第3話:出国
(ホノカ視点)
昨日は楽しかったな。
だけど…楽しんでばかりではいられない…
ユーガを見つけないと…
今日でペンドラゴン王国ともお別れだ…
「お兄ちゃん…本当に皆んなとお別れするの?」
ポーラ…
「わからない…ユーガが帰りたいって言ったら帰って皆んなにまた会えるけど…帰りたくないって言ったら暫くはお別れかな?」
ポーラは賢い…包み隠さずに言わないとな…
例えユーガを見つけてその場所に暮らすとして、転移している間にどちらかが危険な目に遭うかもしれないから気軽に戻る事も出来ないから…
「そっか…」
「ごめんな…」
「ううん!ヴィオラちゃんに会えないのは寂しいけど…お兄ちゃんがいるから平気!」
ありがとうな…ポーラ
ワシャワシャ
「えへへへ」
「行こうか」
「うん!」
光神法国はゲームの時には存在しなかった国だ…似たような国も無かった。
だから光神法国の事情を知らない。
知っている事は光神教を国教としていて…
その光神教の奴らは頭のネジが数本外れているってこと、クーデターに参加していた4割は貴族で光神教の教徒達だった。
勿論黒幕は邪神を崇める『神の使徒』だったけど…
光神は邪神と仲が良いのか?
結局そういうのはわからなかった。
捕らえられた光神教の奴らは…
『今の王族ではこの国が滅ぶ!!!』
『我々を捕らえるとは!光神様に裁かれろ!!!』
『光神様を裏切ったのは王族だ!!!』
とよくわからない事をほざいていた。
邪神の教徒達は俺が1日以上寝ている間に自害されてしまった…話を聴き出す事が出来なかった…
あとは…光神法国には邪神の使徒?がいると思われる…
もしかしたら国自体が敵かもしれない…
光神法国に行った事は無いが場所は把握している。
メロネ王国の隣国で西南に位置する国だ。だからまずはメロネ王国に転移して後は徒歩で光神法国に向かう。
「ん?」
◇
「ん?」
ポーラと手を繋ぎ歩いていたホノカの目の前には騎士団が立ち塞がる…
「なんだ?あんたら…」
ホノカは騎士団を睨んで凄む。
「英雄殿の『凱旋』だ!道を造れ!」
手前にいた騎士の掛け声により騎士達は槍と剣でアーチを造りだす。
更に…
「?」
奥の方から騎士とは違う冒険者の様に装備に一貫性がない者たちが出てきた。
ホノカはその者たちを目を細めて見る。
「……!?」
ホノカがその者達に気づき驚く。
「ドノン…エレン…?」
彼らはトライーガ家の私兵隊の者だ。他にもグレンダが亡くなり、クーガが戦争に明け暮れる前に私兵だった者達がいる。
全員ホノカの目の前に跪く。
「ホノカ様…ポーラ様…よくぞご無事で…」
「ドノン…皆んな…」
ドノン達、元私兵隊は泣きながらホノカとポーラの無事を喜び。
「クーガ…領主様が無実の罪で裁かれてしまい!
我々は無実を晴らすことも!貴方達を守る事も出来なかった!
それなのに…幼いホノカ様は我が親友の罪を晴らし、反乱から国を救った英雄に…」
ドノンは手を握りしめ過ぎて手から血を流しながら語る。
他の元私兵隊達も同じく手を握りしめ、口を噛み、土を握り、拳を地に押し付けている。
「我々を何もせず、恩人を見放しました!ホノカ様!我々を処断してください!!!」
ドノン達は裁きを受ける為に此処に現れた。
ホノカはドノン達に近づく。
「ドノン」
ドノンは恐る恐る顔を上げる。
「ありがとう…」
ホノカは泣くドノンに優しく抱きつく。
「父上の事を信じていてくれて、」
「うぐ…」
ホノカの言葉にドノンは余計に涙が溢れ出る。
「父上の事を親友と呼んでくれて、
それにお前らだろ?山を管理していてくれたの…」
ホノカは以前から数回に渡って山に入っていたが、2年経ってもモンスターや山賊に荒されずにいた。
それは彼ら元私兵隊改めて自警団によって守られていた。
「はい…」
ドノンは涙だけでなく鼻水を垂らしながら頷く。
ホノカはドノンを立たせる。
「みんなも立ってくれ…」
自警団は涙を流し、足を震わせながら立ち上がる。
「みんな…俺はユーガの居場所の手掛かりを手に入れたんだ…」
自警団達はホノカの言葉に驚く。
この場にいないのは気づいていたが、その事を触れる事が出来ずにいた。
「だから俺はあそこには戻れない…だからお前らにトライーガ領を守って…いや守る事を科す」
「!?」
「「「「「はっ!!俺たちの命に変えても!守ります!!!」」」」
ホノカは頼もうとしたが彼らのやるせ無い顔を見て、トライーガ領を守ること彼らの赦免とした。
彼らもそれを察して全員でトライーガ領の守護を決意する。
「では…英雄様の『凱旋』だ!道を造れ!」
自警団達は騎士団の様にアーチを造る。
ホノカとポーラはその涙のトーチを通っていく。
「…」フッ
ホノカは騎士団を見て笑ってしまう。そこにはホノカから地獄の特訓を受けたオーレンの近衛騎士達がいた。
彼らもホノカとドノン達のやり取りを聞いていてドノン達と同じ様に泣いていた。
ホノカとポーラは涙が門まで続くトーチを歩き続ける。
(国王の執務室)
「そろそろ英雄殿が陛下の贈り物が届いた頃ですね」
「そうだね…ブレン兄…宰相」
「陛下、公の場ではスタディ伯爵若しくは宰相とお呼びください」
「あ、あぁ」
オーレンはまだ国王として言動が身についていなかった。
「陛下…やらなければならない事は山ほどあります…陛下の理想の為に」
「わかっている」
オーレンは仕事が山積みなのに楽しそうだ。
「ペンドラゴン王国を戦争の無い平和な国してみせるよ」
「大変ですよ?」
ブレンは意地の悪い笑みでオーレンの覚悟を確かめる。
オーレンはそんな兄に優しい笑みを向けて答える。
「勿論だよ、この道が困難だっていうのも、甘い考えだってこともね…
でも僕達の世代で作らないといけないんだ。平和な世界の基盤を…絶対に…」
オーレンは様々なことが国王としてはまだまだだが、その思念だけは既に一国の王だ。
「そうですね陛下…」
ブレンはそのオーレン見て心配と安心、そして期待の目を向けて頷く。
「ホノカに再び会ったときに笑わわれないように…顔を向け出来る様にしたいしね」
「はいへ…」
「呼んだか?」
ブレンが再び頷こうとしたときホノカが忽然と現れる。
「「!?!!?!」」
二人は驚き、ブレンはつい臨戦態勢になる。
「君はホノカ君か…」
ブレンはホノカの顔を見て、棍棒がホノカの喉元で寸止めになる。
「すみません、急に来てしまって」
ホノカはブレンに対してのみ謝る。
「気にしないでくれ…でもどうやって現れたんだい…?」
ブレンは困惑しながらホノカがこの場に来た方法を確認しようとする。
「それは企業秘密なので」
「そ、そうか、ならこの事に関してはこれ以上は聞かないよ。でもどうして此処に来たんだい?」
「それは…」
ホノカはオーレンの方に向き直す。
「仕返しだ」
べチン
「痛った!!!!」
ホノカはオーレンにデコピンをして、オーレンは激痛でおでこを抑えて悶える。
「じゃあな」
ホノカはデコピンを終えるとすぐに帰っていた。
「仕返しされてしまいましたね…」
ブレンは悶えているオーレンに声をかける。
「あぁ…」
オーレンは顔を上げると痛みと嬉しさで涙目になっていた。
「いつでも帰って来てくれ…ホノカ…
この国は間違いなく君の故郷何だから…」
オーレンはその場に居ないホノカに話かける。
(元ホノカ達の隠れ家)
「お兄ちゃん、お帰り!」
「ただいま…」
「お友達とはちゃんとお別れできた?」
「あぁ…」
ホノカはポーラと手を繋ぐ。
そのホノカの服の袖は湿っていた…
「すまないな。またお前らに此処で少し待ってもらう、メロネ王国に着き次第召喚で移すから」
「「「「「はっ!!!」」」」」
「じゃあまたな。
空間神法術 高等転移『メロネ王国』」
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