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貴方は貴女?
――白い闇が濁流のように僕を飲み込んだ。
……何も見えない。
揺れる濃霧はこの世界の法則ですら狂わせるものだ。輪郭を曖昧にする彼は他者との境界線をも歪めるのは造作もないことだろう。
湿気た空気がゆっくりと、ゆっくりと全身を包み込む。
全身に僅かな違和感を覚えた。
肺に流れ込む空気がゆったりとした重苦しさで、全体の呼吸を乱しているのか。
――クッソ、そうか。
この空気は既に、皮膚を越え、内側から軋ませるものへと変化している。
溜めこんだ感情が体を蝕み続けた結果だ。
彼の記憶が、人格が、感情が居場所を求め彷徨っている。人の器には収まらない虚構が溢れ出している‼
ならば、この世界に留まっていては駄目だ。
あまりに相性が悪すぎる。
目的のサンプルを抽出するのは容易だが、このままだと彼の世界がこちらを侵食してくる。自我が曖昧になる前に、離脱しなければならない。
この世界は臓腑すら侵しきるひとりぼっちの男の白昼夢なのだから。
昨日、試しにゼンゼロをインストールしたら時間をすべて奪われた。
毎日更新しようと思っていたけれど三日坊主にすらならなかったので反省中……