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異世界再生神話〜神は万能ではない〜  作者: 犬星梟太
第五章 英雄の師匠編

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第26話:その頃、氷の大陸では

(氷の大陸 ヨトゥン公国 侯爵領)


 ホノカの神法術で創り出した太陽は消え、その影響もこれと言って無く。

大陸の名の通り氷が出来るほどの豪雪が降り頻る。


 ホノカの叔父ケイガとX級冒険者カイジンは侯爵領の港町に来ていた。


 二人はBARに近い酒場で話していた。


「本当に聖の大陸に行くのか?」


「うん」


 カイジンはビールを呑む。


「何でまた急に…」


「なんか行かなきゃいけない気がすんの」


 カイジンはチーズに生ハムを巻いたおつまみを頬張る。


 真剣に答えないカイジンにケイガは少し苛立ちを見せる。


「なんかって何だよ」


「女の勘」


 この答えでケイガは諦めてしまう。


「はぁ…そうかい」


 諦めたケイガもビールを呑み始め、呑み干すと話を変える。


「そのまま、木の大陸に帰るのか?」


「寂しい?」


 カイジンは自身は質問に答えないのに揶揄うように質問する。

 それにケイガは苛立ちを抑え手羽を骨ごと食べてから答える。


「まぁな…知り合いが減るのは寂しいよ」


 ケイガは苛立ちを抑えて本音を確りと伝えた。


 カイジンはその様子に笑みを見せ、またおつまみを食べる。


「また戻ってこれるよ。そしたらまた呑もうや」


 カイジンはジョッキを揺らしケイガを次の呑みに誘う。


「いや、実は俺も久方ぶりに光の大陸に…故郷に帰ろうと思っているんだ…」


「へぇ、それまたどうしたの?」


「元嫁に謝っておきたくてな…」


 ケイガの話にカイジンは少し笑みを見せる。


 ここで二人の手が止まる。


「寄りを戻すの?」


「いいや…まぁ、無理だろ」


「聞いてみなきゃわかんないじゃん」


「…実際お前が同じ状況だったらどう思う?」


「無理かな」


「はぁ…そうだよな」


 カイジンの手はまた動き始め、手羽を食べ始める。


「気をつけて帰んなよ」


「あぁ」


 二人の口数は減り、呑み終わるとおかわりをすること無く会計を済ませた。


「じゃ、私は宿に帰るわ」


 カイジンが帰ろうろするとケイガが呼び止める。


「おい、無茶すんよ」


 ケイガはカイジンの事情を知っている彼女が無謀な事をしないか恐れていた。


バイバイ


 カイジンは返事をせずに笑顔で手を振った。

ケイガはそれを残念そうな表情でただ見つめた。


 カイジンはケイガと分かれ、町を歩き宿び向かう筈が横道に逸れていき、街灯がない道を進んでいき、街外れの移転して誰もいない廃ギルドに入っていく。


 廃ギルドは何年も前に移転しているためボロボロで床板が軋み、踏むと反対側跳び上がってしまう。


 カイジンは気にせずに中へと入っていきギルドの受付へと向かい…


「出て来いよ」


 カイジンが呼びかけると5人のエルフとダークエルフが現れる。


氏名 ハガクレ・S・アークウッド

所属 アルルセルフ神国 聖職統括長官

種族 ハイエルフ

Lv.3,000

第一職業 剣聖

第二職業 暗殺者

称号『妖魔』、『粛清者』


氏名 イブレーラ・ウィンディーネ

所属 ユグ精霊皇国 伯爵令嬢

種族 ダークエルフ族

Lv.1,448

第一職業 スピリットテイマー

第二職業 精霊法師

称号『ブラッドレイン』


氏名 ノーム・ベルセルク

所属 冒険者ギルド X級冒険者/アルルセルフ神国 名誉聖騎士

種族 ハイエルフ

Lv.1,987

第一職業 炎斧術師

第二職業 精霊法士

称号『龍精』、『断魔』、『デビルハンター』


氏名 マーチャ・ゼルバテス

所属 冒険者ギルド X級冒険者

種族 エルフ族

Lv.1,674

第一職業 槍術師

第二職業 精霊法師

称号『エレメントランサー』


氏名 ザグザ・サンダーフィールド

所属 冒険者ギルド X級冒険者

種族 ダークエルフ族

Lv.1,351

第一職業 雷魔導師

第二職業 鉱石魔導師

称号『轟笑い』


 フード付きのローブを着るイブレーラは現れると魔導書を開き、周りに結界を張る。


 すると白い忍び装束を着たハガクレが話始める。


「カイジン、神託が降りた…聖の大陸にお前の望む者がいる」


 なんとカイジンの女の勘は当たっていた。


「そ、ご報告ありがと」


 カイジンは自身の勘を裏付ける結果の報告なのにも関わらず素っ気ないの返事をした。


 ハガクレもその態度に疑問を感じた。


「驚かないのだな」


 カイジンは表情を変えずにただ見つめる。


「…」


「忘れろカイジン。相棒の忘れ形見に執着するな、あれは罪を犯し過ぎた。終いには禁忌まで犯し…

もうお前がどうにか出来る範疇ではない」


 ハガクレはカイジンを想って忠告するが、カイジンは受付台に寄りかかり無頓着な態度を取り返答する。


「私を止めろって神託に出たの?」


「…違う」


 カイジンはその結果に少し反応を示しす。


「へー随分私に都合の良い神託が出たみたいだね。フェアリー様に感謝しないとね」


 カイジンの態度にエルフ達が殺気立つ。


「ギッギ…口の利き方がなっちゃいないな…俺が躾てやろうか?…」


 ローブと皮の胸鎧を着たザグザが不快な笑い声を上げ金属製の杖をカイジンに向ける。


「止めろ、ザグザ」


 ハガクレに止められるがザグザは杖を降ろそうとしない。


「止めろと言っている」


 ハガクレは殺気立ててザグザを止め始める。


 ザグザはそれに驚き、悔しくそうに杖を下ろした。


 カイジンもハガクレの対応に驚いていた。


「本当に私を止める神託はないみたいだね」


「最初からそう言っているだろ…ただ俺は忠告して起きたたかっただけだ」


 カイジンとハガクレは暫く真顔で睨み合う。


 すると…


「…悪いけど明日には出航なんだ帰らせてもらうよ」


 カイジン帰宅を願い出る。


「解いてやれ」


 ハガクレはそれを承諾してイブレーラに結界を解除する様に指示を出す。


 カイジンは歩き始め、廃ギルドの出口で立ち止まる。


「一つ聞いておきたいんだけど捜索班のリーダーは誰?」


 カイジンの質問にハガクレは少し考えてから口にする。


「…『厳正者』だ」


 カイジンはその答えに拳を強く握り締める。


 そして何も話さずに帰っていく。


 するとすぐに漆黒の軽鎧を着たマーチャが話始める。

 

「何故奴を放って置くんだ?あんな異分子を」


「神託に…従っただけだ」


 ハガクレの答えにマーチャは苛立ちを見せる。


「従った?一体どんな神託が降ったんだ?」


 マーチャの質問にハガクレは答えようとしない。


 すると先程殺気を放たれたザグザが問いただす。


「僕も知りたいですね…あんな女を生かしておくだけの…どのような神託が出たんですか?」


 ザグザの声には怒気が含まれていた。


 他のメンバーをハガクレに懐疑的な視線を送る。


 そしてザグザが邪推をし始める。


「まさか貴方ようなお方があの女に惚れているんですか?」


 ザグザは邪推するが、ハガクレはカイジンのような罪人を庇い立てする人間を見逃すような人物では無い。

その事を彼らは知っている。


 答えないハガクレにマーチャは更に問う。


「我々の任務はアイツに神託を伝え、止めることでは無いのですか?

X級冒険者一人にこの人員を集めたのは話会いが目的では無い筈ですよね?」


 ここでハガクレは何故か折れる。


「全文は教えられないぞ?」


「勿論です。ですが出来るだけ我々が納得出来るような内容をお聞かせ願いたい」


「神託はこうだ…『忌むべき子、聖の大陸で見つかる。

子を探すエルフの戦士、子と合わせてはならぬ。

エルフの戦士、子の怒りに触れ、聖の大陸が真の瘴気に包まれる。

その瘴気、いずれ邪神の復活の礎と成らん』」


 ザグザは神託の内容に驚きこれ以上んの話は無いと思い、意見しようするが…


「やはり止めた…」


「続きがある」


 ハガクレは先程の倍の殺気を出してザグザを黙らせる。


 ザグザだけでなくメンバー全員が押し黙ってましまう。


 ハガクレはその状態で話を再開する。


「『エルフの戦士を害してはならぬ…もし害したなら…』」


 ハガクレは深呼吸をする。


「『若き荒神が木の大陸の国々の半分を消しさるだろう』」


 全員が言葉を更に失ってしまう。皆口を閉じて思考を巡らせた。


 そんな中誰も軽口や強がりを言うなど者いない。


 エルフ達にとってフェアリー族が授かる神託は絶対的なもので、外れたこと無いのを知っている。


 ハガクレは事の重大さを理解した彼らに話始める。


「わかったか、我々は国の存亡を託されているのだ…

我々の行い、我々の故郷が無くなるんだ。

我々が許されたのは奴を説得するか足止めしかない。もしそれ以上の事は絶対に許されね…わかったか?」


 ハガクレは背負された任務の重さに押し潰れていた。

そのストレスを何も知らされていないメンバーに此処ぞとばかりにぶつけた。


 そしてメンバーの彼らはそんなハガクレに気圧され…というよりハガクレと同様に任務の重さに押し潰され始めていた。


 その重くなった首に彼らは精一杯頷いた。

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