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異世界再生神話〜神は万能ではない〜  作者: 犬星梟太
第三章 邪神始動編
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第6話:二悶着?(怒)

もぐもぐ


ホノカとポーラはメロネ王国の西の町に着き、人の金で飯を食べていた。


「美味しいね!お兄ちゃん!」


「そうだな、って口に食べカスがついてるぞ」


ふきふき


「ありがとう!」


ポーラとホノカは二人で初めての外食を楽しんでいた。

兄弟水入らずの微笑ましい光景…


が横の積み重ねられた皿で台無しだ。


「…」


奢ると言ってしまったテウルは意識が飛びそうになっていた。

テウルの部下は顔引き攣られせたり、遠い目をしていたりと二人の食いっぷりに参っていた。


「おかわり!」


主に食べているのはポーラだ。

コーンスープ3皿、オニオンスープ1皿、

ミートパスタ5皿、黒パン20個、

ステーキ3皿、鳥の丸焼き1羽だ。

これを小さな子どもが一人で平らげている。


「え…」

テウルは「おかわり」の言葉で立ちくらみをする。


そしてポーラとホノカの食事は終わっていく…


「大丈夫か?」

ホノカは具合悪そうなテウルを気にする。


「だ、大丈夫だ…全然払えるぞ!」

テウルは聞いてもいない事を答える。


「ふふ、安心しろ、ポーラが食った分は俺が払うから、俺の分だけ払ってくれ」


「本当か!?」

テウルは泣きながらホノカに詰め寄って聞き返す。


「あ、あぁ本当だ」

ホノカは詰め寄られ若干引いてしまう。


「良かった〜、依頼失敗なのに金が無くなるかと思った〜」

テウルは部下と抱きしめ合いながら喜ぶ。

そして空いてる席に向かっていく。


(「俺もポーラがあんなに食うのは知らなかったから驚いてはいるが…」)


ポーラもホノカ同様に疲労していて、その疲労を発散出来ていなかった為に、身体の防衛本能により今日は信じられない程食べていた。


今も追加したステーキの他にほうれん草メインの野菜パスタを食べている。


「ポーラまだ食べるかい?」


「うん!」


「そうか…遠慮なく頼むんだぞ」


「うん!」


「じゃあお兄ちゃんはちょっと町長に話してくるから」


「んんんんんんん!」

ポーラは食べ物を口に含みながら喋ってホノカに手を振る。


ホノカは席を立つ。


「召喚魔法 タヌ太郎、ウル四郎」

ポーラの護衛に二体を召喚する。


「タヌ太郎、ウル四郎、ポーラの事を守ってやってくれ…護衛支障をきたさない程度なら飯食っていいからポーラに頼んで貰え」


「承知しました」「わかりました!」


「じゃあ頼んだぞ」


「「はっ!!」」


ホノカはテウル達の席に行く。


「すまないが…アイツらを見守ってくれないか?」


「あ、あぁ!それなら任せてくれ!」

テウルはやっぱり奢ってくれって頼まれるかと思いヒヤヒヤしていた。


「じゃあすまないが、頼む」


「「「はい!」」」

テウル達はわざわざ立ち上がり敬礼をしてホノカを見送る。


(町長の家)


コンコン


ガチャ


「何でしょうか…?」


ホノカを扉をノックすると窶れた女性が出てきた。


「町長に呼ばれた…」


「冒険者様ですね!」

女性は食いに気味に話す。


「あぁ…」

ホノカも珍しく気圧されて戸惑う。


「父さん!父さん!」

女性はホノカが冒険者だとわかると町長である父親の元に走って行く。


「どうしたんだ…?あの人」


暫く待つと町長がやってきた。


「?、冒険者様ですか?」

町長はホノカが若すぎた為に確認する。


「そうだ」


「そうですか…ではこちらへ…」


ホノカは町長に案内されて椅子に座る。


「お前は下がっていなさい…」

町長は側にいた窶れた女性を下がらせる。


「何の様で呼んだんだ?」


「実は…町の子供が消えているんです…」


「何…?」

ホノカはその内容に怪訝な顔をする。


「よくはわからないのですが…夜になると子供が一人消えて…次の日また夜になると再び子供が消えているのです…

それで孫が消えてしまったのです…

その所為で娘もあの様になってしまい…」


「成る程…」(「自分の子供が消えたからあんな風に…」)


「俺にお孫さんを探して欲しいわけでだな?」


「いいえ…どうか町の子供全員を見つけて欲しいのです…」

町長は頭を下げて、ホノカに懇願する。


「すまない…失言だった…」

ホノカは元から全員探すつもりだったが、言い方を間違えてしまった。


「いいえ…いいのです…私も無理な願いをしているのは承知しています…ですが村の親達は攫われて子を心配して心を壊し、攫われていない親も子供を守る為に真夜中ずっと起き身体を壊しているのです…」

町長は攫われた可愛い孫と元気だった娘を思い出し…更に疲弊している町民の事を考え涙を流す。


「誰かに願わずにはいられないのです…」

町長は泣きながら再び頭を下げてホノカに懇願すると…


ホノカはそれを止める。


「もう下げなくていい…その依頼受けさせてもらう」

ホノカは町長に優しく笑いかける。


「本当ですか!?」


「あぁ…」


「ありがとうございます…ありがとうございます…」

町長はホノカ何回も感謝し続ける。


「作戦を立てたいんだがいいか?」


「はい…」

町長は涙を拭き取りホノカの話を聞く。


「今のところでいい、何歳くらいの子供が攫われているんだ?」


「3歳から11歳です…」


「子供は何人攫われたんだ?」


「14人です」


「先程の年齢に該当している残ってる子供は?」


「恐らく8、いや10人ほどだったと思います」


「そうか…」

ホノカは頭の中で作戦を考える。


「すまないが正確な人数を把握して来てくれないか?」


「はい」


「あと該当する家族は広い所…出来れば室内がいい、そこにに集めてくれないか?」


「わかりました」

町長はホノカに何の質問せずに要求を呑み外へと向かう。


(町内の倉庫)


3歳から11歳の子供12人がいる7組の家族は祭りの道具など置かれている倉庫に集められた。


その家族の父親は目にクマが酷く疲労している。勿論母親もクマが酷く更に痩せている。


「町長…なんで俺たちを呼んだんだ?」

一人の父親は町長に対して怪訝な顔で質問する。


「今回の件でこの冒険者様に助けていただく事になったんだ」


「何?こんな子供が?」

その父親はホノカを見て更に怪訝な顔になる。


「不満ならこの場所から出て行ってくれて構わない」

ホノカはそんな家族を帰らせようとする。


「「えっ?」」

まさかの言葉に父親と母親達から変な声が出る。


「悪いが不満がある所為で潤滑に進まないのは避けたい…

不満のある家族は邪魔だから此処から出て行ってくれ」

ホノカは辛辣に告げる。


「ふん!お前みたいガキに任せるより自分で子供を守った方がいい!」

父親はムキになり家族を連れて帰っていく。


「すまないが俺達も…」

「俺らも…」

他にも二組の家族が帰っていく。


(「よし、これが囮なってくれる家族が決まったな…」)

ホノカは囮になる家族を選択する為に敢えて彼らを煽り、家に帰らせた。


「皆さんは作戦に参加していただくてって事でいいですか?」


ホノカは一様確認をする。


コクン


残った家族は作戦に参加する事に賛成して頷く。


「では子供は安全の為に今日から此処で暮らしてもらいます」


残った4組の家族がこの言葉に喜ぶ。


「事前に言っておきますが…子供を囮にして今回の件の犯人を捕まえます」

ホノカは嘘の作戦を家族達に告げる。


「え…」「そんな…」「ちょっと待ってくれ!」

家族は安心から不安な顔に戻ってしまう。


「安心してください。実際に攫わせるのではなく、俺と俺の従魔が此処で護衛をするし、心配なら一緒に護衛をやってくれて構わない」


しかし親達の不安は拭えない。


「皆の者!」

町長が大声を発する。


「この方にずっと子供達を守ってもらうわけにはいかないんだ!だからこそ、その犯人を捕まえなければならんのだ!

子供達と我々が安心して暮らせ様に我々が協力しなくてどうする!」


町長の言葉に親達も渋々ではあるが納得し始めた。


「一つ聞かせてくれないか?」

一人の父親がホノカに真剣な顔で質問しようとする。


「なんだ?」


「なんで協力してくれるんだ?」


ホノカは少し悩んでから話始める。


「俺にも攫われた弟がいるんだ…

あんたらの話が他人事には思えなかった」

ホノカは本当の事を話す。


「そうか…」

彼はホノカの言葉と顔を見て、ホノカの事を信じてこれ以上は何も質問などはしなかった。


そして話は進んでいき町民も数名が子供達の護衛することになった。


(夜)


ホノカは空に浮かんで町を見渡していた。


護衛は神法術で造った偽物に任せている。


(「もう2時間が経過したけどまだ“索敵”に引っかかる気配はないな…」)


ホノカは“索敵”のスキルで敵が来るのを待機していた。


「わざわざ攫いやすくしたんだ…来てくれよ…」

(「町長にも忠告しておいたし護衛も大丈夫な筈だ…」)


『もしかしたら子供を攫われた親の誰かが唆されて子供の誘拐に協力するかもしれない…護衛に攫われた親は選ばないでくれ』


『!、わかりました…』


ホノカは町長と個別で話をして懸念していること伝えていた。


「来たな」


町に敵が…今回の件の犯人が現れた。


(「現行犯で捕まえないとな…」)


(“隠密”)


ホノカは犯人の近くに行き、身を潜めた。


犯人は一人でホノカと同様に“隠蔽”スキルを使用していた。


犯人はニヤニヤしながら独り言をしている。

「馬鹿が、わざわざ警備を厳重にしている所を狙うわけねぇだろ。しかも全員集めずに、孤立している奴がいてくれる…プププ…攫らってくれって言ってる様なもんだろ。この計画を立てた冒険者馬鹿すぎ」


犯人はその計画を立てた本人が自分の側にいる事も気づかず…しかもその馬鹿にした冒険者の計画通りに、ホノカの手のひらで踊ってる事も知らずに一人で笑い続ける。


「いたいた…まず眠り粉で眠らせて…」


バシ


ホノカが犯人の手を掴む。


「なっ…誰」


モゴ


ホノカは犯人の口を抑える。


「どうも馬鹿な冒険者だ」

ホノカは怖い笑みを浮かべる。


「んんんんん!」

犯人は何かを話そうとするが口を抑えられて真面に喋れない。


「しー。子供が寝ているんだ。静かにしろ。ここじゃなんだ。上に行こうか」

(重力魔法 グラビティハイリバース)


犯人は空高く打ち上げられる。


「ぎゃあああああああああ!」


「おっと危ない…」


ホノカは雲を過ぎた頃で犯人の腹に紐を結んで止める。


「よ、子供攫い…」


「な、何をした!」


「そんな事より子供達は何処だ」


「言うわけないだろ!!!」


「じゃあさようなら。解除」

ホノカは重力魔法を解除して犯人を落下させる。


「ぎゃあああああああああ!」


「重力魔法 グラビティリバース」

ホノカは再び魔法で浮かせる。


「もう一度聞いてやる。子供達は何処だ?」


「言う!言う!子供なら俺達のアジトにいる!」


ホノカは犯人に案内させてアジトに向かう。


(犯人達のアジト)


犯人達は抵抗虚しくボコボコにされていた。


(「なんだ…教団とは関係ないのか…」)

ホノカは今回の犯人の裏側には教団がいると思っていたが、実際は違った。彼らはただの子供を攫って奴隷商に売り飛ばしていたクズ集団の盗賊達だ。


「すみませんでした。助けてください」

盗賊のボスがボコボコの顔面で更に泣きながらホノカに謝罪する。


ホノカは盗賊の奴隷商の情報を整理しながらボスの方を見る。

「それを決めるのは俺じゃない。町の人達だ。ちっ…既に売られた子達もいるな…おい、この奴隷商は何処にいる?」

ホノカは漆黒の瞳で盗賊のボスを見つめて脅す。


「今なら、あそこの町の近くの村で泊まっているはずだ!」

ボスはホノカに恐怖してそのまま話す。


「そうか…あと奴隷の売買はこの国で違法か?」


「え?」


「違法か?」

ホノカは再び脅す様に聞く。


「は…はい…」

ボスはホノカに恐怖して顔が真っ白に変わる。


「…」

ホノカは無言で盗賊達ごと転移していく。


(翌朝)

町の広場にこの奴隷売買に関わった盗賊、奴隷商、商人、貴族がボコボコにされたて座らされていた。


町長はこの光景に驚愕していた。


「ぼ、冒険者様、この方々は一体…?」


「今回の件に関わった全員だよ」


「この者達が!?しかもい、1夜にして全員を…?」


「まぁな」


「子供達は…?」


「…」

ホノカは何も言えずに町の入り口を指を差す。


「!?」


入り口にはメロネ王国の騎士団が子供達を連れて来ていた。


「ジューロー!!!」

町長は泣きながら孫のところに走っていく。


「ジューロ?」

離れているはずの町長の家から娘が出てくる。


彼女は町の入り口に走っていく。


「ジューロー!!!」

娘は息子を見つけると泣きながら息子へ駆け寄って行く。



騎士団はホノカの方へ向かう。


「S級冒険者『黒刀』殿感謝します!」


「別にいいよ…好きでやったんだ…」


「流石は…」


ホノカには騎士の褒め言葉がもう聞こえていなかった。

ホノカには感動の再会している家族達しか見えていなかった。ホノカは嬉しそうな優しい笑みで再開する家族達を身守る。


(「俺達も必ず…」)


ホノカは弟との再会を今迄以上に決意した。


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