第17話:認知されない救国
(ホノカ視点)
今日は従魔のレベルを上げる予定だ。
ガジガジ
ウル四郎が俺の手をずっと噛んでいる。
そしてそのウル四郎をタヌ太郎とトン三郎が俺から引っ剥がそうとしている。
コン次郎は俺の膝で寝ていて、カブ五郎は俺の頭にいる。
今、俺はトゥースの森でこうして従魔達と戯れている。
スキルも習得させたし、此処らへんのモンスターならスキルでごり押せるだろう。
だからコイツらだけで狩りをしてもらう。
俺はこれ以上レベルupしないけど、俺にも経験値が加算されてしまうからコイツらだけでやってもらう。
今日の目標はレベル50だな。
狩りで思い出したけど、この前一緒に狩りをしたシューナ嬢とヴァナタ君と手紙をやり取りしている。
シューナ嬢には弟がいて、弟に俺を合わせて剣士として一本高みに行って欲しいと書いてあった。
ヴィナタ君はモンスターの話が殆どだけど、偶にガリ勉のお兄さんの愚痴を書いている。
スパルは手紙が着て、返信したのに今度は返信がこない…
やっぱりこの前の件が関係しているのか?
俺のスキルや法術はこの世界なら無双状態だけど無限ではない。
ああいう事態にならないようにコイツらを育成しないとな…
「お前ら」
「くん!」「こん!」「ぷご」「わん!」「きゃしゃ」
「今日はレベル上げをするぞ」
「くん!」「こん!」「ぷご」「わん!」「きゃしゃ」
「お前らだけで狩りをするんだ、できるか?」
「くん!」「こん!」「ぷご」「わん!」「きゃしゃ」
「よし、コン二郎、ウル四郎は二匹で狩りをして、タヌ太郎、トン三郎、カブ五郎は三匹で狩りをしろ」
中遠距離コン二郎と近中距離ウル四郎のツーマンセルと
防御のタヌ太郎、バランス型カブ五郎となっちゃって枠のトン三郎のスリーマンセルで狩りをさせていく。
本当はバラバラで経験値稼ぎしてほしいけどしょうがない。
「くん!」「こん!」「ぷご」「わん!」「きゃしゃ」
「よし、行け!」
「くん!」「こん!」「ぷご」「わん!」「きゃしゃ」
バッ
行ったな。
5分…は心配しすぎか…
10分ぐらい経ったら様子見に行くか…
勉強の復習でもするか。
(オーク・ジェネラル視点)
俺はオーク・ジェネラル。
誇り高き最強のオーク。
此処は俺の城だ。元はただのダンジョンだったが俺が乗っ取った。
違うな…
俺ら一族は最初此処に逃げて来たんだ…
俺らの一族は50年ほど前まで此処一帯を根城にしていた。
しかし俺の父の代で人族を侵略した。
その結果、俺の父はここの人族の長に殺された。
今でも覚えている。
あの恐ろしい眼光に黒とオレンジの髪色。それに顎にある切り傷…
俺たらは奴を『黒橙の悪魔』と呼ぶ。
暫く黒髪を見るだけでビビっていた時もあったが…
今は違う。
俺は…いや俺たち一族は力を蓄え続けた。
俺はレベル1,000になった。
ダンジョンのボスを来る日も来る日も喰らい続けこの高みへと辿りついた。
時にはS級冒険者から身を隠し、時には兄達を犠牲にしてきた…
兄達の犠牲のおかげで俺は人間の戦い方や育成方法を学べた。
そして俺は部下達を鍛え上げた。
一般兵は全員がレベル70を超え、精鋭兵はレベル150を超え、俺の弟や息子達はレベル200になっている。
この俺達を止めれるものは何者のもない。
今日、俺達は此処から外界に出て、大牙山のヌシを傘下若しくは喰らい我が糧にする。
その後はメインディッシュ、父の仇、あの男を倒し喰らう。
「フゴ、フゴ」(大将、大将)
「フゴ」(なんだ?)
「フゴ」(見た事のないモンスター五体が大牙山の前にある森で暴れています)
「フゴ?フゴフゴゴ?」(何?調査隊も見たことないのか?)
「フゴ」(はい)
外界から離れていた間に此処らへんの生態系が変わったのか…?
危険を犯さず、先遣隊に向かせるか?
いや、未知を恐れていたら、コイツらに示しがつかない…それにレベルは抑えさせたが弟達が増長しかねない…
「フン、フゴフゴ」(ふん、そのような小物気にする必要はない)
「フゴ」(はっ)
進軍するときに様子を見て、強そうであれば傘下若しくは喰らう。
よし、これで決定だ!
「フゴ!フゴゴゴ!!」(皆者!、今から進軍する!)
「「「「「ブゴーーーーーーーー」」」」
「フゴフゴ、フゴフ、フゴフン」(俺達一族の悲願を!今日果たすのだ!憎っくき黒橙の悪魔の元へ征くぞ!!!)
「「「「「ブゴーーーーーーーー」」」」」
「フゴフゴフ」(その前に大牙山のヌシを配下にする!奴は俺に従わなければ、奴を今日の前菜にして活躍した者にも振る舞ってやろう!)
「「「「「ブゴーーーーーーーー」」」」」
士気も高まった!さぁ征くぞ!俺達…いや!俺様の野望のために!
(1時間後)
大牙山の森に着いた…
確かに感じたことのない覇気を感じる…
S級冒険者程ではないが、なかなかの覇気、先遣隊を向かわせなくて良かった。
恐らく…喰われていただろう…
「フゴーーー!」(進むぞーーー!)
暫く進軍すると妙な痕跡を見つけた。
これは魔法の痕…しかも此処らへんでは珍しい属性の水や木…
たが、俺にはこの痕跡の属性なら私にも揃っている。
何だ?風向きが変わった…
ん?人族のガキ…
!!
「困るんだよな…こういうの…」
間違いない!!!この黒とオレンジの髪!「黒橙の悪魔」の血縁!!!
「フゴ」(鑑定係!!!)
「フゴ」(はっ)
「フゴフゴ」(今すぐ奴を鑑定しろ)
スパン
!?
今何があった?!!
いつの間にか俺の軍に穴が空いてる…
「手の力、緩め過ぎたな」
これでは「黒橙の悪魔」以上…
「もう一回…」
くる!!!
“身体強化・極”、“硬化・不動”、“気功術”
ドカン
「ぐは」
今ので腕が吹っ飛んで…身体の中がズタズタだ…
「フゴ」(お前たち…)
!、今ので半数以上やられている…だと…
「「「「「プギギィーー」」」」」
あぁ…俺の軍がまるで子豚のように鳴いている…
「「「プギギィーー」」」
「「「プギギィーー」」」
「「「プギギィーー」」」
「お、アイツらの所に逃げたか」
逃げた先でやられているのか…?
「他にもヤバい個体がいたし、コイツ倒して、ヤバい個体のところ行かないと…」
スパン
「この世界でも通常な個体いたんだな」
くそ、言葉はわからないが…俺を…雑魚だと言っているのんだろう?
「悲鳴が3箇所聞こえるな…ウル四郎当たりが勝手に戦ってるな…」
あぁ…外界に…出るんじゃ…な…か…あーーー…
◇
「レベルもスキルも大分上がったな」
…
Nameタヌ太郎 Lv.70
種族 茶釜狸
テイマー ホノカ・トライーガ
スキル「土遁Lv.10」「土魔法Lv.50」
「水魔法Lv.10」「全属性耐性Lv.20」「状態異常耐性Lv.5」「硬化Lv.20」
「無詠唱Lv.1」
Nameコン次郎 Lv.65
種族 稲荷神
テイマー ホノカ・トライーガ
スキル 「水魔法Lv.50」「炎魔法Lv.20」
「聖魔法Lv.3」「全属性耐性Lv.20」
「高速詠唱Lv.5」
Nameトン三郎 Lv.40
種族 エンジンアオーク
テイマー トーマ・トライーガ
スキル「炎魔法Lv.20」「身体強化Lv.1」
「鑑定Lv.MAX」「錬金Lv.1」「隠蔽Lv.1」
Nameウル四郎 Lv.80
種族 ジェネラルウルフ
テイマー ホノカ・トライーガ
スキル「体術Lv.60」「剣術Lv.5」
「杖術Lv.1」「風魔法Lv.5」「氷魔法Lv.1」
「索敵Lv.50」「気功術Lv.10」
「HP自動回復Lv.1」
Nameカブ五郎 Lv.70
種族 キングアーマインセクター
テイマー ホノカ・トライーガ
スキル 「身体強化Lv.30」「硬化Lv.20」「感知Lv.20」「威圧Lv.50」
「気功術Lv.40」「隠蔽Lv.1」「看破Lv.1」
…
「明日もレベル上げだな」