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異世界再生神話〜神は万能ではない〜  作者: 犬星梟太
第一章 転生奮闘編
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終話:絶望

ホノカは力で無理矢理に救うのではなく、明日に行われる裁判までにクーガの無実を証明するためにクーガを陥れようとしている人物を探すことにした。


 そのためにシェール以外の野盗達から組織の事とアジトの場所を聞き出した。


 シェール達は闇ギルドという犯罪集団のメンバーだった。

 しかもペンドラゴン王国の二大闇ギルドの一つで『黄昏の都』。

 そのボスの名前はワールという男。

 構成員は200人以上、アジトは全部で5つ、ボスは用心深くアジトを転々としている。

 そのためボスは何処にいるかはわからないために虱潰でやるしかない。


 ホノカは乗り込むために姿を偽装する。


「木魔法 ウッドマン」


 木がホノカに纏わり背丈がのびはじめ180cmぐらいになる。


「影魔法 シャドースキン」


 今度は木の身体は影を纏い闇夜で隠密や工作をしやすい姿になった。


「空間神法術 高等転移『ウォーカ酒場』」


 準備を整えたホノカは神法術により目的地に一瞬で到着する。


 着いた瞬間に地面を殴り、地下に隠されたアジトへ乗り込む。


 闇のギルドの構成員達は何が起こったのか分からずに混乱している。


「な、なんだ、い…」

「ぐぇ…」「うぐっ…」


 ホノカはそのうち一人を取り押さえる。


「ボスは何処にいる!?」


 ホノカはその場にいた二人の首を掴み直ぐに尋問する。


 そして異変に気づいた他の構成員が迎え討とうとする。


「敵襲だ!!!!!」


「はぁ…水魔法 オーシャンバインド」


 ホノカは集結する前にアジトの他の部屋、階層のに存在する全構成員を水流で捕らえるとホノカは闇ギルドの構成員を尋問を再び始める。


「話の続きだ…ボスはどこだ?!!」


「ひ…」


(ブロン領 第一公都 レストラン)


 ワールは闇ギルドのボスとは思えない貴族のような正装をして、同じ正装をしている部下の大男を連れてレストランのVIPルームで部下からの連絡を待っていた。

 

 ワールは部下から連絡がないことにイラついていた。


「バク…連絡はまだ来てねぇのか?」


「うっす」


「ちっ、何やってんだシェールの奴…

使いをやってシェール達を確認させてこい」


「うっす」


 大男のバクは一旦連絡を取るために部屋から退出する。


ゾク


(「なんだ?!」)


 ワールは何かを察知すると周りを見渡すがそこには何も存在しない。


「くそ…一旦なんだったんだ…」


 ワールは落ち着くためにワインを一気に飲み椅子に深く座る…


「気疲れしてんだな…」


 彼は貴族関係の危ない仕事を何度もやってきたがこの様な場所で話すことはこの上客以外ないため、慣れることができずにいつも気を張りつめてしまう。


「ふー」


 ほんの一瞬だけ瞬きをすると目の前には黒服の男が立っていた。


「誰…むぐ」


 ワールは黒服の男であるホノカに口を塞がれる。


「静かにしろ…今から質問をする。はいなら瞬きを一回、いいえなら二回しろ。いいな?」


(「畜生!コイツなんて力してやがる!びくともしねぇ!」)


 ワールは相手の腕を振り解こうするが抵抗虚しく、質問に応じることにする。


パチ


「お前は闇ギルドのボス ワールで間違いか?」


(「な、何だコイツの声…気味が悪いな」)


 ホノカは声は纏った木によって偶々、変声されて不気味な声になっていた。


パチ、パチ


 ワールは苦し紛れに嘘ついてしまう。


ザク


 ホノカは躊躇なく、ワールの膝にテーブルナイフを突き刺す。


「んんんんん!!!」


「言ってなかったが俺には「嘘看破」スキルがある」


 ワールはホノカの言葉にある事を思い出して笑い始める。


「ふーふーふー、ん?ふっふふふふ」


「何が面白い?」


 気になったホノカは手を離す。


「お、お前…シャドーナイツの隊長をクビになった奴だろ?」


 しかしその内容は全く的外れなものだった。


「…」


 ホノカも何のことを言ってるか分からず黙ってしまう。


「まさかトライーガの関係者だったとはなぁ…」


 ワールはそのまま自身の間違った推測を語り続ける。


「クビになったのは俺のせいじゃ無い!ここ数年暗殺者を排出できてなかったお前らが…んぐ」


 ホノカは戯言に辟易して口を再び塞ぐ。


「はぁ、質問の続きだ…

今回、トライーガ家を陥れた雇い主の詳しい情報を知っているか?」


パチ、パチ


(「やっぱり正体は隠して接触しているか」)


「ここに入れば来るのか?」


 ワールは少し考え込むが「はい」と合図した。


「わかった…お前はこのままそいつを待っていろ。」


 ホノカはワールの膝からテーブルナイフを抜き取り回復魔法で傷を癒す。


「わかっていると思うが逃げたり、雇い主に警告したら…わかっているな?」


パチ


(「き、消えた!!」)


 ホノカは神法術により姿を消して隠れた。


 ホノカにとって良いタイミングでバクは戻ってくる。


「すんませんボス、遅くなってしまって」


 ワールは異常事態を察せられない様に何とか話出す。


「あぁ…どうだった?」


「へい、それがおかしいことに何処のアジトとも連絡が取れなく…どうします?」


(「何!?まだコイツに仲間がいるか?それともコイツが?いや!ありえねぇ!

どうしてこうなった?!今まで上手く立ち回ってきたのに!」)


 ワールは過去に冒険者ギルドの受付をしていた。

 受付だったときの情報を元に闇ギルドを結成。

 最初は盗賊に構成員を派遣して、その派遣先の盗賊を徐々に吸収して今の大規模な闇ギルドへと完成させた。


 ワールがこの状況を脱却出来ないか模索しているとウェイトレスがやってきた。


「失礼します」


「入ってくれ…」


「ルード様、お連れ様がお見えになりました」


 ルードとはワールの偽名である。


「わかった。通してくれ」

(「どうしたらいい?!このままだとどの道俺は終わっちまう!」)


 ウエイトレスは下がり、お面をつけた男が入ってくる。


「遅れてすまいね」


「いいえ、依頼主様の御時間をいただいている身、そう言っていただけるだけ我々下々は幸せでございます…」


「そうかい?そう言ってもらうと助かるよ」


 男は椅子に座り本題を話し始める。


「それで?依頼はどうなっているのかね?」


 ワールは何を言えばいいか分からず間が空いてしまう。

 そして唾をゆっくりと呑み込み重い口を開き始める。


「それが部下と連絡が取れなくなっていて、もしかしたらやられてるいるかもしれません」


 ワールは結局真実を話すしかなかった。

 仮面の男は意外にもすんなりとこの事実を受け止めた。


「やはり子供とはいえ虎の子は虎だったということか…」


 仮面の男は立ち上がり帰ろうとした矢先に仮面の男の指が鋭利になったうえ伸びだし、ワールに襲いかかる。


「では死ね」


「ひっ…」


 ホノカがそれを阻止する。


「コイツは殺させない…証人になってもらわないといけないからな」


「ん?誰だ貴様は?」


「今は一旦眠ってもらう…」


 ホノカは神法術で眠らせ、顔を確認するために仮面を外す。


「なっ!?」


 男は目と口以外が着いていなかった。


 ホノカはワールにこの人物が依頼主か確かめる。


「おい!コイツで間違いないのか?!」


「し、知らない!!今迄依頼人の顔はコイツを初め、他のも見たことがない!!」


 しかしワールは依頼主の顔を見たことがなかった。


 ホノカは焦り言葉がでなかった。


「なっ…」


「でも、こ、声は間違いなく其奴のものというか同じ声だ…背丈も一緒だ」


 ワールは生き延びたい一心で自身が所持している男の特徴を話した。


「そうか…お前は後で法廷で話してもらう。間違っても逃げるんじゃないぞ?」


「わ、わかった…」


 ホノカは男を担ぎどこか消える。


 ワールの部下バクが漸く口を開けた。


「な、なんだったんすか?今の…」


「俺が知りたい…」


 ワールは一安心して倒れこむ。


(森)


ホノカは公都の森に入り男を木に縛り、神法術を解除する。


「解除」


「ん?ここは?」


 男は目を覚ますと周り見渡す。


「お前は一体何なんだ?」


「仮面がない…そうか…」


 男は目と口を閉じて黙り始めた。


「おい、起きろ…」


「ふむ、これが捕まるとは」


「は?」


 男は再び目を開くとまるで他人事かの様に話し始める。


「君はトライーガ家の縁があるものかい?」


「だったらどうした?」


「そうか。なら諦めてた方がいい。何故なら…

クーガ・トライーガは先程、死刑が執行されたよ」


「?!」


「驚くのも無理はない。でも真実なのだよ…裁判はされず、彼は処刑された。」


「黙れ…」


 ホノカは怒りのあまりに男の首を絞める。


「残念だがこれをいくら傷つけても私にはダメージはない…それではさようなら」


 男は砂になり消えていく。


「そ、そんな…

さっきのは嘘に決まってる…今すぐ父上を助けなきゃ!」


 ホノカは王都にある貴族裁判所の独房に行くがそこにはクーガやその遺体も見つからなかった。

 その後も王国国内の裁判所を24時間探し続けたが見つからなかった…

 

 見つかったのは裁判所の記録…


『クーガ・トライーガ 斬首刑 執行済み』


 これただ一つだけだった。


 ホノカは疲れ果て、冷静になるために弟妹がいる神法術で霧に包まれた森に向かった。


(「ユーガとポーラに何と言えばいいんだ」)


 ホノカは扉の前に立ち止まり、決心してから扉を開ける。


「コン!コン!」


 扉を開けるとコン次郎が近寄り、ホノカに何か訴えかける。


「すまない…今は…?!」


 ホノカはコン次郎を剥がすとタヌ太郎が何かが書かれた紙を持ってくる。

 その内容に唖然としてしまう。


『兄上へ 近くの川に釣りに行って来ます』


 ホノカは家を飛び出し川の方向に走りだす。


 ユーガは嫌っている妹ポーラと一緒にいるのが耐えきれずに落ちてあった釣り竿を勝手に持ち出して川に行ってしまった。


(「他の三体は一緒に行ったのか?探してるのか?」)


ゴン


「なんだ?、!、カブ五郎!」


「キシャ!!キシャ!」


「ユーガは何処だ?」


 カブ五郎は首を横に振って自身は知らないことを示す。


「キシャ…」


「っく」


「ワン!ワン!」


 ウル四郎が何処で吠え始めた。


 ホノカは鳴き声がする方向を駆け寄るとそこにはウル四郎しかいなかった。


「ウル四郎!」


「お前らいながら何で弟を一人にしたんだ!」


「くぅーん…」「きゅー…」


 二体は周りを見渡し霧があり探せないことを示す。


 ホノカは自身のミスにゾッとし、急いで神法術を解除する。


「!?、“解除”!!カブ五郎はポーラのところに行ってくれ!ウル四郎は着いてこい!」


 ホノカは守りに特化した二匹ではポーラの身が心配だったので飛んで移動できるカブ五郎を行かせた。


 ホノカは再び川のある方向に走り出す。


(「全部…全部俺のミスだった!」)


「ぷご!ぷご!」


「この声はトン三郎…!」


 ホノカは鳴き声がする方向に無理矢理に軌道修正する。


 だんだんとトン三郎が見えてきた。


「トン三郎!ユーガは?!」


「ぷ…ぷご…」


 トン三郎は下を向き、その川の側にユーガの靴と釣り竿が落ちてあった。


 この世界、そして『ミソクリ』でも、神法術とスキルで川に流されてしまった人を探す方法ない。

 ホノカも勿論この事を知っている。


「ぷご…」「わん…」


 二体は申し訳ないと言わんばかり悲しい顔をして謝罪するが…


 二体の声は既にホノカには聞こえていない…


「はぁ…はぁ…はぁはぁ…」


 ホノカは自責と後悔で感情が崩壊して、自身の顔を掻き毟る。


(「俺は母上も…父上も…救えなかった…?!弟の事を考えずに弟と妹を残して…ユーガは…ユーガは…」)


「はぁ、はぁ…あ、あ、は…

嘘だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 ホノカの喉を潰す程の咆哮は森に鳴り響く。

これで第一章が終わります。

第一章をご愛読ありがとうございます。

明日か明後日に一部設定か第一章登場キャラのまとめを公開したいと思います。


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