第17話:神の使徒(デオ・アポストロ)
「ありがとう…ホノカ君…」
「まだ保つか?」
ホノカは振り向かずに返す。
「あぁ…何とかね…」
「誰だね?君は」
アーゼルは怪訝な顔してホノカに質問をする。
ホノカはアーゼルを無視して“鑑定”する。
氏名 ヴァートラン・スミス(憑依)(邪神の悪しき加護)
種族 人族(転移者)
所属 神の使徒
レベル500(+1,300)
第一職業 炎王
第二職業 風魔導師
第三職業 闇魔導師
称号 闇を堕ちした転移者、同族殺し、憑依されし供物
(「コイツが幹部か…?」)
「お前が『神の使徒』でいいのか?」
ホノカは単刀直入に質問をする。
「…何故、貴様がその言葉を知っている?」
アーゼルは何とか平静を装っていたが、焦っていた。
「!?、まさか、貴様か?ペンドラゴン支部の研究施設を破壊したのは?」
アーゼルは最近の出来事を思い出し、つい口に出してしまう。
「やっぱり…」
「おい!答えろ!」
スパン
ホノカはデバフ効果の装備を全て外した全力の手刀で頭を吹き飛ばし、一瞬で戦い終わらせた。
戦い終わらせたホノカはアーサーに近寄る。
「今治してやる…」
(風回復神法術 ゴッドブレス)
ホノカはアーサーの傷を完治させる。
「あ、ありがとう…」
自身の重度の火傷や傷を完治させた事に驚くが、しっかりと礼をする。
「すまないが…これをアイツに貼らないと…」
アーサーは御札を取り出す。
「これは?」
「それは滅霊符と呼ばれる御札なんだ。私は本来主に強い不浄の存在…高位のレイスやアンデットを倒すのが役目でね…」
「てことは…」
ホノカは知っていたが、知らないふりをして話す。
「あぁ…アイツは恐ろしくノーライフキングか何かだと思う…」
アーサーはアーゼルに近づく。
「うっ…コイツ…」
グチャ、グチャ…
アーゼルの身体は頭を再生しようとしていた。
「こんなこと初めた…」
ペタ
アーサーはアーゼルの首近くに御札を貼る。
シュン、ガチガチ
御札から呪文が書かれた帯が出現してアーゼルの身体を覆う。
「君のお陰だ…ありがとう…」
アーゼルは頭を下げてホノカに感謝する。
「気にしないでくれ、俺に利があってやった事だ。」
「だけど私は助けられた…余計なお世話かもしれないが私の方から冒険者ギルドに君をX級冒険者に推薦しておくよ」
「結構だ…今やりたい事にこれ以上の名声は邪魔なんだ…」
「そうか…なら邪魔をするわけにはいかないな…すまないがコレは僕の組織が管理して処分する」
アーサーはミイラの様になったアーゼルを担ぐ。
「あぁ…任せる」
ホノカは“嘘感知”でアーサーが嘘をついていない事を知り、アーゼルを任せた。
「じゃあ悪いが他に用があるんだ」
ホノカは本来の目的の為にアーサーと別れる。
「あぁ、僕も仲間に連絡しないといけないから」
アーサーはアーゼルを担ぎながら教会を去っていく。
ホノカはアーサーを見送ると、教団の関係者を“鑑定”をして探し始める。
ドーーーーン
「は?」
教会の内部から爆音が聞こえる。
「まさか…」
ホノカは怪訝な顔して何かを察する。
(教会の内部)
「はぁ…はぁ…」
阿立はボロボロになり膝をついていた…
阿立の前には大崩達一班が…
「テメェは中々、死なねぇな!」
大崩は混乱に情して脱獄していた。
それにより数人の生徒が犠牲になっていた…
氏名 大崩スバル(邪神の悪しき加護)(光神の恩寵)
種族 人族(転移者)
レベル74
職業 なし
称号 同族殺し
恩寵『異世界言語』
加護『重力魔法Lv.60』、
『身体強化Lv.MAX』
『棍術Lv.50』
『裁縫Lv.80』
『盾術Lv.40』、『剣術Lv.10』
『炎魔法Lv.30』
呪詛『加護の譲渡』、『加護への執着』
阿立は他の生徒を守る為に一人で5人の攻撃を受け続けていた。
「いい加減死ねよ!」(“剣打”)
大崩は炎を纏った剣技で阿立に切りかかる。
「阿立君!」「いやぁ!」
パシ
既のところでホノカが大崩の剣技を素手で受け止める。
「なんだ…テメ…」
ズン
「ごふ」
ホノカは大崩の腹にパンチを叩き込む。
「何してん…」
ゴン、ズン、ガス、ズド
ホノカが今度は一班全員を制圧する。
「おい…大丈夫か?」
ホノカは阿立に手を貸す。
「あぁ…」
阿立はホノカの手を借りて立ち上がる。
阿立に守られていた他の生徒達が近づいて来た。
「君は?」
「俺は三条に頼まれてお前らを助けに来た。冒険者だ」
「え!」「三条に!」「嘘だろ?!」
生徒達はホノカの言葉に驚き興奮してしまう。
「三条君は生きてるのかい?」
阿立は冷静に不安そうな顔でホノカに質問する。
「あぁ、生きている」
阿立はホノカの目をじっくりと見つめてホノカが嘘をついていない事を直感で感じとる。
「そうか…良かった…」
阿立は安心して左目に一粒の涙を溢す。
「悪いが生徒全員を集めてくれ、
9人程既に保護しているから、それを頭に入れておいてくれ。」
「9人って?」
他の生徒がホノカへ質問する。
「名前は知らないが全員女だ。残りの説明は後でする。今は急いで他の生徒を集めてくれ。集合は此処だ」
「あぁ…わかった!」
生徒は他の生徒達を呼びに駆け出して行く。
(法国の高級宿泊施設)
「あぁ、滅霊符は一様効いてるみたいだが、コイツは他のと違う。だから早く処理したい。早く来てくれ」
アーサーは仲間に連絡していた。
「そんなにかかるのか?あぁ、わかった…」
アーサーは投げる様に連絡用魔導具を投げる。
「全く…今週のうちに決行することは伝えていたのに…準備が遅れているってどういう事だ…」
アーサーは組織への愚痴を溢しイライラしながら、部屋から出て行く。
部屋の外に待機している部下と話を始める。
『すまない、食事を買ってくる。少しの間部屋を空ける。誰も入れないようにしてくれ』
『はっ!』
スタスタ…
アーサーの足音が遠ざかって行く。
ガコ
綺麗な装飾がされた壁が一部部分が外れて、そこから人が出てきた。
法国内の施設は三代前の教皇の指示で皆この様に侵入出来る設計になっていた。
部屋に入ってきた人物は教会で転移者達と関わっていいた修道女だった。
「アーゼル様…」
彼女は泣き始める。
「邪教徒達にこんな仕打ちを…」
彼女は泣いたままアーゼルに抱きつく。
彼女は教団の関係者だはない。
その為にアーゼルが邪教徒…他の神の教徒達に殺されたと思っている。
「今お救いします…」
バン
「そこで何をしている!」
アーサーの部下が部屋の異変に気づき、修道女を止める。
部下は修道女を手を掴みアーゼルが引き剥がす。
「いやぁぁぁ!アーゼル様!」
「来い!」
修道女は抵抗するがアーサーの部下に部屋の外に連れて行かれる。
「邪教徒が放しなさい!」
「は?あんたな、アレは…」
ズン
「ふふ」
復活したアーゼルによりアーサーの部下は心臓を貫かれる。
ズシュ
アーゼルは死体から手を引き抜く。
「アーゼル様!」
修道女の復活に喜び抱きつく。
「君は…ミルカ君だね」
「はい!」
「ありがとう…」
「いいえ!いいのです!私は…」
アーゼルはミルカの頬を優しく撫でて…鷲掴みにする。
「え?」
修道女は困惑する。
(闇魔法 ドレイン)
「え…え…え…?」
修道女は徐々に干からびていき…絶滅する。
「あぁ助かった…あの札の所為で魔力が回復しなかったのに…君のお陰で少量でも魔力が回復して再生出来たよ…ありがとう…」
アーゼルの再生出来ていなかった後頭部がミルカから奪った全てのEPで再生していく。
「コイツも回復に使えばよかったな…」
アーゼルはアーサーの部下を足で踏む。
「さて…あのガキを捕らえて我が新しい身体にしなくてわ…」
アーゼルは不気味な笑みを浮かべながら…外へと向かう。
「きゃーーーーーー」
そして法国の人々を次々に殺していく…
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