第21話: 勇者と決戦へ
エラと三馬鹿勇者とその仲間達がホノカの眼前で武器を構えていた。
一方ホノカは短剣を二本だけ構えていた。
ケマナが行動し始めた。
「付与魔法 ステータスハイブースト、
付与魔法 ダイナミックセンス、
付与魔法 アラートセンス、
付与魔法 リヴァイアサンアーム」
ケマナはエラ達にバフの魔法をかけていく。
エラ達も自身にスキルを使う。
(((“身体強化・極”)))(“硬化・不動”)
すると戦闘が始まる。エラはまたあの魔法を使う。
「硝子魔法 硝子の宝物殿」
しかし出現した武器が前回とは違い、小鎚が四つ出現した。
これはエラがコントロールしてチョイスした物だ。
「いけ!」
エラが硝子の小鎚をホノカへと放つと
ハンスとその仲間達が同時に動く。
「“縮地”」
「水魔法 アクアバインド」
「水魔法 アクアニードル」
ドルフィとアクアがホノカの動きを封じようとするがホノカは水魔法を一緒で吹き飛ぶほどの勢いで切り刻む。
その態勢を硝子の小鎚とハンスが襲う。
(合技・水槍尾)
しかしホノカは小鎚を全て粉々に斬り裂き、ハンスの槍を剣を持った状態で指で3本で受け止める。
ハンスは前回のように槍を砕かれる前に水の滑りを理由してホノカの指から槍を抜き取り更にホノカから離れ…
「はっ!」(合技・炎徹甲斬)
「へあ!」(合技・雷徹甲斬)
その合間をエラとフォトンがカバーする。
ホノカはそれに受けて立つ。
エラとフォトンは受け止められるのを見越して連撃に切り替える。
ホノカはその連撃を全て捌き切る。
「我が力よ、
光の道を創り出す、
我が敵の視界を奪い、仲間導く道となれ
光魔法 ライトロード」
(聖魔法 ホーリーランス)
(水魔法 ウォーターランス)
(氷魔法 アイスランス)
(風魔法 ウインドブロー)
(雷魔法 サンダーブレス)
六人の魔法が混ざり合い…
「付与魔法 クイックシュート」
ケマナが最後に魔法をかけた。
「「「「「「合体魔法 ラミエルの閃撃」」」」」」
六人は目にも止まらない魔法を放つがホノカは即座に対処する。
(闇影魔法 ルシファーの黒翼)
ホノカは五対の真っ黒の翼で完全に防いでしまった。
しかし彼らは諦めていない。
「雷魔法 サンダーブレス」
「氷魔法 アイススパイク」
ホノカはフォトンとアクアの魔法を華麗に避けて後衛のケマナとアクアに迫る。
「付与魔法 ゴリアテソウル
付与魔法 オールエレメンタルレジスト」
ケマナはエラ、ハンス、フォトンに魔法を付与した。
更に…
「付与魔法 エンチャントウインド」
「付与魔法 エンチャントアイス」
アクアとドルフィがハンスとフォトンの武器に属性を追加し、二人は迫り来るホノカに肉薄する。
(合技・雷風徹甲剣爪)
(合技・水氷王の槍)
しかし…
ズズズズズズ
ホノカの膂力に二人は押されてしまう。
「つうっ」「ぐぐ」
二人は態勢が崩れそうになる。
「水魔法 ウォーターボール」
「炎魔法 ファイヤーボール」
エラとアクアは互い魔法をぶつけて水蒸気を発生させてホノカの視覚を潰し、その隙に二人はホノカから離れて態勢を整える。
ホノカは剣圧で霧を吹き飛ばす。
霧からドルフィがホノカの後ろから斬りつけようとする。
(水魔法ウォーターサーべル)
しかし、ホノカはドルフィの水の蛮刀を斬り裂き。
するとドルフィの身体が崩れ落ちる。
(氷魔法 アイスドッペル
+付与魔法 ディスガイズ)
これはケマナとアクアの合作分身だ。
すると霧から20体の分身が更に現れる。
ホノカは数秒でその分身達全て砕く。
砕き終わると同時に氷の魔法がホノカを襲う。
(((合体魔法 氷河の激流)))
ホノカを襲ったのはケマナとアクアとドルフィの合体魔法だったが…
ホノカはそれを僅かに動くだけで最も容易く避けてしまう。
(弓・超技 溜め撃ち剛射)
隠密を使用したドルフィがホノカを狙撃するが、ホノカはその矢を三等分にして落としてしまった。
更にハンスとフォトンがホノカを攻め続ける。
(合技・水氷連続突き)
(合技・雷風徹甲破剣)
二人はホノカの両手を封じ、ジゴンが攻める。
「うおおおおおお!!!」(合技・セイントハンマーストライク)
ホノカは自身に肉薄していたフォトンの剣を弾き、ジゴンの前突き飛ばす。
ジゴンはすぐさま対応して、ハンマーを落としフォトンに減速しきれなかった腕をぶつける。
「おふ」「いつ」
フォトンは吹き飛ばされ、打ちどころが悪く気絶してしまい、フォトンの鎧に腕を叩きつけたジゴンが怪我をしてしまう。
そこをエラがハンスの後ろからホノカを襲う。
(合技・聖硝破城斬)
ホノカはジゴンのハンマーを足で取り、そのハンマーを片手に持ちエラの剣技にぶつける。
ハンマーは砕け散り、ホノカは勢いを殺したエラの剣技を自分の剣で受け止め去なす。
するとなんとケマナが接近しに来ていた。
「光魔法 ライトハンマー」(+付与魔法 エンチャントスタン)(+付与魔法 エンチャントノックバック)
ケマナは自身の杖に光魔法の鎚を纏わせホノカに攻めるが、ホノカは触媒となっている杖を斬り裂き、
ゴツ
ホノカの横っ腹から鈍い音がした。
「やった」
その音の主であるアクアは背中からホノカに硝子のバットで横っ腹を突いていた。
「合格だ」
ホノカの試験が終わった。
するとホノカは彼らを誉め讃える。
「お前らこの10日間でよく成長したな」
ホノカはこの試験に於いてスキルは一切使わず、魔法は一度だけというルールで闘っていた。
そしてエラ達の勝利条件はホノカに武器、魔法を当てることだった。
試験が終わり、エラ達は傷を癒してホノカの前に整列する。
「フォトン、まだ少し魔法と剣技の使い分けが甘いが別々に見ればかなりのレベルになった。
決戦ときは敢えて別に使った方がいい」
「はい!」
ホノカはエラ達に最後の評価とアドバイスをしていた。
「ハンス、しっかりと周り見て状況を確認していたな。前とは違い信頼の元で仲間に背中を託せるようになった…
この中で一番場数を踏んでいる。決戦ときはお前が師事してやれ」
「はい!」
「ジゴン、だいぶ判断が早くなったな。
でも接近で盾を捨てるのは勿体無い。お前の腕力なら盾を投げれた筈だ。
ドルフィ、弓術に絞ったら良い動きをするようになったな。
お前は俺に攻撃をすることだけ優先しすぎてアクア達から離れすぎだ。気をつけろ
そして二人とも決戦のときは不死王だけでなく、今回以上に周りを警戒して伏兵はいないか気を配れ…お前らの行動でサポートのケマナとアクアだけじゃないパーティ全体の命に関わることだ」
「「はい!」」
「アクア、戦況を見て瞬時に動けていてよかったぞ。
ただ周囲を警戒しすぎだ。それは索敵ができる奴の役目だ。
決戦ではお前の魔法が出るタイミングが少し遅れるだけで仲間が死ぬ。
それ肝に銘じろ」
「はい」
「ケマナ、お前もアクアと同じくよく反応出来ていた。
お前にも言っておくが回復、付与が少し遅いだけで事態は悪化する。お前もそれを肝に銘じろ」
「はい!」
「最後に…エラ、お前はこの中で一番最初に教えただけに、一番良い動きをしていたし、俺の動きも読めていて完璧に動いていた。
解っているだろうがこれからお前が戦うの俺じゃない不死王だ。
強いからって絶対に油断するな」
「はい!!」
エラはこの中で一番デカイ声で返事をした。
そしてホノカの最後の言葉が語られる。
「お前らかなり強くなった。でも正直不死王に勝てるかはわからない…
だが安心しろ。いざってときはお前らを鍛え上げた俺が絶対に助ける…
明日は安心して戦え」
「「「「「「はい!!!」」」」」」
「そして合格祝いだ。皆に俺からお祝いがある。まず三馬鹿勇者来い」
ホノカ達はハンス達を呼び、フォトン以外嫌そうな顔をする。
…
正義背負いし英傑の軽鎧
レア度 英雄級
効果:瘴気無効、EP消費10%減
『身体強化Lv.MAX』
『EP回復促進Lv.20』
…
ホノカは三人に色や装飾が微妙に違うお揃いの鎧を渡す。
オオギが鎧を受け取るケマナの姿を見て涙を溢す。
「次はアクア、ジゴン、ドルフィ」
…
勇者を守護する者の鎧⦅男性用⦆
レア度 英雄級
効果:瘴気無効、EP消費10%減
『硬化Lv.50』
『感知Lv.50』
『罠解除Lv.50』
勇者を守護する者のローブ⦅女性用⦆
レア度 英雄級
効果:瘴気無効、EP消費10%減
『EP回復促進Lv.MAX』
…
三人は色が同じ鎧とローブを渡す。
「エアル」
ホノカは他の六人より特別で女子らしく見えるクリーム色とミントグリーンの鎧を取り出す。
…
賢き聖なる勇者の軽鎧⦅女性用⦆
レア度 幻獣級
効果:瘴気無効、EP消費15%減。
『状態異常耐性Lv.MAX』
『HP自動回復Lv.MAX』
『EP回復促進Lv.MAX』
…
エラはホノカから装備を受けとると色と鎧を見て、ホノカが自身が女であることを知っていることに気づいた。
エラは自身の嘘に付き合ってくれていたイズモとポーラ、そしてホノカの気使いを思い出す。
「先生…ありがとう…ありがとうございます…」
エラは嬉しさから少し涙を流した。
こうして決戦の準備が本当に終わり、勇者達は明日のために英気を養う。
(翌日 聖の大陸 特別秘匿共同墓地 周辺)
此処は神々の戦争で亡くなった英雄と民が眠る墓地だった。
『天馬』の勇者がこの地に不死王を封印した。
しかし、不死王から漏れ出す瘴気から人々を守るため、勇者の汚名を隠すために四つの勇者の国が此処の場所の名を消し、関所を置き、結界と壁で囲い此処の存在を秘匿して民達から此処を忘れさせようとした。
しかし今回の件でその壁も関所も不死王の軍に破壊され、瘴気が溢れアンデットが跋扈する超危険地帯になっている。
ホノカ達は外套とマスクをして瘴気から身を守り、約束をした墓地を案内する人物を探していた。
ピカピカ
ホノカ達に点滅する光が差される。
ホノカは敵地のため声を出さず視線でエラ達に指示を出し待機させて自身が光の元へ行く。
すぐにホノカは戻って来た人を連れて…
その人物はその人物はブーストだった。
ブーストはホノカ達を案内すると何も無い場所に案内された。
するとブーストは急に地面から紐を引っ張り出し、紐を引き上げると扉が開く。
ブーストはホノカ達を地下へ行くように促し、ホノカ達はそれに従い地下へと向かう。
ホノカ達はかなり深い地下の一室に着く。
最後に来たブーストが話始める。
「もう声を出しても大丈夫です」
「この人達が一緒に戦ってくれるのか?」
ホノカ達の目の前には軍人や騎士が待ち構えいた。
ブーストが彼らを紹介する。
「はい、そうです。まず手前の彼は
フウゲツ皇国、竜装騎士団団長ナオト皇弟殿下」
ナオトは会釈をする。
「次に彼女はムーンライト帝国、帝国軍月花隊隊長セシル・エレクリヒト殿」
セシルが敬礼をする。
「次に彼はセレネフォール大公国、
筆頭貴族アレックス・セレネピエール公爵」
ブラントが会釈をする。
「最後にルナティア王国所属のこの墓地の駐屯騎士団団長アンドレス・グラヴィール殿」
彼はイブロストの兄だ。アンドレスはお辞儀をする。
「彼らが今回協力して戴く方々です」
ブーストは彼らを紹介し終わるとそのまま作戦の概要を話始める。
「彼らが陽動部隊として四方で戦闘を行い、不死王の軍を分散させます。
そして不死王の主力戦力は私、オオギ卿
とそれとヴァレット殿、イブロスト殿、イズモ殿、リント殿にも相手をしてもらいたい」
了承を求められたリントを含む四人がすぐに頷いた。
「そして不死王と勇者達とその師であるホノカ殿に戦っていただきます。作戦の概要は以上になります。我々は準備ができております。
これでいつでも作戦に移れます」
「作戦を始める前に質問がある」
「何でしょうか?」
「不死王の正式名称はエンシェントノーライフキング=ゲヘナで合ってるか?」
ホノカは不死王の特徴からモンスターに心当たりがあり確かめたかった。
「はい。間違いないと思います…古文書にそう記されています」
(「なら、俺とヴァレットがいれば問題無く勝てるな…他のだったら厳しい…いや装備がまともじゃないと無理だったな」)
ホノカは想像したモンスターでなかった場合を危惧していた。
「では作戦に移ります」
陽動部隊は地下の坑道を使い、四方に分かれ、ホノカ達もブーストの案内で墓地内部に出る出口へと向かった。
その出口へと着くとブーストが魔導具を取り出し小声で話始める。
「此処で報せを待ちます」
そして四方に分かれた部隊はそれぞれアンデッドが群がるように特殊な照明弾をそれに打ち上げ、アンデッドが押し寄せるの待ち構えていた。
フウゲツ皇国では竜装騎士団のワイバーンによる絨毯爆撃が行われていた。
「知恵のある悪魔はやはり来ないか…」
ナオトは悪魔の存在を危惧していた。
「おい、前線を上げ過ぎだ。戦死者達の墓に絶対に傷をつけるな!」
ナオトは配下を叱責した。
「墓を傷つけることは自身の騎士生命を絶たれると思え!!!」
「「「はっ」」」
一方ムーンライトは…五人の女性が当千していた。
セシルは巨大なアンデッドを大剣に斬り裂く。
「これで200か…まだまだ現れるな…
悪魔も入れば少し歯ごたえがいいんだろうけど…」
不満を零していたセシルは部下睨まれる。
「いけない、いけない。これは遊戯ではない。この大陸をかけた運命の戦いだった」
セシルは大剣を再び振るい始めた。
そしてセレネフォール大公国は大砲と銃で待ち構えていた。
「砲隊、撃て」
指示により聖属性の砲弾が放たれた。
「装填用意、銃隊、撃て」
更なる指示で砲隊は砲弾を装填して、銃隊がそれの時間稼ぎをする。
装填を終えると…
「砲隊、撃て」
再び砲弾が放たれ、セレネフォールはこれを繰り返す。
望遠鏡で不死王の軍を見ているアレックスの元に配下がやってくる。
「公爵閣下、銃弾の減りが早いです。如何なさいますか?」
するとアレックスは懐中時計を見る。
「補給部隊が14分後に来る。来た部隊に続けて補給の指示と倍持ってくるように指示をし、間に合わそうなときはそれぞれで拘束魔法を使うように通達しなさい」
「かしこまりました」
配下はお辞儀をして下がっていく。
最後にルナティア王国…
「あれが陛下の愛し子か…少し陛下に似ていたな…
弟も私が鑑定出来ないほど強くなっていた…」ボソ
アンドレスは一人干渉に浸っていた。
するとアンドレスは眼前の不死王の軍を見つめる。
「ふー…皆のもの!前回の雪辱を果たすぞ!!!!!」
背後の部下達に激励を飛ばした。
「行くぞ!!!!」
これで全陽動部隊が戦闘を開始した。
そしてその報せがブーストの魔導具に来る。
「行きましょう」
ホノカ達は地下から墓地の内部へ上がる。
すぐにホノカが索敵を使用して不死王へと向かう。
するとすぐに塊になっている人影を見つける…
その塊はスケルトンやゾンビ、ゴーストがあるものに群がり出来ていた。
『何様で参った勇者達よ』
塊か不快で重なった声がする。ホノカ達の答えを待たずに塊は話し続ける。
『我が聖域を犯し…我が休息を邪魔するとは愚かな…』
塊が動き始め…
『…汝らもこの最も古き不死王、エンシェントノーライフキング=ゲヘナたる我が軍門に降るが宵』
「来るぞ!」
ホノカの掛け声で皆外套を脱ぎ全員戦闘態勢に入る。
塊が崩れ、不死王の姿が露わになる。
「「!?」」
ホノカとヴァレットは不死王を困惑の表情で見つめる。
「は?」「あれは…」
絶技・破城斬
→徹甲斬+破剣+豪剣
現在のレベル順
エラ(709)→ハンス(613)→ドルフィ(494)、ジゴン(494)→アクア(465)、フォトン(465)→ケマナ(398)
MP多い順
ケマナ→エラ→フォトン→アクア→ハンス、ドルフィ→ジゴン
近接戦闘の強い順
エラ、ハンス→ジゴン→フォトン→ドルフィ→ケマナ、アクア




