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練習用  作者: 糸田千樹
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博士の愉快なお話



「人間はさ、一つの物事に執着し続ける事なんてできない、哀れで単純な生き物なんだよ」


好きでも嫌うでもない珈琲を啜りながら助手は話を聞き流す。面倒くさいから聞きたくないという意思表示。――しかし博士は助手の無言の抵抗など意に介さず、普段通りの愉快そうな口ぶりで語り始めた。


「まず前提として、人間は人間の体に囚われているのが問題だね。」


「……それって当たり前のことじゃないですか」


 一応、合いの手は入れておく助手。



「うん、そうだ。でも案外、舐められない問題でもある。――助手君、君は三大欲求くらいは知っているだろう」


 「はい。確か――食欲、性欲、睡眠欲でしたっけ?」


 「そうそう。性欲は色々とややこしいから置いておくとして、食欲、睡眠欲からこの問題点を整理していこうか。」


 はぁ、と助手は溜息をつく。

ここまで来たら乗りかかった船、と言うやつだ。中途半端でいるのは座りが悪いし、何より自分が許せなかった。助手は内心でかったるい話に付き合う覚悟を決めていた。

 ……博士はそんな些細な心境など気にする様子もなく愉快そうに話を続けていたが。


「食欲、睡眠欲というのは生存に直結した欲求だ。どれだけ他の欲求が強くてもこの三大欲求からは逃れられない。なぜなら人間――いや生物は生存本能なんて忌まわしいプログラムが根本にあるからだ。――というかそもそも生理的欲求以外の欲求は生理的欲求が満たされて初めて生まれるものだしね」


「マズローの欲求段階説ですか」


「おっ知ってるじゃん。なら詳しいことは――」

と博士が続けようとした所を助手が横槍を入れる。


「それって結局、科学的には根拠薄いって批判されてませんでしたっけ。「すべての人が」「あらゆる場面において」同一の欲求階層を持つことなんてありえないとかなんとか。他にも環境などの外的要因を考慮すると異なるパターンが現れるとか」

――まぁ博士に限ってこんな反論は織り込み済みでなにか仕掛けがあるのだろうけど。


博士の一人称と助手の一人称がしっくりこなかったので少し前から変えてました。


あとこれから時間が取れなくなるので低浮上気味になります。


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