第25話:その頃、光の大陸は③
(光の大陸 ペンドラゴン王国)
「主様の弟子って聞いたから期待してたんだけど…がっかり…」
アポカラリスの目の前には冒険者達が転がっている。
その冒険者達はアノワール達「黒刀五式」とリュウカ達「白竜天翔」、最後にグリン達「碧嵐の刃」のメンバーだ。
アノワール達が転がっている中心には漆黒の甲冑を纏うスケルトンがいた。
…
スケルトンナイト(name.ポーン01)
Lv.10,000
…
「雑兵にすら勝てないなんて…」
アポカラリスにとって…いやホノカ達にとってスケルトンナイトは間違いなく雑兵ではあるが、この世界の住人にとって一国が滅ぶレベルの力を有している。
そんなスケルトンに優秀な冒険者達リーダー達を残して気絶していた。
「…まだ」
「畜生が…」
(「これが本当にスケルトンナイトなのか!?」)
三人はまだスケルトンナイトに立ち向かうとする。
アポカラリスはその3人を見て意外そうな顔をして呟く。
「あら?まだやるの?まぁアンデッドは疲れないからいいけど…あ、もっと強くして」
アポカラリスはエルダーリッチ3体にお茶汲みとマッサージをさせていた。
…
エルダーリッチ(name.ビショップα)
Lv.100,000
エルダーリッチ(name.ビショップβ)
Lv.100,000
エルダーリッチ・プリースト(name.ビショップΩ)
Lv.600,000
…
「ほどほどにねー」
アポカラリスの自分達を見限った態度に3人は憤慨してスケルトンナイトに向かっていく。
現在ペンドラゴンの冒険者ギルドはアポカラリスの手中にある。
実質アポカラリスがギルドマスターと言っても過言ではない。
以前来た新しいギルド長、四腕族のマカロニはアポカラリスに恐怖してギルドの本部に帰ってしまった。
マカロニは戦った訳ではない。
アポカラリスを一眼見ただけで絶対に関わってはいけない存在だと認識しての行動だった。
アポカラリスがマッサージに浸っているとギルドの受付嬢がやってくる。
「アポカラリス様、お時間よろしいですか?」
「どうしたの?」
「オーレン陛下がお目見えです」
「あら、お通してあげて」
「かしこまりました」
受付嬢はお辞儀をして戻っていく。
するとすぐにオーレンがやってきた。
「アポカラリス殿」
アポカラリスは起き上がりマッサージ台に座ったままオーレンを応対する。
「オーレン様もどうぞお座りになって」
エルダーリッチ達はアポカラリスが指示をする前に椅子を準備して、アポカラリスはオーレンに椅子に座るように促す。
「失礼します」
オーレンはまるで上司に敬礼するようにアポカラリスにお辞儀をしてから椅子に座る。
アポカラリスはその様子に生暖かい目線を向け、二人はアノワール達が戦っている中会話を始める。
「主様の友達なんだからそんな事しなくていいのに…」
「いえ…ホノカとの関係とアポカラリス殿との依頼は別ですから」
現在冒険者が扱かれているのはオーレンから依頼をだった。
正式にはペンドラゴンにいるオーレンがある程度信用している猛者と自身に稽古をつけて欲しいというものだ。
今回はその依頼の初めて稽古だったが…
「訓練は順調ですか?」
「ん〜…」
オーレンに質問されたアポカラリスは冒険者達を冷たい目で一瞥して返答する。
「微妙…かな?」
アポカラリスの表情はどう見ても微妙どころではないが、オーレンはそれに触れない。
「正直…あのレベルじゃ荷物運び任せられないもの」
アポカラリスのかなり厳しい評価にオーレンは重い唾を呑み込みんだ。
「それは…残念です…」
「そうね。でもね、安心してください。最低でも戦えるぐらいにはしておきますから」
アポカラリスにとって優秀な冒険者達は戦力ですらない。
それは勿論ホノカにとってもだが…
「…」
オーレンはアポカラリスの偽りのない優しい…とても優しい笑みに恐怖する。
「オーレン様はレベルがあまりにも低いですから…まずレベルを上げましょうね?」
「…はい」
「此処らへんだと「旅立ちの塔」がおすすめですよ?」
「!?…それは「呪われた天使の塔」の本当の名前ですよね?」
「あら?ペンドラゴンではそういう風に呼ばれているの?
多分そうだと思うわ?」
「それですと…私に厳しいかと…」
「大丈夫ですよ。彼処の迷宮ボスは弱いですから」
「善処します」
「はい。頑張ってくださいね」
アポカラリスにとってはただのレベル上げの迷宮だがオーレンにとってはクリア不可能の迷宮…
オーレンは死刑宣告をされた気分だった。
「そうだった。オーレン様にお聴きしたいことがあったの」
「何でしょうか?」
「この前お聴きした主様と戦った下っ端何て言ったかしら…?」
「ブロンですか?」
「そのゴミ何処にあります?」
アポカラリスの雰囲気が一変する。
「!?」
アポカラリスの質問にオーレンは身を震わせた。
ネクロマンサーであるアポカラリスが何をしたいか何となくだがわかってしまったからだ…
「…そ、それは…わかりかせねます…」
「あら、そうなの?それは残念。本当に残念…」
ビク
アポカラリスの不気味な笑みにオーレンの身体が反応して痙攣される。
オーレンは別にブロンを庇った訳ではないが、アポカラリスの存在感に押されて怯え切ってしまった。
「がは」
バタン
「あら?倒れちゃった?ほどほどに言ったのに…」
リーダー達も倒れ、最後に残っていたアノワールまでも倒れしまった。
「ビショップ達、皆んなを介抱してあげて…」
エルダーリッチ達にアノワール達の介抱を命じる。
すると…
「はーはーはー」
恐怖のあまり息が出来なかったオーレンはアノワールが倒れたことお陰でアポカラリスの雰囲気が戻り息をするのを思い出した。
「?、オーレン様、大丈夫ですか?」
アポカラリスはオーレンが過呼吸になっている理由がわからず心配する。
オーレンはその心配を拒絶するように去勢をはる。
「大丈夫!大丈夫です!」
「そうですか?一様お薬出しますか?」
「け結構です…ふーふー」
「安心してください。私昔は薬師だったんですよ?
主様に近接職に成るように進められ杖術師になりましたが腕は落ちていませんから」
「いえ本当に大丈夫ですので」
「そうですか…残念です…でもいつでも頼ってくださいね?」
本当にオーレンを心配したアポカラリスは最初に見せた優しい笑みに戻っていた。
「はい…」
ごくん
「ありがとうございます…すみません。私はこれで失礼します」
オーレンは逃げるように帰ろうとする。
「そうですか」
アポカラリスはオーレンを見送るために立ち上がるが…
「見送りは大丈夫ですので」
オーレンはそれを拒絶する。
「そうですか…」
「それではまた後日…」
オーレンは急いで帰っていく。
アポカラリスはその後ろ姿を見ながら…
「嫌わちゃったのかしら?」
残念そうに一言呟いた。
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