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独りよがりカメラマン
いつも私は写すのです。
空に木々を被写体に
貴方の影を写すのです。
白と黒と蒼とでできた世界。
悲しい色ばかり見える世界。
時たま見える橙色は
誰かの小さな幸せです。
暖かなそれは大きくて
凍える日々の日差しです。
そのなかに私は居ないでしょう。
居たとしても居るだけなのです。
あの日差しの中に片手だけ。
あの幸せのなかに指先だけ。
それだけで幸せなのです。
片言の幸せを見ているだけで
まぶたを閉じて日に当たるあの日のよう。
悲しい朝露の朝日に光る粒のよう。
私には到底叶わない。
日向に写る貴方を撮ることが
私の唯一の幸せなのです。
私自身が写ろうと明るくなぞない。
笑えぬ私に貴方の日向を。
それは私の陽となるのです。
きっと作ることはできない
あの日向を見つけられるのだ、と。




