善悪を超越したプラモデル
「前にも言ったと思うけど僕の理論では人間と世界を完全に分離している」
「ですね」
「その理念は世界という乱数の塊を人間の意思で限定する――いわば「行動する」ことこそが重要であるってワケ。まず自らの意思で行動しなくては人間は人間である優位性を失うことになるのだから」
「……ですね」
「……だから僕たちはその行動に善悪の区別を付けないように努めている。「良い」「悪い」なんて完全に主観の領域の代物であり、「行動」を客観的に把握し、体系化する妨げにしかならない」
「…………ですね」
「…………それならば僕たち生粋の研究者たちは常日頃から善悪から距離を置かねばならないとは思わないかい?――できるだけ主観を切り離し生きてゆくんだ。なんせ、この世界は人間に満ち溢れて、我々は途切れなく研究対象を観察しなければならないのだから‼」
「………………」
「だからね、その怒りの矛先をね、ちょと収めてくれないかなって。君が楽しみに積んでいたプラモデルを勝手に完成させてしまったのは、まぁ、その、謝る。それにさ、助手君。君、買うだけ買って満足してしまうタイプじゃん。未完成のまま部屋の肥やしになる可能性を考慮したら僕が作ってしまった方がプラモデルも本望だろう、多分。僕は君よりうまく作れるんだし、完成品あげるからそれで――」
「理屈で誤魔化すなバカ博士!!!主観バリバリじゃねぇか!!!」
そりゃキレるよ




