一章:暁風 その十七
んーと、ブクマが減ってますね…。
ま、まぁ読者の皆様がいるかぎりいなくても頑張りますけどね。
伶がスープとパンを持ってきたとき、彼の目に入ったのは床に座り込んで真剣に空気をつかんで何かを引っ張り、その中をしきりに覗き込んでいる美鈴の姿だった。
(こ、これは声をかけていいのか? 悪いのか? いや、それよりもまず何をしてるんだ? )
伶はどうすればいいのか分からず、呆然と立ち尽くしていた。
美鈴は伶のことなどおかまいなしにまた何かを引っ張りその中を覗き込むのをしばらく繰り返していたが、やっと伶の視線に気付いた。
「あ、伶。どうしたの? そんなところでつっ立って」
「いや、お前こそ何をしてるんだよ。ずーっと何かを引っ張ったり覗いたりして」
美鈴は一瞬きょとんとしていたが、すぐに声をあげて笑った。
「あぁ、伶の持ち物の中に何が無かったかを思い出したくて、また荷物をあさったら怒られるからその時の行動をもう一度やってみれば思い出すかと思って」
「なんだ、そんなことか。もうお前がどうにかなったのかとヒヤヒヤしたんだぞ」
伶は気持ちが和らぎふっと息をはいた。
「そんなことって何よ。こっちは思い出したくて必死なのに」
「まぁまぁ、とりあえず飯もできたんだし。思い出すのは食ってからでもいいだろ」
美鈴は伶の後を追うように急いで席に着いた。