第30話:クソムズ試験
ホノカ達3人は試験会場に行くために廊下を歩いていた。
「痛てて…」
ショウリは首を摩りながらホノカの隣を歩く。
「ヴィクトル様、クラス決めの試験ですが、コルナ様と同じSクラスになれようにしてくださいね」
マイナはホノカに任務の確認をする。
因みにエストゥディアルはスタディウムとは少しだけ似ている。
エストゥディアルは通常勉学と魔術、錬金の知識の完全実力主義の学園で、出生や年齢すら問わない。
試験で100点中95点以上の者は金色のSクラス。それから順に
80点以上は赤色のAクラス。
70点以上が青色のBクラス。
60点以上が茶色のCクラスと四つに分かれている。
59点以下は不合格となっている。
「あぁ」
「ま、ヴィクトル様はストデウムでは1級クラスでしたから心配していませんが…油断は禁物です。何せ此処はエストゥディアル…真に努力したもののみが入ることを許される魔境ですからね…」
「そうだな。」
「流石ホ…ヴィクトル様!あまりの余裕に落ち着いていらっしゃる!」
マイナのホノカへの評価が、昨日落ちた分を一気に取り戻す。
「まぁあな」
パチパチ
マイナはホノカの余裕ぶりに手を叩き褒める。
「私達は此処までです…
必要ないと思いますけど応援させてください。」
ホノカ達は試験が行われる教室についた。
「いや助かるよ」
「!、頑張って来てくださいね!」
「あぁ」
「どうしよ…」ボソ
(「勉強してねぇ〜ーーーーー」)
さっきからホノカはずっと余裕なフリは、ただ勉強していなくて諦めて遠い何処かを見ていたにすぎない。
ホノカはそんな顔しながら試験の教室へと入っていく。
「お待ちしておりました。どうぞ此方へ」
ホノカは客人かのように手厚く扱われる。
しかしそれも今だけある。
結果がどうであれ明日からは一生徒になるからだ。
結果が出るまではペンドラゴンの客人として扱われることになっている。
「こちらが解答用紙と問題冊子になります」
試験から渡されたのは表面のみの三枚の解答用紙と教科書ほどの問題冊子だった。
ホノカはポーカーフェイスを決め込んでいてが、内心では…
(「は!?、嘘だろ!?、これ全部やるのか!?これで95以上取らないといけないのか!?」)
内心ではここの試験に驚愕、困惑していた。
「問題ないですか?」
試験官は微笑みながらホノカに問いかける。
「あぁ」
(「この問題が大問題あるわ!」)
ホノカは心の中で文句を叫ぶ。
そんな余裕そうに見えるホノカをみて試験官は淡々と説明する。
「制限時間は2時間30分となります」
「…」
(「はぁ!?!??!!!!」)
「では始め!」
そして無情にも試験が開始されていく。
ホノカは諦めて問題用紙を開くが…
(「わからねぇ…」)
早速難問にぶつかってしまう。
内容はホノカが知らない偉人の詩に関する問題だった。
ホノカは試しに次の問題文を読むが、次の問題の数式もわからない。
ホノカは神法術で時を止めて全問題を見るが、解けるのは魔法に関する問題とダンジョンに関する問題の2問だけだった。
ホノカは神法術を一旦解除して最初の問題に戻る。
(「どうすんだよ!これじゃSクラスは無理だぞ…」)
ホノカは顔には出さないが内心では滅茶苦茶焦っていた。
(「こうなったら…」)
(時空神法術 ストップワールド)
ホノカは学校の時空そのものを停止させた。
(「さっさと見つけるか…答えを!」)
ホノカはテストを解くのを諦めて正答用紙を探しにいった。
(20分後)
ホノカは焦っていた…
「無い…」
ホノカは学校の殆どを探し回ったが、正答用紙を見つける事が出来ていなかった。
「外との時間差がこれ以上できるのは
はまずい…どうする…?」
ホノカは試験の教室で歩き周りながら、打開策を考える。
「こうなったら…」
ホノカをアイテムボックスをだして、徐ろに探し出す。
ホノカは以前使ったローブを取り出してそれに着替える。
「あとは…」
ホノカは更にEP完全回復薬を10本以上取り出す。
「準備は出来た…じゃあ、やるか…」
(「時空神法術 ストップワールド」)
ホノカの神法術は『光の大陸』を覆う。
「よし…あとは…」
ホノカは回復薬を飲み、問題冊子を持ち出して何処かへ行く。
「此処か…」
ホノカが向かった先は学園の図書館だった。
ホノカは図書館に入る。
「えっと…まずは」
ホノカは問題冊子を開き、問題に関係する書物を探し始める。
「これと…これと…あれもか…」
書物を10冊を積みかせると、それを転移して教室へ持っていく。
この行為を回復薬を飲みながら10数回繰り返す。
「これで大体揃えたぞ…」
ホノカは机に座り、試験に取り組み始める。
(5時間後)
「畜生!!!何で答えないんだよ!」
ホノカはこの5時間、手と口を休めずに試験に取り組んでいた。
回復薬は49本を消費していた。
「これで最後の問題だ…」
ホノカは95点を取れるように問題を解き終わった。
「あとは…」
ホノカは50本目の回復薬を飲む。
(時間神法術 バックタイム)
時間が逆行していく。
ホノカは約5時間の時を巻き戻す。
ホノカはローブを脱ぎ、元の服装に戻る。
「解除」
ホノカは神法術を解除して、時間がやっと動き出す。
時が逆行したために白紙に戻った解答用紙に先程覚えた答えを書いていき、試験が終わる。
(会議室)
教師陣が集まり、ホノカの試験結果を確認していた。
バン
「これはどういう事だ!」
一人のマントヒヒの獣人教師が憤慨して机を叩く。
「エアートル教授、落ち着いてください。」
向かいにいた人族教師が諫める。
「これが落ち着いていられるか!!!
この試験は高く見積もっても10点代しか取れない筈だぞ!それなのに97点だぞ!」
「わかっております…だから話合うために教授全員が集まったのですよ…」
「我々も驚いていますし、困惑しているんですよ…
ペンドラゴンの貴族を不合格にし金銭を要求して裏口入学させ、更にはその事を脅迫してペンドラゴンとの交渉を有利しとうとした計画が水の泡ですよ…」
実はホノカの受けた試験は、本来の試験よりもかなり難しく作成されていた。
ホノカが不正をしなければ絶対に受からなかっただろう。
因みにホノカは95点にしたつもりだったが、分かる魔法の問題を序盤に答えてしまい2点多くしてしまっていた。
ウシガエルの獣人教師は不満そうな顔して話に入る。
「私に相談無しもなしにそんな事をしていたのですね…」
「ドゥエル教授…それは…」
そこにいたのは『神の使徒』のグエルだった。
「私はこの国の為になるのならば、政治を学園に持ち込むのも有りだと思っています…しかしそれがこの国の為にならない…この国の害なるならば私は貴方達を決して許さない」
グエルは殺気を放ち教師陣を脅す。
「わ、わかっています…」
教師陣はグエルに気圧されてしまう。
「し、しかし、どうするのだ!?
この小僧を入学させたら、授業の内容との差に気づき我々が不正したのがバレてしまうぞ!」
先程のマントヒヒ教師がグエルに圧倒されながらも何とか虚勢を張る。
「入学させるしかありません」
「グエル教師、ですが…」
「ですが何です?そうするしかないでしょ…勿論貴方方の不備も認めて…」
「「何!?」」
「そんな事出来るわけ…」
マントヒヒ教師が身を乗り出して抗議しようとするが…
ギロリ
グエルは睨みだけでマントヒヒ教師を黙らせる。
「これ以上我が校…このイグラシアに泥を塗る行為を私が許すとでも思うんですか?」
「うっ…」
「問題はありませんね?」
グエルは他の教師陣を見つめて聞く。
「「「…」」」
教師陣はグエルに何も言得ずに了承する。
「では彼を…ヴィクトル・オニギリを入学を許可。Sクラスという事で」
こうして職員会議は締め括る。
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