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一章:暁風 その十八
高幹、行っきまーす!
「あ、言っておくが俺は自分だけが満足する程度のものしか作ったことがないからあまり期待するなよ」
そう言って置かれたスープからはふわりと良いにおいが漂っていた。
「とてもそうは思えないんだけど…いただきます」
美鈴はスープをおそるおそる口に運び、こくんと飲んだ。
「……………………………」
「な? だから期待するなって言ったろ」
「いや、普通においしいんだけど」
「へ? 」
美鈴はがちゃんとスプーンをテーブルの上に落とした。
「普通においしいよ! ヘタすればそこらの料理人が作ったものよりもおいしいって! これ期待されても大丈夫だよ! 」
呆気にとられている伶の前で美鈴は夢中でパンやスープを口に流し込み続けた。