第11話:いざ、入国
ホノカとポーラは光神法国から一番近いウラの森にいた。
ホノカはペンドラゴン王国に待機していた従魔達を召喚して、以前の隠れ家より小規模な小屋を作り、ポーラと話していた。
「ポーラ、お前は此処で待ってなさい」
「うん…」
ポーラはホノカを困らせないように頑張って頷く。
「ごめんな…」
ワシャワシャ
ホノカはポーラの悲しそうな顔に居た堪れずに慰めるように頭を撫でる。
「お前らポーラを頼む」
「「「「「はっ!」」」」」
ホノカはポーラを従魔達に任せて光神法国へと向かう。
(光神法国の門)
数人の門番が三つの列に入国希望者を審査していた。
ホノカの番がきた。
「身分証を」
ホノカは何も言えずに門番に身分証として冒険者証を渡す。
「ん?」
門番は冒険者証を見た後、ホノカを睨む。
「何処で盗んで来た知らないがお前みたいな子どもがS級冒険者なわけないだろ。次」
門番は冒険者証を返さずに次の入国審査をしようとする。
「おい。冒険者証返せよ」
「ふっ、これは私が責任を持って持ち主に返す。子どもは帰れ」
門番は嘲笑うようにホノカを遇らおうとする。
「じゃあ俺がS級冒険者と証明出来ればいいのか?」
「は?何言ってんだ?いいから早く…」
ホノカは拳を振りかざし…
ドッカーン。
拳は地面を叩き割る。その地面のひび割れが門に伝わっていく。
ホノカは立ち上がり埃を払いながら門番に話かける。
「これでどう…」
「お見事!」
パチパチパチ
門番は他の列の審査を行なっていた門番と一緒に拍手をしていた。
「え?」
ホノカはワザと問題を起こし、国内に入るつもりだったので、門番の掌返しに驚いてしまう。
「いや〜。先程は失礼な態度を取ってしまい大変申し訳ございません。どうぞ入国してください」
門番は満面の笑みでホノカに冒険者証を返し謝罪する。
「え?いいのか?俺は門を壊したんだぞ?」
「気にしないでください!これは無能な私の所為ですから!ホノカ様は気になさらず!」
ホノカは門番の態度の変わり様につい質問するが、門番は笑顔で自身の責任であるとホノカの質問を一脚してしまう。
「そ、そうか…」
ホノカは門番に掌返しに圧倒されてしまう。
「どうぞどうぞ」
他の門番達はホノカがボロボロにした門の扉をこじ開けて、門番はホノカを招き入れる。
「…」
ホノカは彼らの態度を気味悪がり引いた顔をするが目的があるので入国ていく。
「あ、ホノカ様!」
門番はホノカを止める。
「な、なんだ…?」
「冒険者ギルドならこのまま真っ直ぐ行って、噴水広場にある左側の大きな建物ですよ!」
門番はわざわざホノカに冒険者ギルドの場所を教える。
勿論、彼は普段こんな事しない。
「そ、そうか、助かる…」
ホノカは一様感謝はする。
「はい〜。」
門番は笑顔でホノカを見送る。
(「全く…アイツ、いやアイツら気味が悪い…」)
ホノカは心の中で愚痴りながら街を歩いていく。
「…」
ホノカは法国の様子をみる。
法国は設備が整っている。
『光の大陸』で最も古く存続し続けているのが、歴史を感じる昔ながらの建築物は修繕され今尚残っている。
そんな建物と少しチグハグに感じるが民家や宿などは真新しい建物ばかりだ。
「あれは聖騎士か?」
ホノカの目の前に同じ鎧に身をつつみ規則正しく列になりながら歩いて来た。
「ん?」
暫く歩くと今度は先程の騎士とは違う鎧が現れる。
「法国は部隊ごと鎧が違うのか?」
ホノカにとってペンドラゴン王国では全騎士が同じ鎧をしているので法国の騎士達の装いが不思議だった。
ホノカは不思議に思うが、そのまま歩いていく。
「これっぽいな」
ホノカは噴水広場に着いて冒険者ギルドを見つける。
ホノカはそのまま冒険者ギルドへ入っていく。
「?」
ホノカの冒険者ギルドとは異様な光景に首を傾げる。
そこにいる冒険者達は全員が騎士のような身を包んでいる。
しかも酒場ではなく喫茶店のようなオシャレな場所だった。
「は?」
ホノカは一回外に出て冒険者ギルドの看板を見る。
(「やっぱり冒険者ギルドって書いてるな…」)
ホノカは看板を見た後、再び冒険者ギルドに入って行く。
「…」「…」「…」
騎士の様な冒険者達は何も言わずのホノカを見る。
(「気味悪いな…」)
ホノカは心の中で愚痴を思いながら、そのまま受付へ向かう。
受付の(牛の)獣人の男性がホノカに気づく。
「何でしょうか?」
「すまないが、この法国に来たばっかりで此処は冒険者ギルドで間違いないんだよな?」
ホノカは受付の男性に疑問をぶつける。
「はい、間違いないです。貴方は冒険者ですか?」
受付の男性もホノカに疑問をぶつける。
「そうだ」
「そうですか…失礼ですが冒険者証を確認しても?」
「あぁ」
ホノカは冒険者証を受付に渡す。
「これにお手を…」
受付は地球儀の様な形状をした魔導具を取り出し、魔石に手をかざすように指示する。
受付は魔導具の結果を見つめる。
「はい、確認が完了しました。どうぞお返しします」
受付は魔導具を下げて冒険者証をホノカに返す。
受付は先程の門番と違い態度を変えずにホノカに対応する。
「今日はどうなさいますか?」
「一様依頼をするつもりなんだが此処に依頼ボードは無いのか?」
本来冒険者ギルドには依頼書が貼られたボードが置かれているが、このギルドにはそれが無い。
受付が説明を始める。
「ここの冒険者ギルドではボードがありません…そして基本は一人での狩りを認めてはおりません。これは冒険者の生存率を高める為のものです。
ですが、S級冒険者はA級相当の依頼までご自由にお受けください。
S級相当、Sレートの討伐依頼などはこの国での実績と面談で判断致します。」
法国では自由に依頼を受ける事が出来ない。
法国に所属している冒険者は全員がパーティを組んでいて、実績と面談で依頼を受付が判断してから受注する。
この方法により法国の冒険者は死亡率ゼロ%を維持している。
この方法は何世代も前から続いたやり方である。
「そうか…ならA級で一番難しい依頼をやらせてくれないか?」
「かしこまりました。少々お待ちくだい」
受付は依頼書がまとまった巨大な冊子を取り出す。
ビッ
受付は紐でまとまった依頼書をそのまま引っ張って取り出す。
「こちらは如何でしょうか?」
ホノカは依頼内容を確認する。
その依頼内容はブラックトレントの討伐だった。そしてその依頼内容には注意書きがあり…
(「ん?勇者がその場にいた場合は勇者に譲る事…?」)
「すまないが、この勇者ってのは?」
「はい。勇者というのはこの法国の神殿に所属している勇者様達です。彼らはまだ未熟で鍛えなければならないのでその場合は勇者様にお譲りする事になっております。」
「そうか、そうなった場合、依頼はどうなるんだ?」
「まず報告していただきます。そしてこちらで神殿に確認をとり、報告に間違いがなければ依頼は達成した事になります。」
「わかった、じゃあ依頼を受ける」
ホノカはそのまま依頼を受ける事にした。
「かしこまりました」
受付は手続きをする。
「これが貴方の控えになります」
受付はホノカに紙切れを渡す。
ホノカは紙切れを受け取り何も言わずに冒険者ギルドを後にする。
しかしそこに…
他の冒険者達がギルドに今新しく入ってきた冒険者に驚く。
「嘘だろ…」
「アーサー・シールだ…」
「X級冒険者…」
其処にいたのは冒険者の最高峰でX級冒険者のアーサー・シールだ。
「ん?」
アーサーはホノカの存在に気付く。
そしてアーサーはホノカの方へと向かって行く。
「いやぁ、はじめましてアーサーだ」
アーサーは自己紹介を簡単に済ませてホノカに握手を求める。
「ホノカだ」
ホノカは握手を返す。
「…君此処に来たばかりかい?」
アーサーはホノカを手を握ると何かに気づくが、そのことには触れずに別の質問をする。
「そうだ」
「そうか…もし何かあったら僕に声をかけてくれ…」
「?、あぁわかった」
ホノカはアーサーの態度に疑問を感じるが用事を済ませたかったので質問する事なく返事をする。
「では…失礼するよ…」
アーサーは会釈をして受付の方に向かう。
(「何だったんだ?」)
ホノカはアーサーの後ろ姿を見た後、そのまま冒険者ギルドを出る。
◇
(アーサー視点)
はぁ…はぁ…彼は何だったんだ…?
彼と握手して…感じたあの悪感は…
身体の震えが止まらない…
「アーサー様大丈夫ですか?」
「あぁ、すまない…ちょっと疲れていて…」
「そうですか、ご報告は後でお聞きしますか?」
「大丈夫だ…」
彼は間違いないX級になる…
そして彼ならアレを出来るかもしれない…
◇
(ギラーレ山脈の付近の名もない森)
「さぁ…やるか…」
(「光影神法術 神の目『ユーガ・トライーガ』」)
ホノカは神法術を使用始める。
神法術の範囲は広がって行く。
やはりそれと同時にホノカの顔色は悪くなっていく。
ホノカは倒れ混んでしまう。
「はぁはぁ、はぁ…く、くそ…」
ホノカは法国を含む周辺3ヶ国を範囲したがユーガはいない…
ドン
ホノカはたまらず地面を殴りつけクレーターを作る。
「結局教団を探さないといけないか…」
(「まずトレントを何体か見繕うか…」)
ホノカはトレントを探しに行く。
「ん?なんだアイツら…?」
ホノカの数十メートル先に6人組が走り去って行く。
「?」
スン
(「血の臭い…」)
ホノカは6人組が去るのを確認してからゆっくりと血の臭いの元へと近づいて行く。
そこに倒れていたのは青年だった。
「だ、れ…?」
彼は掠れた声を絞り出す。
「安心しろ治してやる」
ホノカは彼の気を繋ぐ為に声をかけるが…
彼は事が切れてしまう…
「ちっ…さっきので蘇生のEPが足りない…一回隠れ家に連れて行くか…」
ホノカは彼を抱えて隠れ家へ連れていった。
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