第33話:約束の物
(ホノカ視点)
アイツが神の使徒だったのか…
アイツは悪い奴じゃ無さそうだったけど…
アイツに余計な事をさせずに捕らえて情報を吐き出させる…
休み時間になったら透明化の神法術を使用して機会を窺う。
(休み時間)
クソ…休み時間だからまたドゥエルの…いや本当の名前はグエルだったな…
グエルの部屋に来たが、生徒と一緒にいる。
しかも7人くらいいる。S、A関係なく4クラスの生徒がそれぞれ来ている…
リントが言っていた通り人気の先生なんだな。
キーン、コーン、カーンコーン
ちっ、休み時間が終わったか…
数時間後
俺は再び透明になり、グエルの後はつけているが…
コイツ俺の存在に気づいているのか、絶対に誰かと行動している。
時を止めて無理矢理連れていくこともできるが、コイツが消える事で問題になりイグラシアの改革派が、俺…ペンドラゴンに難癖をつけてくる口実を作りたくない。
こうして悩んでいる間に時間は過ぎてしまう…
いや今は諦めて夜に一人になったところを攫うか…
数時間後
やっと夜になった…
さてグエルは何処だ…?
(光影神法術 神の目:グエル)
学園にいない…?なら…
王国にいない?なら…隣国も…
「はぁ…はぁ…はぁ…」
クソ、何処にもいない…
これ以上はEPが保たない…
やはりアイツに気づかれたのか?…
「クソ!」
◇
(次の日)
ホノカは焦りから少しイラついていた。
今朝からグエルの部屋や研究室に潜り込んだが、グエルの姿はなかった。
そんな
「お久しぶりです。ヴィクトル君…
コルナ、コルナ・サンダーボルトです。」
ホノカの目の前に来たのは犬耳少女はコルナだった。
コルナは先日にマイナが送った手紙で護衛としてホノカがヴィクトリルのフリをして入学した事を知らせていた。
しかし、彼女はホノカの事を信じてきれずに疑いの目でホノカに向けていた。
(「!?」)
ホノカはグエルの事でコルナの事を完全に忘れていた。
「お久しぶりです。コルナ嬢」
ホノカは椅子からゆっくりと立ち上がり挨拶をする。
「少し…お話したのですが…」
コルナはお話をするため別の場所へ移動したがる。
「わかりました。では外で話しましょう」
「はい」
二人は教室から退出して、コルナの案内で寮付近にある庭園に来た。
「今此処は貸し切りにしています。ある程度は話しても大丈夫です。」
「わかった…」(“索敵”)
ホノカはコルナの言葉を聞いて、周囲に敵がいないか確認する。
「早速で失礼しますが…お父様は…ガルルグ公爵はお元気ですか?」
「あぁ…いや…あんたの事を心配してかなり衰弱している。」
ホノカは敵がいないから砕けた会話し始める。
「そ、そうですか…」
コルナは先程までの毅然とした態度が崩れる。
「悪いな…真実を話した方があんたに信じてもらえると思ってな」
ホノカは申し訳なさそうにする。
「いいえ…教えていただきありがとうございます…」
コルナはそれ以上は何も言うことが出来なかった。
「…、!?」
ホノカは何かを思い出して神法術で時間を止めてダッシュで寮へ行き、
走りながらポケットに物を入れて戻って来た。
(解除)
ホノカは神法術を解除する。
「コルナ嬢…親父さんからこれを…」
ホノカはポケットから寮の部屋から取ってきたの物をコルナに見せる。
「これは…、お母様の…」
コルナはホノカから手渡されたの物を泣きながら握り締める。
ホノカが渡したのは出発前に痩せ細ったガルルグから渡された、コルナの亡き母の形見である婚約指輪だった。
「ありがとうございます…」
コルナは嬉しさのあまり自分の世界に入り込んでいたが、ホノカの事を思い出し感謝の言葉を述べる。
「気にすんな。俺は頼まれて渡しただけだ。」
ホノカの言葉にコルナは首を横に振る。
「私たち家族にとって、これは大切な大切な物なんです。それをあなたは忘れずに届けてくださりました。
ありがとうございます」
コルナは今度は頭を下げて感謝する。
ホノカは忘れていたために気まずそうな顔をする。
「いや…本当にいいから…顔を上げてくれ」
ホノカは焦りながらコルナの顔を上げさせようとする。
コルナはホノカの困った声に気づき顔を上げ、そのまま彼女は涙を拭う。
ホノカはそれを見て、更に申し訳なく思う。何とか話を変えたくてホノカはコルナにも伝えておくべき事を思い出す。
「そうだ…」
「どうかしましたか?」
ホノカは伝える前にスキルと神法術で周りに人がいない事を確認する。
「すまない…あんたにも伝えおくべき事があるんだ…この国にはペンドラゴンや光神法国で暗躍していた組織が潜伏しているんだ」
「え?」
コルナは話の内容についていけず困惑する。
「暗躍?組織?」
「あぁ、邪神を崇めている組織で『神の使徒』って名前だ。
ペンドラゴンではブロンが光神法国では神官の中で最も位の高い奴だった」
「ブロン公爵…嫌な噂は聞いていましたが…まさかそこまでとは…しかも光神教の神官まで…」
コルナは驚愕のあまり一瞬だけ惚けてしまう。
「俺の目的はその組織に連れていかれた弟を救うこととその組織を潰すことだ。悪いがあんたの護衛はついでなんだ…」
「そうでしたか…でも謝らないでください。そのような組織を放っておくわけにはいきません。ですからペンドラゴンのためだけでなくこの国の為にもその組織を倒してください。」
ホノカは強い心をもつコルナを見て、つい笑ってしまう。
「あぁ、勿論だ。」
その笑顔を見てコルナも微笑み返す。
キーン、コーン、カーン、コーン。
「おっと話込んでしまった…じゃあコルナ嬢戻りましょうか?」
ホノカは貴族っぽい口調に変わる。
「えぇ」
二人は教室へ戻っていく。
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