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種も仕掛けもない手品
「サイコロ十個でゾロ目が出る確率は一千七万七千六百九十六。これを狙って出すのは奇跡に等しい」
そう言いながら博士は十個のサイコロを床にぶちまけた。
「でもさ、これって結局『十個のサイコロがゾロ目になる確率」でしかないわけだよ』
がしゃがしゃと音を立てながらサイコロは回る、回り続ける。
「現実はさ、そんな単純じゃなくて――」
次第に勢いを落としたサイコロはそれでも足掻く。確率通りに散らばろうとしている。
「――こんな感じでさ、『ゾロ目という結果を取り出す』だけならば、確率なんて簡単に無視できるんだよ」
息を止めたサイコロ達、皆は赤い目を向けて静止した。こちらを見つめる十の目は、不満を表す様にじっと僕をも見つめている。
いつもより短め。




