こえて、看護師さんが顔を出した。


「時間です、応接室に来てください。」


(何か新しい情報はあんのかな。)


応接室を開けると見知った顔があった。

妹の優樹菜と優樹菜が通っている道場の師範で、警察官でもある崎岡だ。


「あれ?警察でもある崎岡さんはともかくなんでお前までいるんだよ。」


優樹菜は凌真の側まで来ると、思い切り頰をつねった。


「兄ちゃん!!なんで連絡くれないの!心配したじゃん!」


「いででででぇ、悪かった!離してくれ!」



「許さないんだからぁーーー!」



「いでででででぇぇ!」



その時ドアが開いてさなが入ってきた。


「大丈夫!?四条君!ってえ?何してんの?」



コホン!

崎岡はわざと大きな咳をする。


「はぁ、、もうしょうがかいんだから。」

優樹菜は手を止めた。


崎岡はみんなが椅子に座るのを確認し、助手からファイルを受け取る。


「では、一通りの事件について話そう。」


この後、凌真が自分の妹の武勇伝を聞いて驚くのは言うまでもない。






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