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〆自販機は恋人ではない


あれは中学生に成ったばかりのまだ桜が残ってる季節だった


塾で毎回隣に座ってくるHさんがずっと「私ケンカ強いから」と話しかけてきて


俺は「カツアゲとかされたら助けて」と懇願(こんがん)して、ふざけて返してたら「鍛えてあげる」と言ってきてしょっちゅう殴ってくるようになった


中学1年生なだけ有って『服の下とかに見つかりにくい形に殴る』という発想が無く思いきり手や腕の見つかりやすいところが痣だらけになり


それを見た母親が「うちの〇〇がイジめられてます」と塾に電話して、そのまま俺を車に押し込んで唐突に始まった三者面談


親が凸った瞬間『大事(おおごと)に頼むからならないでくれ』とだけ一心に脳内に流れた


同じ学校のクラスメイトや小学校の顔見知りも居るのに行きづらくなるな、と思い「ほんとなんでもないから……」とウジウジしてたら「〇〇くんもこう言ってますし……」と塾講師も面倒がってたところ「〇〇は痛いとか正直に言えない子なんです!!!!」と母親が泣きだしてしまった


その時ばかりは「俺の親の方がイタいと思う」と言いたいのをグッと堪えてなんとか母親を(なだ)めて父親の愚痴を何故か塾講師と聞くという地獄と化して全部言えてスッキリしたのかやっと帰れたが


その塾は勿論変えられて『今日何が起きたノート』システムが導入された


最初は真面目にTさんと遊んだ、Rと喧嘩したと書き、赤ペン先生みたいな返事が返ってくるのを受け取る毎日


それに頭を抱えてたところ友人Yくんが『俺書いていい?』と言ってきたので『えっうちの親強いよ?』と心配したら『こういうのは地道に削るんだよ貸してみ』とその日からノートをYくんが代筆してくれるようになった


マジでありがとう


それから一方的な言い分だけだった赤ペン母親のコメントとYくんの遠回しのチクチク言葉の攻防になってた


そして途中で俺に変な設定を付け足されてて未だに実家に帰ると思い出話がYくんの創作エピソードトークを母親がしてくるので新鮮味しかない、ここは誰の家なんだ


Y君はいつネタバラシしてくれるの?もう成人なんだけど


母親と言えば学校にも乗り込んで来たことがあった


数回なんてもんじゃない何かと行事がある度にイチャモンを俺を理由に付けてくる


途中から自家用車が学年で認知され校門から入って来ただけで担任が客間に向かうレベルだった


もう恥ずかしいという感情を失い俺も開き直ってきて教科書の音読などで指された時は「この姿を親が見たらまた来ますよ」と言うだけでウケだした


その点は母親のイタさに感謝していい


教師は最初は戸惑ってたが2年生に上がる頃には「〇〇の希望の進路は先生が勧める形で三者面談するか?」と提案され「それ先生もキツくないですか……?」と掛け合いになりだした、つまり毒(親)食らわば皿まで


環境への理解、対応、対策


どうせ一人暮らししたら物理的な距離が心の距離になって孫の話ぐらいしか両親の話題にならなくなる


最初は同性愛者、動物にしか性的興奮を覚えないとディスカバリーチャンネルを見ながら普段よりテンションを上げて画面に釘付けになったり


無機物に自我が有ると自販機の自動音声を恋人の声と紹介したり


格自販機を元カノとして真顔で紹介したり色々先延ばした結果


最近、母親が勝手に俺のアルバムの写真で婚活系マッチングアプリに登録し始めた


そろそろ俺も母親の写真でマッチングアプリ返し登録しようと思ってる



「何の話ぴょん!?」


「俺の恋人として紹介させてくれ……もう嫌なんだ、真面目な黒髪黒目女とお見合いさせられるのは……!!!!俺の好みはメンヘラクソ女なのに!!!!!」


髪色が自然界で警戒されそうな色の集合体女が好き


「お前の恋人とかフリでも嫌ぴょん!」


「毎日人参1本」


「お母様のとこ早く行くぴょん!!」


「八百屋にネトられそうな恋人だ」


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