「……ところで。法術師って?魔術師じゃないの?」
「……ところで。法術師って?魔術師じゃないの?」
「よし、今回は、僕たち法術師と魔術師の違いだね。
……まずは、根鈴ってさ。前回のBMI、拡張脳に対して忌避感覚えてたよね」
「……うん」
「それってさ。すなわち前世……地球の現代科学の知識があるっていうこととも言える。
機械化なんてそうでないとピンと来ないだろうしね」
「そうかな……あれ?じゃあ法術師ってみんなこの世界に転生してきた人っていう意味になるの?」
「正解!俺たち転生者の魔法使いは現地住民、
……基底世界の住人たちとは理解も技術も規模も隔絶しているんだよ。」
「……そうなの?」
「ああそうだ、僕たちが通っている学園も基底世界側のものだからね。」
たしかに、だからこそ同級生のはずの黒羽にこうして講義を受けているしね。
「特に土着の魔法使い、魔術師と区別して俺たちは法術師と自称している」
へー。じゃあ気を付けて魔法を使わないと。
「知識があるってことは魔法のリスクについてもよく考えられるということでもあるからね。
実際BMIを自身に接続するのをためらう法術師もいるよ」
私も無理かも。
「次に法術師の名前の由来かな。
──どこから説明しようかな。 まずは、
魔法の語源を考えてみようか。 根鈴はどう思う?」
うーん。魔、法……。魔な方法?
なんか赤い魔法陣の中心で悪魔を召喚して……。
「ふはは!我はなんとかの悪魔!魔法を授けよう!」
みたいな?印象がある。
「いい線言ってると思うよ。 “魔”の“法則”。
悪魔とかそういう理解を超えた法則って感じかな。
あと魔術ともいわれるね。これも一緒。
“魔”の“術式”。理解を超えた技術。方式ってところ」
「ついに、法術について話せる。
俺たち法術師は魔法のことを
“魔力……任意のエネルギーに変換できる媒体によって、
ベクトル干渉を代表とした現実への干渉を直接、
もしくは間接的に起こす技術・技能” ととらえている」
「ある程度分析は進んでいるんだよ。
だから、俺らは“魔”という語句は使わない。
理解されている“法則”による“術式”。
これが法術。 で、これを扱う“法術師”」
「最初の質問の答えとしてはこう。
魔術師は基底世界で暮らす人々、法術師は胞構造の技術を扱う転生者」




