表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界再生神話〜神は万能ではない〜  作者: 犬星梟太
第一章 転生奮闘編
30/176

第29話:だんらん

庭にクーガ、ホノカ、ユーガの3人と数人の兵士が稽古の為に集まっていた。


「約束通り、二人とも今日は久しぶりに私が稽古つける」


 クーガにとって久しぶりの感覚である。

 しかしクーガはホノカとユーガ別々でしかやった事はない。

 ホノカとユーガが一緒に稽古をするのは今回が始めてである。


 そしてホノカとユーガには距離がある…


「「はい」」


「まずは二人で打ち合いをしてみなさい、私の合図で開始する」


「「はい」」


「はじめ!」


「それでは行きます兄上!」


「…来い」


「“縮地”!」


 ユーガは覚えたて「縮地」をしてホノカとの間合いを詰めた。


 ユーガは力任せに剣を振るい、ホノカはそれを受け止め、二人の剣がぶつかる。


「“剣打”!」「“剣打”(槍打)」


ガキン


 ユーガは再び、力任せに剣を振るう。


「“剣打”!」


バシ


 ホノカはその攻撃を剣技を使用せずに払う。


「え?」


 ユーガは理解出来なかった。

 ユーガは最近では稽古で木を両断できるほどの力をつけていた。

 それは筋肉であって、技術は身についていなかった。


「“剣打”!」


スカ


 今度は剣を交えずに唯々避けられる。


「はっ」


 ホノカは拳圧でユーガを吹っ飛ばす。


「ぐう」


「もう止めるか?」


 クーガがユーガにまだ続けられるか確認する。


 聞かれたユーガは倒れた身体を急いで起こし、立ち上がる。


「い、いいえ!まだやれます!」


 ユーガは飛び出すように走り出し、剣を振るう。


「“剣打”!」


スカ


 剣技の攻撃は続くがホノカは全てを避けるだけ応酬はしない。

それは10分以上続いた。


「はぁはぁ」


 ホノカは呆れるような表情を向け、弟の疲れきった姿を見つめる。


「…父上もう終わりにしましょう」


 ユーガは稽古を終了させれそうになったことに驚き、訴える。


「な、なんで!僕はまだ…まだやれます!」


「ユーガ…もう体力切れだろ?」


「いいえ!僕はまだ戦えます!」


「ユーガよく聞くんだ。今のお前には足りないものがある。今から父上と俺の稽古を見て何が足りないのか学ぶんだ。いいか?」


 ユーガはホノカの圧に萎縮する。


「は…はい」


「ではお願いします。父上」


「あぁ…ドノン開始の合図を頼む」


 側で待機していたドノンが近づいてくる。


「はっ!…それでは、はじめ!」


 両方とも一気に距離を詰め、剣がぶつかる。


ガキン


 二人は剣技を使わずに応戦が続くと…


 ホノカが仕掛ける。


「“剣爪”」


「“身体強化・強”」


 クーガは強化スキルを使用してホノカの剣技を避ける。

 そのままホノカに詰め寄り剣を弾き飛ばす。


ガシャン


 剣が地面に落ち、ホノカの首に剣が突きつけらる。


「これで終わりです」


「あぁ…引き分けだ…」


「えっ?!兄上の負けではないのですか?!」


「よく見なさい」


 二人は止まったまま、ユーガに気づかせようとする。


 ユーガは眉を下げながら止まった二人を見渡す。


「は!?」


 クーガの腹にはホノカのスキルを纏った手が突きつけられていた。


「今の一瞬で…」


「ユーガよ…先程の稽古でお前に何が足りないかわかったか?」


 ユーガは深く頷き、口を開いた。


「僕には工夫が足りないと思いました…、にい、兄上と父上には嘘の技もありました。」


 ユーガはドノンとの訓練では持久力を中心に筋力とスキル上げの三種のみ鍛えていたため、戦闘訓練はほぼしていなかった。

 というよりユーガの筋力についていけるのがクーガやホノカ、死んでしまったグレンダの3人しかいなかった。


 クーガはユーガの言葉に満足した。


「そうだな、虚をつく技術はどの武術でも必要だ。

魔法の様に詠唱が必要で虚をつけない場合もあるがスキルは偽ることができる。特に剣はな」


 スキルを使用するときは念じることでも使用することが出来る。(7話推奨)

しかも剣は複数の攻撃タイプを使用できるため(9話推奨)、ゲームと違う駆け引きをすることができる。


「もう一度やってみるか?」


 ホノカがユーガに聞くと、ユーガは目を輝かせて頷く。


「はい!兄上!」


「再び私の合図で開始する……はじめ!」


「行きます!」


「…“縮地”」ボソ


 ホノカは返事をせずに一気にユーガへ距離を詰める。


「開始の合図があったのにわざわざ相手に挨拶する必要はない」


 ホノカはユーガをきつく注意した。

 ユーガは何とか反撃するが…


「っく、でりゃ!」


ドス


「うっ」


 剣の柄で腹を打たれ疼くまってしまう。


 ホノカは剣を突きつける。


「終わりか?」


「い、いいえ!」


「ならば立て!」


「はい!」


 ユーガは立ち上がり剣を振るい、ホノカはただ受け止める。


ガキン、ガキン、ガガガ。


 二人はそのまま剣技を使わずに応戦し合い、剣を打つかり合わせる。


「“身体強化・強”」


「え?」


 ホノカはユーガの眼前が姿をくらませる。


 ユーガを当たりを見渡すがどこにもいない。

 理由はホノカのスピードによる高速移動だ。

 クーガにも見えていない。


「終わりだ」


「!?」


 ホノカはユーガの眼前に現れ…


「“剣打”」


 ホノカはユーガを吹き飛ばし、ユーガは木に引っかかってしまう。


 そんなユーガをヨハンが急いで木から下ろす。


「ユーガ様!大丈夫ですか?お怪我はありませんか?」


「あぁ…大丈夫、ゴホ、はぁ…はぁ」


 ユーガは酷い息切れをしていた。


 クーガはユーガの様子を見に近づく。


「少し頭を打ったようだな。少し休憩しなさい。ヨハン連れてってやれ」


「かしこまりました」


「ホノカ、次はドノンと稽古をしなさい」


「はい」


「に…兄上、ありがとうございました」


 ユーガはホノカの頭を下げて感謝する。


「あぁ、これからも頑張るんだぞ」


「はい!」


 ユーガはもう一度頭を下げて去っていく。


「ホノカ様も少しは手加減をしてあげてもよろしいのに…ユーガ様に怪我がなかったからいいものを、クーガ様もです……」


「…」(「兄様は相変わらず強いな…兄様のようになれる様に頑張らないと!!」)


 ヨハンはユーガがへの対応に不満を述べ続けるがユーガには一切聞こえてなかった。


(食卓)


 そして時間は経ち夕食の時間になった。


 ポーラはある事情のため、食事を先に済ませて寝てもらっていた。


 家族3人だけの食事をするため、3人は料理が来るのを待っていた。


「今日は二人ともよく頑張ったな。お前達の成長具合は著しい…これからも稽古と訓練に励むんだぞ」


「「はい」」


 クーガは神に懺悔するように手を握り、二人の名前を呼ぶ。


「…ホノカ、ユーガ」


 ホノカはそんなクーガの様子に戸惑う。


「?、なんでしょうか父上?」


 クーガは握った手を震わせながら言葉を続ける。


「お前達二人には伝えなければならないことがある…グレンダのことでだ」


 ホノカはクーガから三年越しに言われたグレンダの名前に困惑の表情を浮かべる。


「は、はい…」(母上?今更なんだ?)


「すまないな…時間経ってから話す事になってしまって…

本当はお前達が大きくなってから話そうと思ったんだ。

しかし、昨日のポーラとユーガの件、今日のユーガの様子を見てもう話さなければならないと思ったんだ」


「「…」」


 二人はクーガの顔を不安そうな顔で見つめ聞き入る。


 クーガは深呼吸をしてからホノカとユーガを見つめて口を開く。


「グレンダは…」


「旦那様!」


 クーガが話そうとしたときにメイドの一人が扉を開け大声で呼びかける。


「すまないが今は…」


 クーガはメイドをすぐに下がらせようとするが…


「申し訳ございません!ですが大変なんです!」


 メイドの只事ではない雰囲気が気になった。


「一体どうしたんだ?」


「王宮から使者の方が来られました!」


「何…?」


 クーガは急いで使者を出迎える準備をする。

 使者は玄関を開けたまま手練れの騎士複数人と待ち構えていた。


「使者殿、一体何用で?」


 使者はクーガに冷たい目を向けて口を開く。


「…クーガ・トライーガ、妻殺害及び、敵国への情報漏洩の容疑で逮捕する」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ