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異世界再生神話〜神は万能ではない〜  作者: 犬星梟太
第二章 復讐の黒騎士編
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閑話:おつかい

今回はポーラのお話です。

いつもポーラはホノカより少し遅く起きる。

そして、自分の部屋からドタドタと走ってリビングに飛び込む。

「おはよう!お兄ちゃん!」


「おはようポーラ」


「朝ご飯作ろう!」

ポーラは兄と料理が一番好きで楽しみだ。


「あぁ」


今日の献立は白米、豆腐と大根の味噌汁、ベーコン、スクランブルエッグ、納豆とほうれん草ともやしのあえ物なのだが…


「あれ?お塩がないよ?」


「な?!」

ホノカは「マズイ」という顔になる。


「私お買い物に行く!」


「はぁ…」

ポーラは母のグレンダに似て、一度言い出したら絶対に諦めない。

ホノカもこの事は充分理解しているし、ずっと隠れ家に閉じ込めるのもストレスだと思い、何度か行かせている。


「わかった…気をつけて行くんだぞ?」


「うん!」


ポーラはホノカの了承を聞くとお買い物の準備を始める。


ホノカも他の買い足しのリストを書き始める。



「お願いお兄ちゃん!」

ポーラは準備が終わるとホノカに王都へ連れて行くよに頼む。


「はいよ…これも買ってきて欲しいんだ。できるね?」

ホノカはポーラにメモを渡す。


「うん!!」


「よし、空間神法術 高等転移『ペンドラゴン王国 王都』」


「いってきます!」

ポーラは無邪気にホノカに手を振っていく。


「いってらっしゃい」

ホノカも手を振り返す。


(王都の門)


「おはよう!」


「は〜い、おはよ〜」

王都の門番はポーラにデレデレになる。


「今回もお買い物かい?」


「うん!」


もうポーラは門番と顔馴染みになっている。最初は子供が一人だけで怪しまれたが、王都のすぐ近に集落があり其処の少し離れたところに住んでいる事にして、あとはポーラの可愛さで門番達の心を鷲掴みにした。


「そっか〜。気をつけて行くんだよ〜。」


「うん。じゃあまたね、おじちゃん!」


「はい、またね〜」

ポーラと門番は手を振り合って、ポーラは王都に入っていく。


(綺麗なお姉ちゃん)「あらポーラちゃん、おはよう」

(肉屋の店主)「ポーラちゃんお肉買っくかい?」

(街の女の子)「ポーラちゃん!あそぼ!」


ポーラは王都の商店街のアイドル的存在になっていた。


ポーラは皆んなに笑顔を振りまきながら雑貨店へ行く。


「おばあちゃん、おはよう!」


「あんたかい…」

雑貨店の店主である老婆は偏屈な人だ。


「さっさと買って帰んな…」


「うん!」


ポーラは塩、虫除け草、月桂樹の葉を手に取る。


「ふ、ふんと!」


少しだけ高いところにある亜鉛を取ろうと背伸びする。


「やった」


ガン


ポーラの肘が少しだけ棚にぶつかってしまう…


ヒュン


「危ない!」


棚にあったハチミツの瓶が落ちてくる。

店主は身を乗り出してポーラを助けようとする。


「?」

ポーラはno lookで瓶を掴み取る。


「はぁ、相変わらず何て身体能力してんだい…いてて…」

店主は何事もなかったので腰を摩りながら再び椅子に座る。


「おばあちゃん、お腰が悪いの?」


「あぁ、あんたが心配させるからね」


ポーラはこの店に来て、何回か店主に心配されるような事をしている。

棚の高い所にジャンプしたり、お店の手伝いで薬草が入ってる木箱を5ケースを運んだりと他にも数多くの事で店主を心配させている。

その為、店主はポーラが一回買った物を子供が取れる低い所に置いている


「ごめんなさい…」


「嘘だよ…唯の年齢の所為さ…」

自身の憎まれ口の所為でポーラが悲しんでいるのが耐えられずに本当の事を話す。


ポーラは店主に微笑みかける。


「落ちた瓶をこっちに寄越しな。後で戻しておくから、

買う物を見せな。」


「はい!」

ポーラは腕いっぱいの買った物を店主に見せるz


「銅貨60枚だよ」


「はい!」

ポーラは銀貨一枚を出す。


老婆は銀貨を受け止り、お釣り銅貨40枚が入ったお店の小袋を渡す。


「ありがとう!おばあちゃん!」


「いいからさっさ帰んな」


ポーラは老婆に手を振りながら帰る。

この後門の近くで待っているホノカの元へと向かう。


ポーラは商店街をちょっとだけ見て周っていた。


「ポーラちゃんもう帰るのかい?」

先程の肉屋の店主の奥さんがポーラに声をかける。


「うん!」


「ほら、これお兄ちゃんと食べるんだよ?」

店主の奥さんはポーラに形が不揃いで油が多めのお肉500g程を渡す。


「ありがとう!おねえさん!」


「ふふ…ごめんね…こんなのしかあげれなくて…あのケチな旦那の所為で!」


「ふん!」


旦那はこの言葉にご立腹だ。

奥さんは一度ポーラに結構良いお肉をタダであげて旦那さんと大喧嘩したことがあった。

因みにおねぇちゃんとポーラは読んでいるが、彼女の見た目は若いけど妊娠も含めてぽっちゃりしていて女将さんって感じだ。


「うーうん、ポーラもお兄ちゃんも此処のお肉すっごい美味しくて好きだよ!」


「「はぁ〜、可愛い〜」」

店主と奥さんはポーラにメロメロだ。


「ありがとう!じゃあね!」


ポーラは手提げにお肉をパンパンにして入れる。


「あれ…」

そこでポーラは買い足しのメモを再び見る。


「乾燥ハーブ買ってない…」

見落としたがあったのに気づいた。


「おばあちゃんの所戻らないと!」

ポーラは雑貨店に戻っていく。


「おばあちゃん!ん?」


店内に店主の老婆がいない。


ポーラは狭い店内を回って見る。


「いない…」


「#%##*$€%#@¥&」

外から叫び声した。


「何だろう?」

ポーラは胸騒ぎして店の外に出る。


「だから今度のあのガキが来たときにこれをガキに食わせろって言ってんだよ!!」


ガス


店の裏から大声と鈍い音が聞こえる。


「?」

ポーラ何が起こっているか、わからずに店の裏に向かう。


「おばあちゃん!?」

そこには3人の男と雑貨店の店主が顔に青痣がありボロボロの姿で倒れていた。


「あぁ…?」

男達はポーラに気づく。


「兄貴…例のガキです」ボソ


「わかってるわ!!一々報告すんな!!」


男は部下を怒ったあと、気持ち悪い笑みを浮かべながらポーラに近く。


「お嬢ちゃ〜ん、おじさん達はね!教会の人間なんだよ〜だからおじちゃん達と一緒に教会へ行こうね〜?」


ポーラは男を睨む。


「なんでおばあちゃんが怪我してる?」


「それはね、このおばあちゃんが悪い人だから君を守ってあげたんだよ〜」


「うそ」


「ん?」


「おじさん嘘ついてる!!」

ポーラは可愛いらしい声で怒る。


「ちっ…連れてくぞ…」ボソ


その言葉に他の二人にポーラに近づてくる。


「おら、行くぞ」

男の一人がポーラの腕を掴もうとした瞬間。


「“気功術”」ボソ


ポーラはスキルを使用する。


「あ?」


ベキベキ


ポーラは男の腹に拳を叩き込み、男の骨が軋む。


「うげ」


男は吹っ飛ばされ壁にぶつかりその衝撃で気絶する。


「な、なんだ!?」

仲間の男は何が起きたか理解出来ずに仲間とポーラを交互にみる。


「おばあちゃんを傷つけたおじさん達を私は許さない!!」


ポーラは怒り、近くにあった酒瓶を蹴り飛ばす。


パキン


男の股間に酒瓶が命中し何が壊れてる音がして男は倒れこむ。


「が、ガキィーーー!!」

この男は頭の理解が追いついていないのでポーラに襲いかかる。


「き、消えた!」


ポーラは男の目の前から一瞬のうちにして消えて男の数メートル頭上にいた。

そのままポーラは男の後頭部へパンチを叩き込む!


ゴン


男達は一瞬でポーラに制圧された。


「回復魔法ハイヒール」


ポーラの回復魔法により、店主の傷が完全ではないが回復していく。


「ん?アイツらは…?」


「大丈夫だよ、おばあちゃん」


「!!、嬢ちゃん!逃げな男たちがあんたを狙って…?」

店主は大事な事を思い出し話始めるるが周りの惨状に気づく。


「こ、これは…?」


「私がね、悪い人やっつけた!」


「へ…?」

店主はポーラの言葉につい変な声が出てしまう。

店主は立って状況を確認しようとする。


「おばあちゃん」

ポーラは傷が完治していない店主に手を貸す。


「ありがとうね…」

店主は再び周りの立った視界で惨状を見渡す。


「本当に嬢ちゃんがやったのかい?

き、傷も治してくれたのかい?」

店主は自身の傷が癒えていることも気づきポーラに確認をする。


「うん!」

ポーラは満面の笑みで店主に向ける。


「そうか…」

店主は信じきれずに惚けてしまう。


「まずありがとうね。嬢ちゃん…」


「おばあちゃん、中に入ろう」

ポーラと店主は店の中で戻っていく。


のちに男達は衛兵に連れていかれた。

男達は最初は口を割らなかったが、数時間後に全ての事を狂った様に話始めた。

男達は孤児院を主にターゲットにして貴族や奴隷商人と取引していた最近結成された闇ギルドの構成員だった。


更に数時間後にそのリーダーと構成員が全員が助けを懇願…発狂しながら自首してきた。


一夜にして闇ギルドが解体した。



(次の日)


「おばあちゃん!おはよ!」


「あぁ、ポーラちゃん今日もかい?」

店主のポーラへの呼び方が変わっていた。


「うーうん、今日はおばあちゃんのお見舞い!」


「そうかい…ありがとうね。でも安心しな!寝てたらね治っちまったからね!」

店主は本当に一夜にして完治していた。しかも持病の腰痛まで治っている。


「よかった!」


ポーラは周り見渡す。


「今日はお客さん沢山いるね!」


雑貨店に10数人子供達が沢山いた。


「いや…この子達はね…」


「お袋!今日は休んでろって言っただろ!」


「五月蝿いね…大丈夫だって言ってるだろ」


若い青年が荷物を持ちながら店主を叱り入って来た。


「おふくろ?」

ポーラは聞き慣れない言葉に首を傾げる。


「あぁ、この子は私の息子なんだよ。んでそこら辺にウロチョロしてるのが孫だよ」


パチパチ


「お兄さん!子供が凄い沢山!」

ポーラは店主の話を聞いて拍手しながら店主の息子を褒める。


「違う違う!俺の子供は二人だけで、5人いる妹と弟達の子供だよ」


「え!?おばあちゃん、子沢山!」


「「ハッハッハッハッハ!」」

ポーラの言葉を聞いて店主と息子は大笑いする。


「もうそんな言葉知ってるんだね!」


「言ったろ?この子は特別なんだよ!」

親子は大笑いしながら会話をする。


ポーラはそんな二人を見て安心する。

「おばあちゃん、元気みたいだし私帰るね!」


「あいよ…いつでも遊びに来な。孫も暫くいるから遊んでやってね」


「うん!じゃあね!」

ポーラは手を振りながら店を出る。


「お嬢ちゃん!」

店から店主の息子が出てきた。


「お袋の事ありがとうね。お嬢ちゃん」


「いいよ別に!私おばあちゃんの事好きだから!」


店主の息子はポーラの言葉に安心した顔になる。


「そうか…ちょっと話に付き合ってもらえなかい?」

店主の息子は真剣な表情で聞いてくる。


「んー」

ポーラは考えながら何故か空を見上げる。


「いいよ!」


「ありがとう。実はね、お袋は昔から偏屈な所はあったんだけど…親父が死んでからより偏屈になって近寄る人全員を避ける様になったんだ…でも昨日の事件で君に助けられてから、俺の家に来たんだ。そして色々言ってくれたんだ…」


『爺さんが死んだ時にね…思っちまったんだよ…あんたたちと死別したりするのが怖いって…

でもさ今日可愛いらしい天使に危ないところを助けてもらったんだよ…

そしたらあんた達、子供と孫達の顔見たくなってまってね…

図々しいのはわかってる…でも謝るだけ謝られせてくれないかい?』


「ってね…偏屈で滅多に人謝ろうとしないお袋が…あんな優しい顔で謝りに来たんだ…

あんな優しい顔…俺の子供が生まれた時以来だったよ…

君はまだ幼いからわからない部分もあるかも知れないけど…君のおかげでお袋は昔のお袋に戻れたんだ…ありがとう」


店主の息子は子供ポーラに頭を下げて感謝した。


「んー確かによくわかんない…

でもおばあちゃんがもっといいおばあちゃんになったって事だよね!?」


「あぁ」


「そっか、ごめんなさいお兄ちゃんが待ってるから行くね!じゃなね!」


「あぁ、じゃあね」


ポーラは手を振りながら、大好きな兄の元へ戻った。

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