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練習用  作者: 糸田千樹
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移ろう青い薔薇

ノックを二回刻む。僕は返事を待たずにドアノブを捻り、慎重に部屋へと入った。

「お別れはできましたか、博士」

一応、声を掛けてみる。こんなことで心が揺れ動く人ではないと知っているけれど、気遣いは必要だろう。

「うん、無事に逝ったよ」

博士は白く漂白された部屋で、のんびりと腰かけていた。

この部屋は表の研究施設とは対照的に、必要最低限の物でしか構成されておらず、ベッドと博士が持ち出した椅子以外、何もない。真っ白な世界の中、二つの人工物が不自然なほど浮き上がっていており、落ち着かない。

だが、この認知を歪める異常な空間でも、博士は一切揺らがなかった。ただ静かに、ただ記録に残すように、博士は動かなくなった老人だけを見つめていた。

「彼についてどれくらい知っているんだっけ?」

突然、博士が聞いてきた。

「確か……古くからの同業者、でしたっけ」

「――同業者、でいいかな。何を仕出かしたかについては?」

「知りません。というか彼については今朝、初めて知りましたよ」

そう。今朝から、である。

昨日、資料の整理で徹夜をしていて、一睡もしていなかったのに、いざ横になろうとしたら緊急回線が鳴り響いた。「もうすぐ死ぬから研究成果を引き継いでくれ」と伝言を承り、寝ていやがった博士を叩き起こすついでに事のあらましを伝えると、博士はそのまま出向くと言い出し、僕は護衛役としてそのまま引っ張り出されたのだ。

道すがら博士のマシンガントークに付き合わされ、そのとき彼についても触れたような気もするが、正直、あまり記憶に残っていない。

ただ、昔からの付き合いが云々と言っていたときに、この人に例の七人以外にも交友があったのだなと、その時は軽く受け流していたがよくよく考えると、あまりに珍しかったので記憶にこびりついていた。

この人、人付き合いは多い癖に長続きしないから。


あまりに中途半端。

しかし、眠いのでこれまで。



見ている人がボットだけかもしれないけれど、感謝を込めて

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