量産された虚構
ふぅ、と熱を冷ますように息を吸う。
差し込んだ空気は少しづつ体の隙間に入り込み、虚構が切り離される。自分が自分であるということ。自分が自分であるという感覚――肉体の形、精神のあり方、僕の境界線を取り戻す。そうして戦闘用の肉体はこのまま剥がれ落ち、じきに地面へと還るだろう。
目一杯息を吸い込んでから、この戦闘の元凶となった博士に問いかける。
「博士、今回の相手には何をしでかしたんですか」
博士が誰かに恨まれ命を狙われるのは、もはや日常茶飯事だ。ライフワークといっても過言ではない。だから、何十人、何百人と相手をしてきた僕だから分かる。今回の相手はちょっと異質だ。殺意が全くなかったのだ。いた、強制的に抑えられていたのか。
誰しも人を意識的に害するときには多少なりとも揺らぎがある。それは動作であったり、感情であったりに狂いを生じさせる。どうしようもなく殺人という行為には人間のリズムを乱し、綻びが生まれるものなのだ。
これは例えプロの殺し屋であっても、殺人が日常になっている者でも囚われる、人間自体の欠陥だ。人間という枠組みにいるならば逃れられない「他者への認識」。人の文化、言語に触れるならば患う宿痾。それが目の前の死体からは全く感じとれなかったのだ。
私用があったので間が空いてしまった。
リハビリで書いたけれどだいぶ感覚を失っている。
そろそろ文章の練習ではなく物語の練習をしたかったのだけど、どうするか。




