読心術(+重力波結像法)について
▶読心術(+重力波結像法)
■登場人物
白洲 響也:第2広域空間群管理者
REF:第2広域空間群・第2空間管理者
「さて、今日は重力波結像法の講義ってことで」
「ああ。よろしく頼む」
「読心術の選定って大変だよね」
「そうか?拡張脳でオート選定しているからな」
「……」
「……」
「……あ。確かにできるな……(小声)」
「えっと。とりあえず講義を続けよう。
話の腰は折れたが重力波結像法の強みは基本的に侵襲性が低いことだ。
時と場を選ばない」
「たとえば読心術をしていることを対象に察されるとまずい場合とか、
そういうタイミングでも行使できるということか?」
「そういうことだ。
まずは時と場を選ぶ既存の読心術の復習からしよう」
「列挙すればいいか?
第1型読心術:電位感知型読心術 人工的な電子受容体生体構造で脳外電場・電位を検出。
第2型読心術:魔力浸透型読心術 高透過性魔力を脳に注入し、活動電位の偏差から思考を解析。
第3型読心術:観察型読心術 表情・視線など非言語的サインを解析。アイ・アクセシング・キュー活用。
非看破反応:読心検出トリガ脳内にランダム生成された高桁乱数列(例:Q暗号系列など)を想起し続ける。読心術によりこの思考が相手に漏れた場合、返答や共鳴に現れることで看破を検出可能。
隠蔽層:読心対策。対読心領域。
対1型隠蔽層:頭部周囲に絶縁層・魔力真空バリアを形成し、外部からの電場観測を遮断。
対2型隠蔽層:脳内全域に乱数電位フィールドを走らせ、思考に伴う魔力の偏光や濃度変化を擾乱。
対3型隠蔽層:拡張脳など外部演算機械によって表情筋に干渉してもらう。
こんなもんだろ」
「そんなもんだな。まあ詳細は……いらんだろ」
「こっちは十分詳細まで挙げたつもりだがな」
「まあいいや。本題に移ろう。
《読心術・重力震による結像法》の種明かしをすると。
空間管理者の使う空間転移。これって空間に波を起こすんだ。
つまり電波と同じなんだよ」
「つまりあれか?2型読心術のノリでMRIモドキができるわけか?」
「そうそう。これが相手の脳構造に当たった後の反射波で脳構造を解析する。
転移後に先手で読心する技法だ」
「むしろ空間転移時の重力震に紛れて初手で相手の思考を探れるわけだ。
侵襲性が低いというよりはミスディレクションじゃね?
空間転移に相手が注目する隙を狙ったさ」
「結果バレてないんだから誤差だよ。
どっちでもいいでしょ──と開発者は言ってた」
「開発者?」
「神坂だよ」
「あいつかい」




