第6話:薫り
◇◆
「じゃあ良子ちゃん……。棺桶の留め金をお願い……」
再びシーツでぐるぐる巻きにした勇者を棺桶にいれ、顔の部分以外を消毒液で濡らした私たちは最後の工程に移っていた。……そう、棺桶の留め金を掛ける作業だ。
これが終わってしまえば……あとは勇者が飢え死にし、虫に少し喰われ、ミイラになるのを待つのみ。実際にミイラになった姿を見ることは私たちには出来ない。運が良ければ死ぬ前に誰かに……いや、それはないのか。
良子ちゃんの提案で、城を出る時に建物を爆発させて神官もろとも生き埋めにするんでしたわ。主犯は勇者ということにして……。
「あさりさん……。私の手と身体……ちゃんと支えてください――――ッンンん」
体のほてった良子ちゃんの首筋に流れる汗を私は舐めた。
「しっかり支えているから大丈夫……」
後ろから支える私はそう言って、良子ちゃんの肩を借りて目を閉じた……。
………………カチャッ。
その音が聞こえると、良子ちゃんの身体は少し硬直し……私の支えなしでは倒れてしまいそうなぐらい、脱力していた。
「……あさりさん。……私。……こんな感覚初めて」
そう言った良子は少し……大人の薫りがした。
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