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異世界再生神話〜神は万能ではない〜  作者: 犬星梟太
第三章 邪神始動編
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第10話:混沌の転移者達5

3班は今日の狩りの準備をしていた。

既に準備が終わっていた三条と浦杉は集合場所に行っていた。


「田本、俺の短剣見なかったか?」


「おい、またか?武器を失くすお前くらいだぞ?」


山本は最近武器を失くしている。


「な、なくしているんじゃねくて、何処に置いたか思い出せないだけだよ…」

山本の苦し紛れの言い訳は段々と声が小さくなる。


「それを失くしてるっていうんだよ…」

田本は友達の言い訳に呆れる。


「これ、もし良かったら使って」

阿立は困っていた山本に自身の短剣を貸そうとする。


「か、借りれないよ!」


「解体ように買った短剣だから気にしなくいいよ。」

阿立は山本の手を取り、優しく手のひらに短剣を乗せる。


「返すのは見つかったらでいいよ」


阿立は言い終えると準備が完了していた為、部屋から出て集合場所に向かう。


「阿立君の為にも早く見つけろよ?」


「うん…」

山本は申し訳無そうな顔で短剣を見つめ俯く。


ガチャ


二人が話していると浦杉が戻って来た。


「あれ?どうした?浦杉」


「ちょっとね…」


「「?」」


(一班の部屋)


「今日やるんだよな?」


「あぁ」


「でもやばくないか?アイツ…」


「ビビんなって、それに…協力者がいるんだぜ?間違いなくヤれる…」


彼らは考え無しの良からぬ計画を進んでいく。


(教会の前:集合場所)

全班が集合を完了していた。


修道女が前に出て話始める。


「皆さま、今回狩りを行う場所はいつもと違い、ギラーレ山脈で行ってもらいます。

理由は簡単です。皆さまの力が成長しているのに、今までの場所では貴方が成長が止まってしまうからです」


戦績の良い班は一部を除き説明に納得するが、戦績の悪い班は全員が不安な顔が残る。


しかし、不安があっても何も言えない。言って今以上に酷い扱う受けるを恐れて…

非戦闘スキルの対応は元から酷かったが、日に日にそれはより劣悪なっていた。


山本のように物が無くなったり、

部屋のベットメイキングがされていないだけでなく、非戦闘スキルのシーツで掃除がされていてそれが汚れたままベッドに置いてあったり、

非戦闘スキルの報酬が支払われてないなど他にも彼らは酷い扱いを受けている。


「それでは皆さん!ご武運を!」

修道女は笑顔で見送る。


戦績の良い班の戦闘スキル持ちの足取りは軽く、戦績の悪い班は全員が足取りが重かった…


(ギラーレ山脈)

3班が早速新天地で下位のワイバーンと戦闘を行なっていた。


「行くぞ!」


3班の装備は阿立と三条のおかげで潤沢になっていた。


田本はボウガンと盾、ヒュージボアの革鎧。

山本は阿立から借りた短剣、手裏剣、同じくヒュージボアの革鎧。

浦杉はメイス、丸く小さめの盾、ヒュージピッグの革鎧。


他の非戦闘スキル持ちでは考えられない充実した装備をしていた。


「僕が引き付ける!田本、浦杉は足を攻撃してくれ!」


「おう!」「うん!」


この数ヶ月で彼らの連携は上級の冒険者レベルになっていた。


ザク


山本がボウガンでワイバーンの目を撃ち抜く。


「ゴアアアアア!」


ギロ


ワイバーンは攻撃をされると山本を睨む。


山本は動じずにボウガンに矢を装填する。


「ガアア!」

ワイバーンは3人を無視して山本に咬みとこうとする。


しかし…


ズン!


木から阿立が降りて来た。


ワイバーンを構わずに阿立ごと咬みつく。


ガシ。


阿立はワイバーンの牙と顎を掴む。


ズズズズズズ。


ワイバーンの巨体とスピードも相まって阿立は勢いを殺しきれずに後退する。


「助かる!」


三条達が押されている阿立をカバーする。そして三条はワイバーンの首に剣を突き刺し、更に2人がその剣に体重を乗せる。


「グゥ…」ずずーん…


ワイバーンの首はへし折れてワイバーンは絶命する。


「よし、無事に倒せたね」

三条は一息つきながら、労う為に声をかける。


「う、うん…」

田本は息を切らしながら返事をする。


「お疲れ」

三条は肩を叩きながら自分の配給されていた干し肉を渡す。


「ありがとう」


三条は他の二人も労おうと周りを見渡す。

「あれ?山本君と浦杉君は?」


「浦杉君が山本君に用があるって二人でどっか行ったよ」

阿立が二人の事を話す。


「え?二人だけで行かせたのかい?」


「うん。ついて行こうと思ったけど、『二人だけで話したい』って言われたから、二人だけで行かせたよ」


「そっか…それならしょうがないか…(?)」

阿立の言うことも分かるが非戦闘スキルの二人を別行動させてしまって良かったのか三条は悩む。


(「阿立君はイジメられていた所為か、協調性があるようで無いんだよな…」)


三条はこう考えているが、もし阿立と同じ状況にだったら阿立と同じことをしていた。

阿立も考え無しに二人きりさてはいない“索敵”で周囲の安全を確認している。


「じゃあ僕が二人の様子を見てくるから二人が此処で待っていて」


「うん」「わかった…」


三条は暫く歩くが二人を見つける事が出来ない。

取り敢えず足跡を追っている状況だ。


「何処まで行ったんだ?」

三条は二人への心配と呆れで疲れてもいないのについボヤいてしまう。


「?」

(「足跡が増えた?誰かに会ったのか?」)


其処には追いかけて来た二つの足跡の他に五つの足跡がある。


「この数的に違う班と合流したと思うけど…僕たちに声をかけずに二人を連れて行ったって事は一班…?」

三条は呟きながら最悪の事を予想して剣を握りしめる。


(「阿立君にも加勢して欲しいけど…田本君を一人にする訳にはいかない…僕一人で何とかするしか…」)


「よし、行こう!」

三条は決心して足跡を走って追いかける。


三条は暫く走っていると縛られた二人を見つける。


「山本君!浦杉君!」

三条は二人の名前を呼び近づいてしまう。


「んんん!」

山本は名前を呼ばれて三条に気づいて声を出そうとするが口に布を抑えられて話す事が出来ない。


「重力魔法 グラヴィティプレス!」


「くっ…」


三条は大崩の魔法により三条を押さえつける。


「計画通りだ!一人で来やがった!」

大崩は三条を捕らえた事に喜ぶ。


「何でこんな事を…?」

三条は押さえつけられながら、大崩を問いただす。


「そんなの決まってるだろ!調子に乗ったお前らを殺す為だよ!」


「え…?」

三条は大崩の言っている訳の分からない逆恨みを理解する事が出来ない。


「脳筋のテメェじゃ理解出来ねぇか!この俺が説明してやるよ!

テメェも阿立も特別な力を手に入れたからって踏ん反り返って、俺らの事を下に見てんだろ?」


「それは君にも当てはま…」


「うるせぇ!そういうところだよ!」

大崩は三条に論破されそうになり、三条の話を遮る。


「そのふざけた口聞けなくしてやるよ!」

大崩は魔導銃を懐から取り出す。


「銃…?」


「あぁ、これか?これは神殿にあったのを掻っ払って来たんだよ…」

大崩は楽しそうに入手方法を説明する。


「クズだな…」ボソ


「あぁ?!」


「まるで子供の癇癪だ…」ボソ

三条は小声で挑発する。


「もう一度言ってみろ!」

大崩は三条に近づて行く。


「“身体強化・極”」ボソ


バコン


三条は跳躍して一気に大崩に近づく。


しかし…


グサ


「うっ」


山本のボウガンを盗み潜んでいた大崩の仲間が三条の手を撃ち抜く。


「解除」


大崩は何故か魔法を解除する。


「“縮地”」ボソ


グサグサ。


三条の胸と腹に2本の剣が後ろから刺される。


「ゴフ…」

三条は吐血する…

そしてそのまま膝をつく。


「やったぞ!あの三条をやったぞ!」

「いぇーい!」

「おい!レベルが二つも上がったぞ!」


同級生を殺したにも関わらず彼らは狂喜する。


(「阿立君に伝えないと…」)

三条は辛うじて生きていた…


「頼む…」

三条はナイフを投げて山本の縄を切る。


「まだ生きてるぞ!」


「そっちじゃねぇ!人質が逃げちまう!」


「追えよ!カイト!」


「馬鹿!まだクルータイム中だ!」

彼らは予想外の事態に慌てる。


「落ち着け!一人なら俺らで何とか追いつく!」

大崩が混乱した仲間を何とか指揮する。


(「逃げないと!逃げないと!」)

山本を振り向かずに走り抜ける。


「山本!」


しかし一班の魔の手はすぐ後ろまで近づく。


(「逃げないといけないのに…」)


『条件を満たしました。スキル“縮地”を獲得しました。』


「え…」

山本は新しくスキルを獲得した。


「しゅ、“縮地”!!!」

山本は何とか一班を振り切る。


「はぁ?!」

「アイツ“縮地”持ってたのか?!」

「そんなわけねぇだろ!」

彼らは再び揉め始める



「ち、畜生!!話が違うぞ!浦杉!!!」


浦杉が縄を自分で解き立ち上がる。


「落ち着いて…」


「落ち着けだち!?」

大崩は焦り興奮で浦杉の胸ぐらを掴む。


「はぁ、彼が報告したとして証拠は血の匂いに釣られて来るモンスター達が食べてくれる。彼は非戦闘スキルだと思われているし、こっちは戦闘スキル持ち5人だ。神殿側がどっちの証言を信じると思う?」


「そ、そうか…」

浦杉に説明され大崩が少し冷静になる。


今回の三条暗殺を計画したのは浦杉だ。

一班を嘘の情報で焚き付け、更に暗殺計画を持ちかけた。


その為三条はこの状況から浦杉を怪しんで山本だけを助けた。


「さぁ、僕たちは落ち着いて戻りながら辻褄と話を合わせよう…」


浦杉と一班は一緒に戻っていく。




「ゴフ」

(「やっぱりか…」)

三条はまだ生きていたがその命はもう長くはない…


何とか身体を動かそうとするが、指のつま先すら動かない…


そんな三条に何者かの影が近づいてくる。


「だ、れ…?」

尽きる寸前で霞む目と逆光で近づいてきたのが誰かは判別する事が出来ない。


(「もう…駄目だ…」)

三条は生き絶えてしまう…


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