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一方通行、その先は在らず
整列した思考が乱される。
澄んだリズムが不規則に揺らぐ。
そうして誰にも聞こえない声は脳を侵した。
重い、重い自分の声が、ただ孤独に向かって叫び始めたのである。
「君は出来損ないだ」
――煩い
「君は利用されている」
――五月蝿い
「君は不必要だ」
――うるさい!!!
乱れた思考は蝋の様に爛れ始めた。不透明な白さが脳にゆっくりと寄り掛かる。重みで正気は潰れているがまだ小さく生きている。一瞬、ごく一瞬正気への帰還あり――その余裕が仇となった。
逃れることのできない思考は空気へと溶け込む声を血液へと向きを変えさせた。大きく短い脈へと変換された揺らぎはより生への雑念を剥ぎ取ってゆく。
枯れた感情は悶え苦しみ、ゆっくりと息を止めていった。
乱れる脈とは裏腹に、静けさを取り戻した呼吸。断絶されてゆく命令系統。肉はまだ柔らかいだろう。
――歯止めが効いたのは動きを捨て去ってまもなくであった。重さを捨て去った男はただ静かに、月へと歩み始める。




