6/15
懐想
一瞬の静寂からドン、と短く響いた火薬の音。
強ばった筋肉は一歩を力強く踏みしめた。
戦闘開始。
スタートの反動を活かし、前に傾いた重心を駆使し、二歩目に続く。
三歩、四歩、五歩と無意識で連なり、体は加速を始めた。
強く短く振るった腕は反転プロペラとなり推進力を支える。
火を入れた体はもう止まらない。
暴力的な加速というものは他者は寄り付かない、寄せ付けない力を持つ。既に隣のレーンでは絶望的で短い差が悲鳴を上げ始め前を走る者は誰もいない。
博士も助手もこの後に出てくる予定でした。
予定でした……