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異世界再生神話〜神は万能ではない〜  作者: 犬星梟太
第五章 英雄の師匠編

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第29話:捜索網

風邪でサボりました。ごめんなさい。

(ホノカサイド、フウゲツ皇国周辺の山岳地帯)


 ホノカは早速、法術を妨害した場所を探し当てていた。


 山頂部に隠された何者かの秘密基地を発見した。


「埃だらけだな…だけどしっかりとした設備だ」


 ホノカが来た場所は、組織の施設というより少数チームの拠点という感じだった。

何個の部屋があり、寝室だけでなく食糧庫や武器庫などがあった。

食糧庫は防腐の魔法がかけられていたが殆どが駄目になっていた。

そして武器庫は箪笥二つに武器が置かれていて、何個か空きがあり家主達が持っていたものと思われる。


 ホノカは散策する中で高さ1mほどの大きめの金庫と何冊かの本と手紙を目にした。


 金庫はホノカの法術を何度か抵抗して見せたが、空けることが出来た。

中には金貨、何処かの王国の印が入った書状が入っていた。


 ホノカは散策が終わると本の中身が読み始める。


 まず一冊目は床に捨てられたいた本で、表紙とページが半分ほど無く、見えるページも穴や文字が擦れて読めなくなっている。


物資が届いた…日遅れで…本国も…

た…嗜好品が無い…

ワインと…い贈って…も…ケ…さい…

こっちは…も戦…全く…じゃない…

…さんは真面目過ぎ…

…やライ…の文句は…俺に…面倒…

この任務着いて、2ヶ月過ぎた。

死傷…いないが、ポーションと…とかの…早い…頼…

生産系…仲間がい…いや、こ…戦えない人間を…に連れ…ない…

スケルトン…減らない…でも、…だ戦うしかない。

国のために頑張ろう。


(数ページ後)

本国より新しい仲間がやって来た。

名はトリ…

彼はまだ13歳…の才能に秀…今回の作…に…ことに…

真面…子だ。

…ノアが先輩…しはじめ…面白…

どっちが子…わか…

若者が戦いの場に連れ…

…俺達…ないば…

だと…姉…に…言わないと。


(数ページ後)

…が死んだ…

スケルトンと戦…いたら、…みたいなモンスターに奇襲を受け…

…大群の奥に人影を見た…

不思…人影を見た、スケルトン達が…のモンスターを襲…

あれは一体…者…


(「誰かの日誌か…

スケルトンは不死王の群団の事か?

もしかしたらこれを書いたのはこの時代の勇者だったのかもな…」)


 ホノカは次の本を取り出す。

この本は先程の本と違って錠が付いている机の引き出しに入ってため状態が良い。


リーダーにお前も日誌を書けと言われた。

何を書いたらいいかわからない。

肉食いたい。あと酒、安酒でいいから飲みたい。


(数ページ後)

今日はライオネルが料理当番。

アイツは親父さん譲りの料理の腕があるから飯が上手い。

でも酒飲みたい。


此処はつまらないが此処にいる奴らは面白い。

コイツらと国で凱旋したい。


(数十ページ後)

畜生(殴り書きでデカデカと)

仲間が死んだ。これで3人目。

蘇生が間に合わなった。俺が怪我さえしな…(殴り書きが酷く読めない)

…あれは何だかわからない…前に襲った来た猿に似ているが違う化け物だ。

絶対に殺してやる。


(「モンスターの奇襲か…さっきも似たことが書いてあったな…」)


 次は小さな木箱と魔導書に挟まった手紙を読み始める。


手紙の中の君へ。

外部に軍事作戦を教える可能性があるから手紙を出してはいけないからここに書き留めるよ。

いつか君にこれに渡せる日が来るといいな。

愛しているよ、ブルーエ。


(「これは恋文か…」)


 ホノカは手紙が恋文だとわかると木箱に戻して置く。

魔導書は一瞬だけ目にして、既知の内容だったので気にも止めずに手紙を魔導書に戻した。


 他にも3人分の日誌があったが、数ページで終わっていたり、状態が酷過ぎて読めないものやほぼ討伐記録だったりとこれ以上の情報は得ることが出来なかった。


 ホノカは基地を出るときに、基地を法術で綺麗にして、防腐の法術を新しくかける。

最後にお辞儀をするとその場を後にする。

 

「リント達、上手くやってると良いんだが…」



(イズモサイド、ムーンラビット法国大聖堂)


 ムーンラビット法国はムーンライト帝国の同盟国の一つでこの国のルーツ(建国者)はムーンライトの皇族にある。


 イズモ達はそこの大聖堂に来ていた。


 イズモとポーラ、レイブンは聖職者に紛れ込み礼拝のフリをして、隠し部屋が無いかアイテムで探し、

一方ホノカの装備をしたリントとコン次郎とトン三郎が重要資料がありそうな部屋に忍びこんでいた。


 礼拝のフリをしているイズモにリントが近づく。


『こっちは粗方調べた。そっちは?』


 イズモはリントの質問に対して首を横に振って否定した。


 するとレイブンが一人事を話始める。


「あと少しで終わるから頑張るんじゃよ」


 レイブンはイズモに話すようフリをしてリントに進捗報告をした。


 リントは理解する離れようとする。


「そこの貴方」


 イズモ達が呼び止められてしまう。


 修道女はポーラに近いていく。

 イズモやリントは臨戦態勢に入る。


 修道女はポーラの頭に手をかけ…


「頭巾がずれていますよ」


 修道女はポーラの頭巾から出た髪を入れて頭巾を整えてくれた。


 それにポーラは礼を言う。


「ありがとうございます」


「いいのですよ」


 この様子にイズモとリントは肩を撫で下ろす。


 修道女はお辞儀をして去っていくが…


「?、そこのお爺さんは誰です…」


 修道女は身に覚えないのない重役の服を着ているレイブンに疑問を感じてしまった。


 すると…


(“暗殺術・不殺”)


 リントは手刀で修道女を気絶させる。


「危なかった」


 リントは気絶させた修道女を抱き抱える。


 その手際の良さにレイブンが関心する。


「ふむ、やはり筋が良いな」


「…それはどうも。じゃあこの人どうします?」


 リントはレイブンの所為で起こった事態なので「お前がやれ」と言わんばかりの様子でいる。


 レイブンはその様子を察した上で鼻で笑う。


「ふ、安心せぇ」


 レイブンは隠し持っていた杖を換装する。


「召喚魔法 混成精霊 玉草」


 魔法陣から人型の赤と青色の精霊が召喚された。


「無事召喚されたか。ホノカ様が言っていたが後で確認しないといかんな」


 レイブンはホノカの従魔が勝手に契約解除されていないことに安心する。


「玉草、この娘の身体に入って、娘の自室で寝かせて来い」


コクン


 精霊の玉草はレイブンの指示に従い、修道女の身体に憑依してその場を後にする。


 リントとイズモはその様子に驚き目を丸くしていた。


「何で魔法を使用できるの?ここってほうじゅつを阻害するんじゃないの?」


 イズモはホノカの法術を妨害できるほどの結界内で魔法を使用出来ることに驚いていた。


「簡単なことじゃ、効力があるのは外側、中では自由に使用出来るんじゃよ」


 レイブンの説明にイズモはまだ納得できない様子だ。


「じゃあ、このアイテムの意味は?」


「それはエネルギー節約のために使ってるんじゃよ。いざとなったらワシの命に変えてもお主らを逃さないといけんからの」


 イズモはレイブンが命を捨てることを至極当然のように言う様に畏怖した。


「そっか…」


 するとリントがレイブンに質問し始める。


「ところであれ大丈夫なんですか?本当に自室に行けるんですか?」


「安心しろっと言っただろ?高位精霊にもなれば憑依した人間の記憶を読みとるのなど造作もない」


 リントはレイブンが召喚した精霊である事にまた目を丸くさせた。


「高位…それはまたふざけた能力ですね」

 

「あとは西棟のはじだけじゃ、早く終わらせれるぞ」


 レイブンは問題が解決すると任務を果たすべく、汚名を返上するべく早期の達成を望んでいた。


 少し歩くとリントの足が止まる。


「そういえばあのダークエルフ、不死王に乗っ取られたレイブンさんを見ていますよね?今度から変身か何かしたほうがいいんじゃないですか?」


「「あ」」


(ナーニャ王国)


 フリヴォーラは執務室で宰相と暗部の長といた。


 暗部の長は何かを失敗してしまったのか、心苦しそうというより何かに恐怖している。


 そして、その恐怖の対象と思われるフリヴォーラは密書を楽しそうに読んでいた。


「まさかX級候補殿がアイツを知っているとはね。

やはりアイツは組織だって動いているようだな」

 

 この情報は暗部の長やその配下が入手して来た情報だ。

フリヴォーラの暗部はホノカに感知されない場所で望遠鏡と読唇術で情報を手に入れていた。


「彼はいろいろと我が国に恩恵をくれるね。息子の育成しかり仇敵の情報しかり嬉しいね」


 フリヴォーラは読み終わると次の密書を読み始める。


「ありゃあ…流石に気づかれちゃったか…配下にバレて釘刺されたか…」


 ナーニャの暗部はホノカに見つかり、ヴァレットに釘されれてしまっていた。


「部下に神獣の使いと言われる白虎の獣人に…不死王に憑依されていたのに無事な魔導師…いや賢者か?」


 フリヴォーラは密書の内容に笑ってしまう。


「いやーしょうがないよ。君達の落ち度じゃない。相手が規格外すぎた」


「申し訳ございません」


「うん。他の件は頼むよ」


「はっ」


「下がっていいよ」


 フリヴォーラは暗部の長を視界に入れずに柔らかな口調で退出を許可する。


 暗部の長は一瞬で去るのではなく、ゆっくりと立ち上がり重い足取りで扉から出て行く。


「ノライ宰相、(X級候補の)彼らの探りするときはメンバーを一新しよう。

属国から優秀な人員を呼んで混成班にしよう。連携とれるように今すぐ呼び出して顔合わせさせて」


「かしこまりました。他には何かございますか?」


「…暫く暗部を下がらせて一人になりたいんだ」


「いいので?」


 ノライの問いにフリヴォーラは暗い笑みを浮かべた。


「頼むよ」


「…かしこまりました」


 ノライは顔色も態度も変えずに執務室を後にする。

 

 フリーヴォーラは一人になると空間魔法であるものをその場に出現させる。


 フリヴォーラは机から若い頃の自身と前国王、父親とのツーショットの姿絵を見つめる。


「父さん…漸くアイツに近づいたよ。これまで全く掴めなかったけど…俺の息子が、あんたの孫がこの縁を運んでくれんだ…」


 するとフリヴォーラはゆっくりと自身が出現させたのものを見ようとする。


 フリヴォーラが出現させたものはホルマリン漬けされたレイエンの手だった。


 フリヴォーラはレイエンの手を睨みつける。


「俺の復讐は誰にも邪魔させない」


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