第21話:久しぶりの団欒
(ホノカ視点)
ウンカを殺したが何も晴れない…
何も聞き下すことができなかった…
しかも…神法術をかけた奴らは翌朝死体で見つかった。
昨日の騒動で学園は一時休校になった。
オーレンやお転婆公爵令嬢は実家に一時帰宅している。
なので今日はまず冒険者ギルドに顔を出して、婆さんに経過報告をしてからポーラの所に帰ろう。
暫く夜にならないと帰れないから寂しい思いさせてしまったいる。
(冒険者ギルド)
「婆さんはいるか?」
「申し訳ないですか…ギルド長は不在にされてます…」
この受付相変わらず俺にビビってんな。
「そうか。いつ戻るんだ?」
「そ、それが分からないんです…何処に行っているのかも…」
珍しいな。副ギルド長の件以降は何処にどれくらい居るかは教えてから知らせから行っていたのに…
「そうか…じゃあまた来る。」
「かしこまりました」
思ったより早く要件が済んでしまった。
でも妹との時間が増えると思えばいいか。
(ホノカ達の隠れ家)
ガチャ。
「ただいま」
「!、お帰りなさい!お兄ちゃん!」
ポーラが突進する様に抱きしめてきた。
だいぶ寂しかったんだな…
「ただいま…」
「今日はどうしたの?!学校は?!」
ポーラは俺の言い回しの所為で学園を学校って言ってしまう様になった。
「あぁ、大変な事が有ってな、お休みになっちゃったんだ」
「そうなの?!じゃあ今日はずっと一緒にいられる?!」
「そうだよ」
ポーラの頭を撫でて落ち着かせる。
「ご主人!」「ご主人様!」「主!」
遅れてタヌ太郎、トン三郎、カブ五郎がやってきた。
コン次郎とウル四郎は狩りの当番だな。
ウル四郎の場合は好きで毎日狩りに行っているけど…
生態系を壊さないように仕留めるなとは言ってあるが…実際はどうなってるかは知らない。てか知りたくない。
「ただいま」
「「「お帰りなさいませ!」」」
「今日は学校どうなったので?」
タヌ太郎が可愛らしく首を傾げながら聞いてきた。
「休みになったんだよ」
「それは本当で?」
タヌ太郎はめちゃくちゃ真面目に育った。いや育ってしまった…俺の成績や素行を聞いてくるようになった…まぁ、ポーラの歯磨きとかお風呂とかに入らせてくれてるから感謝はしているが…
お前は俺らのオカンか?
「タヌ太郎!ご主人を疑うとは失礼ですよ!」
トン三郎は真面目だけど俺に忠実でよく俺の肩を持ってくれる。
スキルの習得は一番早いんだけど見た目の成長が遅い。
しかし最近オークらしく2本脚で立つようになったが、ちょっとだけカッコ悪い…
「休むこと自体は悪くないでしょ?」
カブ五郎は相変わらず基本はのんびりマイペースではあるが、命令は忠実に確実に実直に取り組む。
「むむ、しかし…ご主人が非行少年になってしまうかもしれないのだぞ?」
は?非行少年?タヌ太郎、お前何処でそんな言葉覚えたんだ?
「ご主人様は神なのだぞ!非行の道に行く事などあり得ん!」
このままではタヌ太郎とトン三郎が喧嘩しそうだな…いい加減止めるか。
「ほら、そんな話していないで中で休ませてくれ」
タヌ太郎を抱っこしてと…
「タヌ太郎心配してくれてありがとな。学校で事件があってな…それで休校になったんだ」
「そうでしたか…それは失礼しました…」
タヌ太郎がしょげてしまった。
「いいんだ。最初に言わなかった俺が悪いんだ」
「ご主人様を信じることが出来なかった自分が恥ずかしいのです…」
「ありがとう。でも俺だって間違うことはある…沢山な。だからお前の真面目す…真面目な奴がいてくれた方が俺も嬉しいから気にするな」
危ない余計な事を言いそうになった…
「ほら、お食べ」
椅子に座りながら、三体に燻製肉をあげる。
「「「美味しいです!」」」
「よかった
ポーラ今日は一緒に何しようか?」
「ちょっと待ってね!」
ポーラは自分の部屋に戻っていった。
「今日は御本読んで!」
お、珍しいな。いつもは勉強か稽古をしたがるのに。
「じゃあ読もうか?」
「うん!」
◇
(ある貴族の屋敷の地下)
「デルーノーがしくじりました。」
イカクッスが黒ローブの男に跪き報告している。
「チュンチュン」
黒ローブの男は手のひらの雀に餌をあげていた。
「あぁ」
(「尊師はあまり動揺していないみたいだな…」)
「私が動揺していないのが不思議かい?」
ビク
「…」
イカクッスは心で思っていた事を言い当てられ驚愕して声が出ない。
黒ローブは雀の頭を撫でながら喋り出す。
「彼は良い被験体を回収はしていたが…しかし、ものを駄目にしてしまう…
クローン兵を数十体を駄目に…
同志四人を無駄死にさせ…
私の気に入っていたローブも無断で持ち出した。」
黒ローブの男は雀の頭を潰す。
「制御できない同志は必要ない。」
黒ローブは立ち上がり再び話し始める。
「時は満ちた…」
イカクッスはその言葉に顔を上げる。
「では、行うのですね!」
「あぁ、革命の時が来た…」
「さぁ、集まれ同志達よ…」
そこに現れたのは黒いローブを纏った四人組だ。
「より良い国へ」
イカクッスと四人組が復唱をする。
「「「「「より良い国へ」」」」」
◇
(ホノカ視点)
「…王子様と結ばれて幸せになりました。めでたしめでたし」
パチパチパチ。
「面白い!」
ポーラは目をキラキラさせて御伽話を楽しむ。
「ポーラも王子様と結婚したいか?」
「ううん!ポーラはお兄ちゃんと結婚する!」
嬉しいな…将来は別の誰かと結婚するんだろうな…
王子様か…オーレンは絶対に無いな。
他の女性と添い遂げる可能性のある男は論外中の論外だ。万死だよ。万死。
ポーラがそんな奴を連れて来たら即殺す。
「今度はこれ読んで!」
今度もプリセンスストーリーか…
「その前にお昼にしようか?」
「あれ、もうこんな時間!」
本に夢中になっていたから時間を忘れてしまっていたんだな。
最初は一緒に聞いていたタヌ太郎以外のコイツらは寝てるのに…
「ぐーーーーー」「ぷ、ぷご…ごーー…」「むにゃむにゃ」「…」
「今日は何にしようか?!」
「そうだな…ハンバーグはどうだ?」
「うん!」
「じゃあ一緒に作ろうか?」
「うん!」
ポーラとは最近はやってなかったけど、学園に行く前はずっと一緒に料理をしている。
「ポーラ、冷蔵庫から玉ねぎと昨日のポテトサラダの残りを出して…玉ねぎは微塵切りしてくれ」
「はい!」
俺は牛とラージボアの肉を出してと。
「ひき肉器は…」
「ご主人どうぞ!」
「お、ありがとうタヌ太郎。」
器用に茶釜の上にひき肉器を乗せて…
「よいしょと」
ゲームの時に料理やっといて良かった。前世でも料理のレパートリーが増えたし、今世はこうして家族と料理できる。
まぁ最初はゲームと違って手に怪我とかしたんだけど。
おっと考え事しながら包丁を使うのは危ないな。
『おにいしゃま!しゅうちゅう!』
「ユーガ…」ボソ
「ん?」
「ごめん。ボーッとしてて…て、手を切りそうになったんだ」
ポーラに嘘をついてしまった…
偶にユーガの幼い頃を思い出してしまう…
6、7歳じゃなくて3、4歳の頃ユーガだ。大きくなってからちゃんとユーガと向き合っていなかったからな…
いなくなってからこんな事に気づいてるんて…お兄ちゃん失格だな…
「どうしたの?お兄ちゃん」
「え?」
ポタ…
あ、
「これは…玉ねぎかな?」
妹の前で泣くなんてカッコ悪いお兄ちゃんだな…
折角妹との久しぶりの団欒なんだ…しんみりしちゃダメだな…
「ごめん。タヌ太郎ボールをとってきてくれ」
「はい。どうぞ」
「ありがとう。」
ひき肉器に切った肉をおいて、ひき肉のレバーを回して、ひき肉をこのままボールに出していく。
「お兄ちゃん、切り終わったよ」
「じゃあフライパンで玉ねぎを炒めてといて。
タヌ太郎もう一つボールを出してポーラに渡してあげて」
「はい!」「承知しました」
俺は…ひき肉を氷魔法で冷やしながら塩を入れてと、しっかり混ぜる。
「これぐらいでいいかな?」
「そうだな。あとは熱を逃した後、卵と牛乳を入れて混ぜてといて」
「うん」
その間にパンを出しておこう。
やっぱり成長期なのかハンバーグとポテトだけじゃ足りない。本当はご飯を炊きたいけど最初の一年でゲームの米のストックを結構使ったてしまったので、勿体無いのから週一のペースにしている。
王国で売っているのけど…ゲームで手に入れた「神米」を食った後だと美味しくない…
「お兄ちゃん!混ぜるのも終わったよ」
「お、そうか。一緒にひき肉に混ぜるか」
「うん!」
ハンバーグのサイズはポーラは大体200g、俺は500g、あいつらのは800gだ。
「これをバターをひいて焼いてと」
面倒なので一気に全部やる。
俺が作ったこの巨大フライパンで!
巨大フライパン(改)
レア度 龍
耐久性 500,000
効果 これで火を通した料理は焦げない。
保存期間+100
「これで完成だ」
「「やった!」」「美味しいですね!」
あ、ウル四郎起きてる。料理が出来てから起きるなんて…、まぁいいか…
「タヌ太郎他の奴らを起こしてくれ」
「かしこまりました」
「皆んな集まったな?それじゃあ…」
「「「「「「「いただきます」」」」」」」
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