第2話:お尻
私は今、夢を見ている……。
夢を見ていることに気づく明晰夢というやつか。私の最大深層の記録は二階層までだが、別にそんな事はどうでもいい。
ここは……海の中。
深く……深く……堕ちていく感覚が気持ちいい。
少しずつ遠ざかる……
海面から差し込むキラキラした光り。
このまま……。どこまでも堕ちていきたい……
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目が覚めると、見覚えはないが……どこか懐かしさを感じる天井があった。
医務室だろうか……消毒液の匂いが漂っている。
仕切り用のカーテン先から、鼻をすする音が聞こえた。
「大丈夫だよ。カイトが『勇者』みたいだから、私たちは戦わなくてもいいって」
「違うの――。みんなには……見えないの?」
「見えないの……って、何を?」
バサッとシーツの擦れるような音が聞こえた。
それを境にカーテン越しに聞こえる会話は、女の子を質問を最後に途絶える。
「……じゃあ、リョーコ。また後で来るから」
同じ制服を着た三人の女の子たちが私のベッドを横切った――。
「やっぱり……。汚れてる」
さっき中庭で見かけた……汚れた血の女子学生さんたちだわ。
胸の奥から……『どうやって葬ろうか』と胸が高鳴る。
はあ……はあ……はあ……。身体が熱い……。
「……だめよ。まだあの子たちは、言うならば完熟前の桃」
そう自分に言い聞かし、興奮を抑える。
ふと、さっき女の子が言っていたことを思い出し――仕切り用カーテンから覗いてみることにした。
不覚にもシーツに包まった女の子と……目が合ってしまう。
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目の合った私を、彼女は自分が横になっていたベッドへと招いた。
「良子……。浜栗良子、高校二年です」
「亀井あさり……専業主婦でした」
気まずい……興味本位に覗くんじゃなかった――。
「……さっき、亀井さん。私のクラスメイトに『汚れてる』って言ってましたよね?」
――聞かれてたあああああ。薮からスティック……いや、ニャースにねこだまし!
あぁ終わった。いや、待つのよ私……まだ慌てる時間じゃないわ。
私の返事を待たずに浜栗良子さんは続ける。
「汚れ血? オチレベルが亀井さんにも見えてるんですか?」
私の前世の記憶ではその事を聞かれたことは一度もない……。
初めての同類――。私は直感的にそう思った。
「……オチレベルじゃないわ。『汚血レベル』って読むのよ」
私は、初めての同類に言った。
「亀井さん……お尻レベルってふざけてるんですかっ?」
そう言って――小さなお尻をプリッと、私に向ける浜栗さんの顔は少し赤らめている。
良子ちゃんは何をしでかすか分からない。
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