第19話:勇者大敗北
ホノカ達はガトー公国の公爵領に公国の馬車で向かっていた。
ホノカと勇者エアルこと、エラの功績を祝うための祝賀会に招待された。
「「「…」」」
しかし、ホノカ達の雰囲気は最悪だった。
あの後ホノカは涙を流しポーラに謝った。ホノカは油断してポーラの身の回りを手薄にした自身に怒っていた。
この事もあって、祝賀会を断るはずだったがある理由があって招待を応じることとなった。
だがイズモやリント達の装いはこれから祝賀会に参加するような格好ではない。どちらかと云うと凱旋する英雄の様だ。
そして何故かホノカ達の仲にヴァレットと従魔達が居ない…
「そこの馬車待たれよ!!!!」
何ものかがホノカ達の乗っている馬車を止める。
「はぁ…」
ホノカ達は止めた人物がわかるのかため息を吐きながら外になる…
するとホノカ達の眼前にはメルトピア王国とカスダーケ王国の旗を掲げた軍団が待ち構えていた。
「私はメルトピア王国王太子にして正義騎士団団長マイラ・ビィ・メルトピアだ!!」
マイラの後ろには平均レベル250の騎士団が三つとそれを指揮するレベル600超えの騎士団長が2名。
「はは、じゃあ私も真似して…私はカスダーケ王国一軍、男前大佐ミーチ・コスモスです」
ミーチの後ろにも軍隊と冒険者の群団がいた。
ミーチは馬から降りてイズモを見て…
「そ…」
バコーン
イズモは反射でその場にあった大岩を掴み、その大岩を投げてミーチを押し潰した。
「身体が勝手に…」
イズモはあまりの拒否反応により手で殴るのを拒んだったのだ。
「き、貴様〜、捕えろ!」
カスダーケの精鋭達は指揮官を失うも迅速にイズモを捕縛しようとした。
するとホノカはイズモに彼らの対処を任せる。
「手出したんだ。ソイツらはお前に任せるぞ」
それにイズモはすっごい嫌そうな顔をする。
「え…?コイツらの…?」
「お前にやったその装備なら数分で終わる」
イズモが装備している甲冑とドレスを合わせた様な水色の装備はホノカが新調した物だ。
…
五月姫の武闘着一式
レア度 龍級
耐久性4,600,000
頭…DEF+500,000
胴…DEF+570,000
腕…STR+1,000,000
腰…INT+800,000
脚…AGI+730,000
効果:『水遁LvMAX』、『鬼術Lv.50』
『状態異常耐性Lv.50』『印省略Lv.50』
水での呼吸を可能にする。
一式効果:『鬼化』の使用時間を倍にする。
『水龍法術 龍王瀑布』1/2
…
「ふーん…じゃあ試しに…」
イズモは怪訝そうな顔でホノカを見て、彼らに手を翳す。
「水遁 連装水矢」
イズモはホノカに教えられた遁術で水の矢を造り更に雷を纏わせる。
「追加で」
イズモは雷水の矢を放ちカスダーケの兵を薙ぎ払う。
何人かはそれに耐えてイズモを睨みつける。
「可愛いからって調子乗って…」
「もうデートに誘うのは辞めだ」
「今更謝っても許してやらないよ」
彼らはイズモに訳の分からない悪態を吐いた。
「きしょ」
イズモの殺戮SHOWが開演する。
一方リントはイズモがカスダーケに先制攻撃をした瞬間に王子マイラの後ろに立っていた。短刀を突きつけて…
「王子様、今すぐ軍を引いてください」
「君…そんな事をしていいと思っているのかい?」
「これが最善ですからね…」
(「お前らの薄っぺらな説法を聞きたくないからね」)
リントは心の中で毒吐いて話を続ける。
「王子様、あの勇者に何を吹き込まれたか知りませんがあの少年S級冒険者『黒刀』のホノカと事を構えない方がいい。
それに王子様が思うような人間じゃないですよ?
彼は冷徹だけど冷酷ではない…ただ家族を守るときと巨悪を潰すときは情け容赦ないだけで…」
リントはホノカの人柄を包み隠さずに伝えることでマイラを説得しようとするが…
「やはり、そんなことをするのは凶悪犯ではないか。悪だからと…」
やはりマイラの耳には都合の良いようにしか聞こえない。
ぐい
リントは短刀を王子の首に当てる。
「よく言うよ…君たちの国の方が悪だろ」
「な!?」
ぐい
マイラは母国を馬鹿にさたと思い怒ろうとしたが、リントは短刀を押しつけ黙らせる。
「まぁ、聞きなよ。都合の良いことばかり耳に入れて何も知らない暗愚の君達に僕が教えあげますよ。
影魔法 シャドートゥーム」
リントは魔法を発動させると影でできた骸骨達が動こうとしていたメルトピアの騎士団の動きを封じる。
リントはその様子を見て自身の籠手を見て笑う。
「はは、本当に凄いなこれ、影属性の魔法と遁術を使えるなんて」
リントもホノカが新調した武具を装備していた。
…
殺生刀剣 毒宇
レア度 国王級
攻撃力1,000
耐久力2,000
重さ 200
効果:AGI+3,000
ダメージを与えた対象に『状態異常:猛毒』を付与する。
暗殺術の成功率20%up
偸盗刀剣 墓霍
レア度 団長級
攻撃力300
耐久力120
重さ 200
効果:ダメージを与えた対象のHPを奪う。
『闇遁闇器針』
隠者の革胸当て【自来也】
レア度 英雄級
効果:AGI+2,000、DEF+2,000、INT+2,000
口寄せ術に消費されるEPを30%減。
エネルギーダメージ10%減。
物理ダメージ5%減。
賢者の革籠手【安倍晴明】
レア度:龍級
効果:INT+100,000、影属性値+2000
『影遁術LvMAX』、『影魔法LvMAX』
『無詠唱LvMAX』、『印省略LvMAX』
『EP回復促進Lv.30』
イダテンのブーツ
レア度: 将軍級
効果:AGI+3,500
…
「おっと、あまりの力につい関心してしまったよ…そうだった教えてあげるんだったね。貴方達の国が犯罪組織や闇ギルドの巣窟になってるってこと…」
「!?」
ここからリントのきついきつい授業が始まった。
一方エラとイブロストはシャワーとスパークスと対峙していた。
ナーニャ王国は騎士団も軍隊も冒険者も派兵しなかった。
勿論書状は届いているが、約束の今日に来なかった。
「ナーニャの国王は馬鹿では無いようだな」
「ふっ、あの駄王のことだからな、まだ馬鹿みたいな寝てるんでしょうよ」
「何故、ホノカ先生を狙うんですか?」
「復讐に決まってるでしょ!」
「復讐…?」
「そうですよ。私を恥をかかせたあの小僧を嬲り殺すためですよ!!!」
シャワーの言葉にエラは怒りを露わにするが抑えて、次にスパークスに問いただす。
「…貴方も?」
「あぁ、私のS級冒険者として誇りおw怪我したあの卑怯者を倒す!」
スパークスは未だにホノカの実力を認めれずにいた。
そんなスパークスの言葉にエラの怒りは爆発する。
「貴方達は勝手過ぎる!」
エラの大声にシャワー達だけでなくイブロストも驚く。
「今、聖の大陸の人達は不死王の軍に苦しんで…皆んな自分の為だけじゃなく他の人の為に頑張ってるのに…
自分のプライドを守るために闘うなんて…
貴方達は勇者の仲間失格です!」
「小娘が語るな!」
「誇りも知らないくせに!」
エラの言葉にシャワーとスパークスは激昂して攻撃を開始する。
「風魔法 クインティブル・ウインドブレード」
「合技・連撃雷砲剣」
シャワーの風の剣とスパークスの剣技がエラとイブロストを襲う。
イブロストがそれを防ぐ。
「土魔法 ランドカスケード」
地面から噴き出す土流でシャワーの攻撃を防いだ。
「私はアイツを」
「おい!横取りするな!」
スパークスがシャワー達を出し抜き自分だけホノカを狙った。
しかし…
ガキン
「行かせない」
エラがスパークスを遮る。
「邪魔…!」
スパークスはすぐにエラを払うとするがビクともしない。
スパークスは魔法で無理矢理剥がそうとする。
「雷魔法 サンダースパイク」
「聖魔法 ホーリーシールド」
エラは光の盾で防ぐが、剥がされてしまう。
エラから放れたスパークスはホノカの方へ走っていくが…
スパン
エラは短剣を投げてスパークスの足を止める。
「チッ」
「…」
エラはスパークスの攻撃を受け、シャワーの魔法を見てあることを口にする。
「貴方達は弱い…体も…技も…心も!」
「「ナメるな!」」
二人は更に激昂して我を忘れる。
「風水魔法 スプラッシュレーザー」
「“合技・徹甲砲剣”」
「今度は私がやります!」
エラは二人の攻撃に受けて立つ。
「硝子魔法 硝子の宝物殿」
硝子の剣と盾が出現して、その盾が雷撃を纏った剣技を防ぎ、剣は水のレーザーを両断して霧散させた。
「あれが伝説のグラスの武具…」
…
神聖剣 フェアリーテイル【シンデレラ】
レア度 神級
攻撃力900,000
耐久力2,400,000
重さ 1,000
効果: ガウェイン・オーヴェールの血脈で勇者のみ装備可能。
武術スキルのEP消費を50%減。
武術スキルのクールタイムを20%減。
多種の武術スキルを同時使用可能。
武術スキルの威力4倍。
剣術スキルの威力6倍。
『硝子魔法 硝子の宝物殿』
『聖印「vitrum」』24/24
…
シャワーもスパークスも聖の大陸出身なのでエラが持つ伝説の剣を知っている。
その為二人は怒りを忘れて呆然と立ち尽くす。
しかし闘いはまだ終わっていない。
「はっ!」
エラはそんな二人に硝子の剣と盾を放つ。
二人はすぐに我に帰るが身体能力の無いシャワーは剣で殴られる。
スパークスは盾を回避したが…
「私をお忘れで?」(“刀技・峰打ち”)
エラとイブロスト対シャワーとスパークスはエラ達の圧勝と終わった…
そして最後にホノカと勇者3人とそのお供達は…
「今、謝れば許してあげる、だから…」
ハンスはホノカを無理矢理謝らせようとすると…
「てめぇがあの化け物の飼い主ぃい!?どう見てもただの雑魚だろ!!」」
「おい!チビ、殺されたくなかったら、あの魔獣ども寄越しな!」
「クソガキ!この前のクソ尼ども連れて来い!!!ウチの国で売女にしてやる!!!」
カスダーケの女性陣はフォトンを盾にするように後ろに隠れながら罵声が始めると…
ホノカがキレる。
「は?」(“威圧”、“殺気”)
ホノカの威圧にケマナとアクアが反応して耐性を付与して、元から耐性スキルを習得していたフォトンは助かったがアイテムもスキルも持っていなかったカスダーケの女性陣だけが気絶していった。
その様子にフォトンはドン引きしつつも少し安堵し、
ハンスはホノカを睨みつける。
「女性になんてことを…」
(「本当コイツ…ソイツらが言っていたことを聞いて尚、俺が悪者か」)
ホノカはそんなハンスに嫌気が差していた。
「付与魔法 リヴァイアサンアーム、
付与魔法 ゴリアテソウル、
付与魔法 ファフニールブラッド、
付与魔法 エアリアルハート、
回復魔法 オートヒーリング!!!」
ここでケマナが急に動き出し自身に高位魔法を何個もかけていく。
「!?」
ホノカはケマナの数々の高位魔法に驚き、改めてケマナの装備を鑑定する。
(「高位の付与と回復の魔法を装備品無しで連発。
コイツにこんな才能があったとは驚きだ」)
ホノカは幾人もの冒険者を育ててきたのでケマナの才能が凄いことに理解していた。
(「そう云えば…コイツ、付与魔法使って訓練でせこい事してたっけ…」)
ケマナのバフに関心していたハンスは自身達にもバフをかけるように願う。
「『冥弓』殿、我々にもお願いします!」
「無理だ…もう魔力は無い」
「そんな!何で考えも無しにそんな事を!?」
「!」
ハンスはケマナを責めると、ケマナはハンスに怒りの表情を向ける。
二人が無言で歪み合ってる頃ホノカはもう一人のビクビクしているフォトンを見る。
先程フォトンは女性陣に無理矢理に押され闘いを強要されていた…
ホノカはそんな彼らの様子見て笑い始める。
「あはっはっはっは、はー…お前らグダグダだな」
その笑いに3人の勇者がホノカの方を見る。
「本当の仲間がいなくなった勇者に、
無知蒙昧で他責勇者に、
女をはべらせてるつもりがいつの間にか女に首根っこ掴まれてる勇者…
お前ら本当に駄目だな」
3人は図星を突かれ苦しそうな顔をする。
「ただ僕は…」
ハンスだけ何とか言い返そうとしたが…
「もういいから来いよ」
ホノカに聞く気はなかった。
ハンスの仲間であるドルフィとジゴンが仕掛ける。
「“ハンマーストライク”」
「“暗殺術・刺突”」
しかし二人は音もなくホノカにやられる。
「そんな…二人が一瞬で…」
ハンスは仲間がやられたことで怒りを爆発させる。
「こんな暴力で解決するのは間違っている!!!」
ハンスの言葉にホノカは何も言わずに汚物を見るような目を向ける。
「アクア!僕に付与魔法を!」
「はい…」
アクアはハンスの指示に従いバフをかけていく。
その様子にホノカは呆れてため息を吐いた。
「絆の力で僕は絶対に勝つ!」
ホノカはつまらなそうな表情で手招きをして煽る。
「“合技・溜め突き水雷槍”」
パシ
ホノカはあっさりハンス達の全力の槍を受け止めて…
バキバキ
ハンスの槍を握り潰した。
「!?!!!?」
ハンスは目の前の出来事が信じられずに唖然とする。
シュン
急に炎の矢が飛んできた。
ホノカはそれを難無く避け…てではなく当たらない。
射ったケマナは悔しくそうにしている。
そのままケマナは炎や毒、光の矢を放つが一向に当たらない。
ホノカはただそれを見ている。
「何でだよ…くそ…」
ケマナは半泣きなりながらホノカに矢を放ち続けると…
「こうなった…神聖魔法 ゴッドアロー
まだだ…
付与魔法 マジックスケール・タイタン」
ケマナはボウガンに輝く矢を装填するとまだ残っているエネルギーを使って、ホノカに当たるために矢を巨大化させる。
「これで当たる!」
ケマナはそれを放つ。
ズン
矢は漸くホノカに当たるが耐性スキルホノカには意味を無さない。
「なら今度は」
それを知らないケマナはまだ矢を装填しようとするが…
「そこまでだ。ケマナ」
ケマナを呼び止める者が現れる。それはホノカでは無い。
…
氏名フリヴォーラ・テリウム・ナーニャ
種族 人族
Lv.956
第一職業 王
第二職業 空間魔導師
第三職業 風魔導師
称号『能ある鷹』、『名君』
…
ケマナの父で国王のフリヴォーラだ。
彼は眠そうな気怠い表情をしている。そんな彼には仮面をつけていて何者かわからないが貴族…王族のような格好をした者が二人いる。
すると闘いが終わったリントとイズモ達が戻ってくる。
「X級候補君…とそのお仲間ありがとね。私の書いた演劇に付き合ってくれて」
ホノカ達はフリヴォーラから書状をもらい、勇者連合が自分達を襲いに来るのを知り、フリヴォーラの願いで彼らの餌になることを了承した。
そんな事が行われれいてると思いもしなかったシャワーは身を乗り出す。
「国王どういう事ですか?!」
シャワーの困惑をしている様子を見てフリヴォーラは呆れた顔をしてシャワーを見下す。
「いやーいやー三馬鹿勇者が勝手してくれたから…『駄王』だけど頑張ったんだよね」
フリヴォーラはホノカ達とケマナやシャワー達の会話の全てを聞いていた。
シャワーは青い顔になって驚く。
「!?」
しかしフリヴォーラの口撃はまだ終わらない。
「なんかいろんな国で闇ギルドと関わろうとしたみたいだね?
負けた腹いせに暗殺依頼…」
シャワーの顔が今度は真白に変わる。
「何故それを…」
フリヴォーラはその顔を見ると満足したように笑って見せる。
「X級候補って知って断られまくったみたいだけど、
あのね。君のような危険因子、魔導師団に置いていけない。君は我が国の監獄…シンシアに入ってもらう」
「!?!」
シンシア監獄とはナーニャの王侯貴族、権力者、実力者を入れるために造られた施設でそこに入ったら最後…元のままでは出ることが出来ない。
シャワーもそれをよく知っていた。
「い、嫌だぁああ」
シャワーは走って逃げ出そうとしたが…
「空間魔法ディメンションロック」
フリヴォーラの魔法でシャワーが動けなくなる。
フリヴォーラは今度スパークスの方を見る。
「君は冒険者だからね。君の進退は冒険者ギルドに任せるよ…でももう君は我々の国では活動出来ないかな」
「え?」
「だってそうだろ?君の様な強いだけの短慮な人物がいたら国民は安心して暮らせないだろ?」
この言葉を聞いたリントはホノカの方を意地の悪そうな顔で見る。
ホノカはすぐにそれに気づき睨み返すとリントは笑いながら目を逸らす。
すると…
「嫌だ…嫌だ…嫌だぁあああ」(水魔法 ウォーターアナコンダ)
動けないシャワーは魔法で暴れ出す。
「風魔法 ウインドプレス」
風圧で水の蛇を押し潰し…
「風魔法 ウインドインパクト」
風の衝撃波を動けないシャワーに直撃させて気絶させる。
「もう君は送った方がいいね。
空間魔法 フォースト・イグジット」
フリヴォーラはシャワーが此処でまた暴れ無いように何処に飛ばしてしまった。
「改めてX級候補君、ありがとね」
「こっちこそアイツらの事教えてくれて助かった」
ホノカの砕けた口調に仮面をつけた一人から怪訝の視線が飛ばされるとフリヴォーラがそれを止めるように促した。
「ここは公式の場じゃないからいいよ。はいこれ、約束の報酬ね。聖の大陸の三大国とその傘下、同盟国18カ国から許可証ね」
フリヴォーラは数々の王国の印が入った書状をホノカに渡した。
ホノカは鑑定を使い、それが本物だと確認する。
「いいのか?これ相当なもんだろ?」
「ああ、いいよいいよ。それくらい我が子の命より安いもんだよ」
フリヴォーラの物言いにホノカは怪訝な顔をする。
「俺は殺人鬼じゃねぇよ」
「ごめんごめん、君の国崩しの話は有名だからね。だからついね」
するとフリヴォーラと一緒に来た仮面の人物がフリヴォーラに耳打つする。
「フリヴォーラ王、そろそろ…」
「そうだね。X級候補君ちょっと用事を済ませてくるよ」
フリヴォーラはリントに拘束されているマイラの達の方へと向かう。
「やぁ、マイラ王太子」
「ナーニャ国王!あの者と密談があったのですか?!」
マイラは近づいて来たフリヴォーラにホノカとの関係を問いただす為に立ち上がろうするとが…
(「呪詛魔法 ロストボイス」)
「ッコ…カ…!、!」
仮面をつけた男がマイラの口に呪いを施す。
「君達人の話聞かないから黙っててね。
僕達は三つのことを君達に伝えに来たんだよ」
「?」
「一つは君達の国、メルトピアで内乱が起きている」
「!、?!、!!!」
マイラはフリヴォーラを問いただそうとするが、フリヴォーラは一切気にせずに話を進める。
「君達が匿っていた犯罪組織が騎士団が居なくなった今を狙って暴動を起したんだ」
「ッ!、ッ!!!」
「闇ギルドもギャングも今の聖の大陸の情勢が不安なんだよ。
まぁディスハートと同じで身から出た錆だよね?
同盟国から散々、警告されたのに『可哀想』、『彼らに寄り添う』の一点張りで耳を貸さなかった君たちが悪いからね」
マイラはフリヴォーラの言葉を反論したいが声を出さない。呪いを施した仮面の男を睨みつける。
「!、?!、!!…
!!!!!」
仮面の男はそれをフリヴォーラと同様に無視して、フリヴォーラも相変わらずマイラを無視して話を進める。
「それでもう一つね。同盟国はメルトピアを救援要請を受諾して救援することになったよ」
「!」
マイラは国が助かると思い安心するが…
「喜んでるところ悪いけどね。ここから重要なんだよ」
フリヴォーラの話はまだ終わらない。
「…?」
「今回の事を機にメルトピアを同盟国から除名になるんだよ」
「ア…!?」
「救援要請に応じるのは今までメルトピアが正義の行いをしてたからね。
除名するのは裏も取らずに片方の意見だけ聞いて問題事を起こして来たからね。同盟国も君達の尻拭いに疲れたんだよ」
「!、!、!」
「最後に…おっと」
フリヴォーラは最後の話をしようとしたがあることに気づく。
「空間魔法 ショートワープ」
フリヴォーラが逃げようとしていたフォトンを手元に転移させる。
フォトンは何が起こった分からずに怯える。
「ひっ」
フリヴォーラは次にハンスの方を見る。
するとアクアがハンスを庇っている。
フリヴォーラはそんなアクアに憐れみの目を向ける。
「悪いね」
フリヴォーラは謝ると自身の元にハンスを転移する。
更に二人の動きを封じる。
「空間魔法 ディメンションロック」
ハンスは回復しきっておらず声も出せないが、ホノカとフリヴォーラを睨む。
フォトンは何とか抜け出せないか必死に動ことするが首すら動かない。
フリヴォーラはそんな二人と自身の息子ケマナを見下しながら話をする。
「メルトピアの勇者君、カスダーケの勇者君、君達にも関わり話だじゃら逃げないでね。あとケマナ、お前もね。
まぁ…私がこんなことしなくても逃げれないと思うけど」
フリヴォーラは半笑いでホノカへと目線を向けた。
「X級…ホノカ殿。我が愚息とあの勇者達を弟子にしていただけないか?」
フリヴォーラの言葉にホノカは驚きケマナ達を方を見る。
そんなケマナとハンスはまだホノカへの闘争心が消えているように見えない。
フォトンは闘争心ではなく恐怖心で一杯のようだ。
「あぁなってるけどいいのか?」
ホノカの案ずる言葉にフリヴォーラは乾いた笑いをして話をする。
「彼らに拒否権はない。いや拒否すればうちの息子は廃嫡、メルトピアの勇者君は犯人隠匿、公務執行妨害などなどで同盟国…元同盟国だね。そこから起訴される。
カスダーケの勇者君は仲間がだいぶやらかしていて監督不行で鉱山で重労働ってなるって決まったんだけど…」
ハンスとケマナは驚き目を見開く。
ケマナは恐怖と絶望から涙を流し始める。
「何でかカスダーケと連絡取れないんだよね」
フリヴォーラは笑いながらホノカを見つめるが、ホノカは真顔で何も答えようとはしない。
フリヴォーラはホノカの無表情を見るとため息を吐いて話の続きをする。
「ま、兎に角彼らに実質拒否権はないんだよ。彼らの仲間も鍛えて上げて…でも嫌ならいいよ。彼らは自動的にさっき言った通りになるけどね」
「…」
ホノカはフリヴォーラを睨むと少し考え込み…
「わかった…鍛えてやる」
フリヴォーラはホノカの答えに嘘クサイ笑みを浮かべる。
「ありがとね。じゃあ私たちは他の用事があるので…あとはよろしくね」
フリヴォーラは空間魔法を使う。
「オオギ」
「かしこまりました。陛下」
フリヴォーラはオオギをこの場に呼び出しあと任せた。
ケマナは悲しそうなオオギと目が合うとすぐに逸らしてしまう。
「彼が君達の監視員だからね」
フリヴォーラが紹介するとオオギは勇者達にお辞儀をしてみせる。
「あ、忘れてた。君たちが倒したあれらはその辺に置いといてあとで用がある同盟国が連れていくから…じゃあその事も含めてよろしく」
(「空間魔法 座標転移【メルトピア王国】」)
フリヴォーラはその場を去っていった。
(メルトピア王国)
フリヴォーラ達はメルトピアに来た。
魔法の転移なので王都に一発で来ることは出来ずに転移系の魔法を多様して到着した。
転移する場所する場所で内乱が起こっていたが、フリヴォーラはそれら全てを無視して来た。
そしてメルトピア王都に着くと三部体の暗部がフリヴォーラ達を待っていた。
「状況は?」
「闇ギルド ダークガーデン、
麻薬王パピーの組織、アビルギャングが別別に行動を興しており、既に騎士団されており、名のある公爵家は国民に紛れた犯罪者を避難所にした公爵邸に招き入れ制圧されて、あとは運良く残る王城のみが残っております」
フリヴォーラは自国の暗部の話を聞いてため息を吐く。
「酷いねー」
フリヴォーラは仮面の男を見る。
「すぐに行きますか?数回くらいなまだ転移できますよ」
「いや、数が多そうだ。我々も戦ったほうがいいでしょう」
「じゃあ待機してる別動体に報告よろしくね」
「御意」
ナーニャの暗部が姿を消すと仮面の男達も自分達の暗部に頷き、彼らの暗部も消えていく。
フリヴォーラは一人の仮面の男を見る。
「そう云えばよかったのですか?」
声をかけられた男は無視をする。
「…」
フリヴォーラは構わずにそのまま会話を続ける。
「ご子息(?)にお声をかけ無くて…ルナティア国王」
…
氏名グラス・クリスタル・ルナティア
種族 人族
Lv.800
第一職業 王
第二職業 剣豪
第三職業 結晶魔導師
称号『剣豪』
…
名指しをされてグラスは漸く重い口を開く。
「…私に…私にそんな権利はない…あの子の母の見舞いも…葬式にも顔出さなかった私には…
あの子もそんな男に声をかけらたくないでしょう…」
「どうでしょうね…」
「そうに決まっています」
そんな3人の前に犯罪組織の者達が現れる。
「こっちにも貴族が居たぞ!!!」
「捕まえろ!!!」
「殺すなよ!!!暴れた指をへし折って黙らせろ!!!!」
「ここは私が」
グラスではないもう一人の仮面の男が前に出た。
「お願いします『聖霊帝』」
…
氏名ペリノア・ホン・レガエスト
種族 人族
Lv.2,007
第一職業 王
第二職業 剣聖
第二職業 精霊法師
称号『聖霊帝』『剣聖』『名君』
…
「あぁ、召喚魔法 光の上位精霊 ダイヤ」
ペリノアはライオンの姿をした精霊を召喚し、攻撃を開始する。
「光の精霊法 太陽の唸り」
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