第34話:それぞれの苦悩
(グエル視点)
アレは一体何なんだ!
アレから発せられた殺気は!
強さとかそんな話じゃない!
アレ自体が別の何かに見えた…
蛇に睨まれた蛙とは言うが…
アレはそんな生優しいもんじゃない…
そう…まるで神や神獣のような触れてはならない存在に触れてしまったような感覚…これ以上は言いようがない感覚…
「ハァ…ハァ」
こんな事今迄に…
初めて教団の使徒に会ったときと…いやそれ以上だった!
いやいや使徒から殺気を向けられた事を無いから、正しい事をわからないが私の獣人としての本能がそう言ってる。
「ウッ…」
くそ…考えすぎて目眩がする。
後日
あの日以降…授業でも視線とあの殺気を感じるようになった…
だが何も起きない…
それが逆に恐ろしい…
そういえば自室で生徒に勉強を教えているときも感じる。
あの少年を意識し過ぎている所為なのはわかっている!わかっているが…
この不安感がどうしても拭えない…!
だから最近では絶対に誰かと一緒にいる…
誰かといるお陰なのか、その時は何故か襲われないという直感がする。
本当は教団に報告したいが…
子供にビビっている何て知らたら…
下手をすれば私は殺さられ、最悪…
「先生?」
!?、そうだった今は授業中だった。
今日まだ殺気がこない所為で安心してしまっていた…
3人生徒が教卓の私の前に来て心配した顔で私を見つめていた。
「大丈夫ですか?汗が凄いですよ?」
「あぁ、すまない…少し疲れていてね…」
「そうですか…無理しちゃ駄目ですよ?」
「生徒が教師を心配するんじゃない。それで君達、問10から問20の問題は解けたかね…?」
「それが問15が…」
「私は問18…」
「私も…18が…」
「そうか…じゃあ教えてあげるから席に戻りなさい。まずは君からだ。」
「「「はい」」」
◇
ところ変わってペンドラゴンの国王の執務室。
オーレンは執務室で職務をこなしていた。
オーレンの目の下には、薄らとクマが出来ていた。原因は…
「「国王大変です!」」
文官と料理の二人が青い顔しながら飛び込んで来た。
「…、どうしたんだい?」
オーレンは彼ら二人が来た理由を想像がついていたが、二人に問いかける。
「しょ、食糧庫の物が4割を切りました!」
「これ以上食糧に国庫を使ってしまうと軍資金や地方への援助金に影響が…!?」
オーレンはこの報告を聞いて想像できていた筈なのに頭を抱える。
「どうしますか?」
種類で埋もれた横の座席で仕事しているブレンがオーレンに判断を仰ぐ。
「どうしますかって…ホノカに今晩お願いするしかないだろ…」
「そうですね…」
書類を退けたブレンの顔は痩せ細っていた。
現在王宮は未曾有の危機に瀕していた。
その原因がポーラだ。
兄であるホノカが長時間いないストレスからポーラの食事の量は大人30人分以上だ。
オーレンはこの前の誕生会でポーラの食事の量の多さを理解していたが見通しが甘かった…
ホノカに食糧を二日ごとに貰っているが、それが1日で足がついてしまう。
そのためオーレンとブレン、アレンの食事は減らされ3人は一日に一食となっている。
アレンは軍役の経験があるので、少ない食事で未だ健康的で元気だがオーレンとブレンはクマや肌に影響が出てる。
「いいのですか…?これ以上は流石に英雄殿にもキツイのでは…?何より我々の国庫にも…」
ホノカの食糧は勿論王国の国庫で払われている。
ホノカのゲーム時代の資源は13年経過して未だ1割も減ってない。だからホノカはお金はいらないと言ったが、オーレンもブレンはそれは道理が通らないとして、しっかりとお金を払っているが限界が近づいていた…
「はぁ…国の英雄にこれ以上頼るのは国としてカッコつかないし、英雄の妹と従魔を食うのに困らせるなんて…もっとカッコがつかないじゃないか…」
二人は一回目でもタダで食糧を貰えばよかったと後悔していた。
◇
(トン三郎視点)
どうも皆さん。
こんにちはトン三郎です。
お久しぶり?
お久しぶりではないのですよ?
お久しぶりと思う人も私をお忘れのひともいらっしゃるでしょうが、私はずっといたのですよ?
ポーラ様が学園の地下に落ちた時も
父様…間違ったご主人様が倒れたときもずっといたのです。
私が目立たないのは、何も私の影が薄いわけでも作者が私の存在を忘れたわけでもないのです。
そもそも私は兄弟達と違い生産特化型のモンスターです。だから闘う事は不得意なのですよ。
物を作るのが得意というか好きです。
私が今使っているこのティーセットは私が作ったものです。
お気に入りはこのポットです。
このポットはご主人様であるホノカ様をイメージして作った逸品なのです。
オレンジを基調にご主人様の神々しいさと燃え盛る闘争心を再現できた自慢の作品です。
スゥ
やはりこれで淹れる紅茶は格別です。
本当ならご主人様と妹君であらせれるポーラ様とティータイムをする筈ですが、ご主人様は弟君を捜索する任務に他国に行かれていて夜しかおりません。
その所為でポーラ様の食事の量は日に日に増えています…
一緒にティータイムなんてしたらご主人様から頂いた茶葉とお菓子が無くなってしまう…ですのでティータイムは一人で楽しんでいます。
因みに兄弟達は茶葉の良さがわからないので、一緒にティータイムをしたくありません。
でも…一番馬鹿なウル四郎が茶葉の違いがわかるのが理解し難い…
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