第11話:逃走と戦い
(ホノカ視点)
悪いけど意外だった。まさかA級がS級に勝つとは…最後のはもっと意外だったけどな。
次はボンレか、さっきから癪に触ることばかり言う奴だけど、こいつがハーグみたいないい試合をして勝てば俺は出なくて済む。
てか、さっきからボンレがいない。
何処行ったんだ?
「なぁ、ウォード」
「何すか?」
「ボンレを何処に行った知らないか?」
「ボンレっすか?さっき『怪人』さんとハーグさんのおめでたの時に席を立って…ごめんなさい、わかんないっす」
「そうか」
まさか…
「まさか、S級の『炎雨』さんにビビったんじゃないっすか?」
おいおい、フラグ立てるなよ…。同じ事を思ったけど…
「アイツならあり得るな、アイツの異名の所以になってる『投槍』はアイツが遠く離れた所で攻撃する事でついた異名だからな」
スカーレットまで…
「あの、すみません…ボンレ様は?」
係員がボンレを呼びにきた。
「わかんないっすよ」
ここはしょうがない…
「10分待って来なかったらあっちの不戦勝でいい、待ってる時間が勿体ないし、貴族も来てるみたいだからそうした方が賢明だ。
悪いがあっちにもそう伝えてくれなか?」
ハーグ達のドタバタのときに消えて、20分以上経ってる。更に10分待って来なくかったら確信犯だろう。
「か、かしこまりました!」
◇
(連合チーム)
「何!?本当か?!!」
カサンドラは係員から、信じられない話を聞いて驚いていた。
「は、はい…『黒刀』様がそうおっしゃっていて…」
「『黒刀』の話は理解できるが10分って、私はもうちょっと待っても良いと思うけどね」
「は、はい、でも…」
係員はホノカと話すのが怖くて、行きたく無かった。
「いや、『黒刀』殿の案に賛成します、恐らく戻ってこないでしょうから…」
カフィがカサンドラの意見を棄却する。
「?、あんたなんか知ってんの?」
この発言を怪しんで不機嫌にカサンドラが質問する。
「…」
「ちっ、だんまりか…いいよ!『黒刀』の話のままで!!」
「か、かしこまりました!」
結局、10分ちょっと待ったがボンレは来なかった。
「えー。ここでご報告があります!
『投槍』ボンレが不在になったため、『炎雨』カサンドラの不戦勝となりました!!!
お客様をお待たせてしてしまいますが、10分後、大将戦を開始とします」
係員が観客達に報告する。
「逃げたのか?」「相手S級だからな…」「さっきの試合を見た後だとな…」
その報告で観客達がざわつき、憶測が飛び交う。
「ちっ、ギードラのおかげで上がってたのに水を差されちまった…」
カサンドラは自分も熱い戦いが出来るかもと思って楽しみにしていた。
「俺、萎えた、夫、どうだ?」
ギードラに無理矢理連れて来られたハーグは苦笑いをする。
「小心者だとは聞いていたけど、逃げる様な奴では無いと思ったんだが…」
ハーグはボンレと一緒に戦った事があるので知っていた。遠距離で獲物を仕留めるが、近距離もかなり強い事を。
「夫、逃げた、奴、友達?」
「いや、違うが…」
ハーグは思い出していた。
ボンレが仕留めたモンスターを回収に行ってた途中でモンスターの群れに会い乱戦をしていた時に、後ろから対応仕切れなかった時にボンレに救われた事を。
「恩人ではある…」
「そうか…俺、夫、恩人、悪口、言わない」
「じゃあ私ももうこれ以上愚痴止めよ」
カサンドラとギードラはハーグの顔を見て、それ以上は何も言わなかった。
(闘技場)
二人は互いじ礼を済ませて、開始の合図を待っていた。
「お仲間の事は残念だったですね」
「チームメンバーと仲間は別だ。一時、利害が一致していただけだ」
カフィは社交辞令でホノカを労うが、ホノカにとっては労ってもらう程の事ではない。
「そうだね…でも彼には感謝しているよ。『黒刀』…君と戦えるのだから」
「それはボンレがお宅のS級に勝てる可能性があるって言いたいのか?」
「さぁ、でも君の様に実力を隠しているならもしかして…ね?」
「…」
「それでは…はじめぇ!!!」
ホノカがカフィの含みのある言い回しイライラしていると戦いが開始された。
「アイスカット」
バリ
ホノカは向かって来た氷の刃を薙ぎ払う。
「ランドカット」
「はぁ…」
ホノカは始まって数分だけどカフィの芸の少なさに呆れる。
「“身体強化・極”、パワーハイブースト、
“縮地”」
カフィはアイテムの強化スキルと魔法で応戦を開始する。
ホノカの後ろに移動し斬りかかる。
ホノカは後ろを振り返らずに刀だけを向けて受け止める。
「くっ」
カフィは屈辱的で思わず苦渋の声が漏れる。
「強いんですね…」
「…」
カフィは声をかけるがホノカは無視をする。
「砲剣…奥義・徹甲斬
“合技・徹甲砲”」
砲剣の倍の大きさになった剣技が飛んでくる。
「“斬波”」
スパン
刀技で両断し剣技は消され、ホノカの斬撃はそのままカフィを襲う。
「何っ!?、ゴールドシールド!」
黄金の盾を作りだすが、それも虚しく両断される。
「“豪剣”」
ギリギリのところを剣で受け止め、何とか斬撃の軌道を逸らす。
「あんた…降参しろ」
「それはどういう意味だい?」
「あんたが良くわかっている筈だ」
「…」
「アイスカット、ランドカット、アイスカット、ランドカット、アイスカット、ランドカット、アイスカット、ランドカット、アイスカット、ランドカット、アイスカット、ランドカット、アイスカット、ランドカット、アイスカット、ランドカット、アイスカット、ランドカット、アイスカット、ランドカット」
カフィは怒りのままに無数の土と氷の刃を放ち続ける。
ホノカはその全てをスキルを使わずに避け続ける。
「はぁ…はぁ…
我が力よ
炎の力を武器に纏わせよ
付与魔法 エンチャント・炎
ストームスラッシュ!
合技・徹甲砲!!!」
カフィは最後の一撃と言わんばかりに名もない強大な攻撃を合わせて放つ。
「“斬波”」(“合技峰打ち・斬波”)
スパン
斬撃はカフィの攻撃を消しさり、カフィを吹っ飛ぶし、場外へと落とす。
「…そ、そこまで!!勝者トーカ!!!!!」
「すげぇ!?!?!!!!!」
「あり得ねぇ!!??!!??!!」
「圧倒的だ!!!!?!」
会場は大盛りだ。
(連合チーム)
「ここまでとはねぇ…」
「俺、『黒刀』、勝てない」
「俺もここまでとは…」
放心してるパーダ意外はホノカの実力に打ちのめされていた。
(「あの目…まさか…?」)
ベロニカはホノカの実力に驚いていたが、ホノカの別の何かに気になっていた。
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