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異世界再生神話〜神は万能ではない〜  作者: 犬星梟太
第五章 英雄の師匠編

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第9話:冥弓の勇者


(ガトー公国 ダンジョン内)


 ダンジョン『ゴブリン王の宮殿』。

 ゴブリンのみがポップする聖の大陸の有名ダンジョン。

 洞窟を進んだ先に存在する土塊で造られた巨大な城のダンジョンで中は装飾などなくアリ巣のようになっている。

一様は家のような階建てになっていて全6階層とそこまで高くはない。


 賢いゴブリンがポップするため「ミソクリ」では考案中の戦術や公開したくない戦術の実験場として中級者プレイヤー達に理由されていたが…

この世界では賢いゴブリンがリポップし続けるダンジョンは恐怖の対象になっているため超上級者の冒険者がダンジョンブレイクしないために10年周期でダンジョン内のモンスターを殲滅していた。


 此処をエラは一人で戦っていた。


「はぁ…はぁ…」


 エラの眼前には12体のゴブリンがいる。

 

個体名 なし

種族 ゾンビゴブリンソードマン

Lv.100


個体名 なし

種族 ゾンビゴブリンアーチャー

Lv.100


個体名 なし

種族 ゾンビゴブリンナイト

Lv.100


個体名 赤布あかぬの

種族 ゴブリンシャーマン

Lv.60

称号「初心者殺し」「赤布あかぬの


個体名 なし×8

種族 ゴブリン

Lv.10〜20


 エラは十戦目となるゴブリン達と戦っていた…いや殴られていた。


「ぐが(かかれ)!」


 赤布のゴブリンシャーマンが自身の使役するソンビに命令を下して、エラに攻撃をする。


「くっ…」


 エラは一体の攻撃を防げるが、残り2体のゾンビゴブリンから攻撃をモロに喰らう。

 エラは装備のおかげでその攻撃があまり効いていないようで体勢を立て直す。


「うっ…ん…」


 エラは三体から連携攻撃でタコ殴りにされ始める。


 ホノカはその様子をとんでもない顰めっ面で見ていた。


「はぁ…」


 ホノカはため息を吐くと立ち上がり、エラの元へと向かう。


 ゴブリンはホノカに気づくと防御陣形を組む。


「ぎい(ナイト!)」


 赤布の指令でゴブリンナイトが陣形を組むために赤布の下へ戻ろうとするが…


(聖魔法 ホーリーボール)


 ゾンビゴブリン達はホノカの魔法で消え去った。


 主戦力が消えたことにより雑魚ゴブリンが怯え始める。


「グギャ!」「ヒギィ!」


「ががあ(逃げるな!)」


 赤布は部下を制止しようするが数匹は恐怖のあまりに脱兎の如く走り去ってしまう


 赤布だけは諦めずに攻撃を放つ。


「ぐあが、いいが(闇魔法 ダークボール)」


「ウゼェ」(“空拳”)

 

 ホノカは体術で赤布が放ったダークボールごと赤布を弾き飛ばした。


 残っていたゴブリンも恐怖から逃げ出す。


 エラはその様子を見ていてたが、ホノカの呆れた顔を目にすると俯いて黙ってしまう。


「…」


 ホノカは眉間に皺を寄せてエラを見下ろす。


「おい」


ビク


 エラはホノカに声をかけられて身体を震わせる。


 ホノカはその様子を一切気にすること無く叱責を始める。


「今のは動きが速いソードマンは斬り伏せて!遠距離がウザいアーチャーは弓でも腕も斬って戦えなくして、機動力のないナイトは無視して、司令塔のシャーマンまですぐに倒せた筈だ!

お前の装備とレベルなら余裕で出来る筈だ!!」


「すみません…」


 ホノカは叱責はヒートアップする。


「そのレベル、イブロストに上げてもらったのか?」


コクン


「アイツ…余計な事を…これじゃあレベルが高くてもスキルのレベ上げできなかったら意味ないだろ…」ボソ


 ホノカは声を抑えたつもりだが苛立ちのあまり声をエラに聞こえてしまい、エラは泣き出してしまう。


(「まだ子供なのに国の命運を任せられて…嫌な事やって…相当コイツの精神にきてるだろうな。

国もガキに頼るなよ…

でも本人が諦めないもんな…理由はわからないけど…

一度聞いておくか」)


「お前、そんなで何で勇者を断らなかった?戦うのが嫌で、ゴブリンにすらボコスカ殴られて…」


 ホノカは怒り疲れたのかその場の岩に座る。


 するとエラが泣きながらホノカに理由を話し始める。


「勇者は…皆の希望だから…皆の役に立てると思ったし…私は…」


 エラは私と言ってしまったことに焦って口を自分で塞ぐ。


「いや僕…あの、なんでもないです…」


 エラは何かを言いかけるが私と言ってしまったことで、途中で話すのを止めてしまう。


 ホノカはそのことは無視してエラの最初の話したことに注意する。


「あのな、皆の役に立てるって言ったてな。敵、モンスターすら倒せないのにどうやって人の役に立つんだ?

そのままじゃ、お前が傷つくだけ傷ついて誰も守れねぇだろ。

はぁ…お前もアイツみたいだな…」


 ホノカはエラの立ち振る舞いにある人物を思い出して口から出してしまう。


 エラは自身似た人物がいることに興味を示す。


「アイツって…あの黒髪…あの方ですか?」


 エラはアイツの事をリントだと思ったが…


「アイツじゃねぇ…アイツなら人も迷わず殺せる」


 ホノカはリントの話になると苦虫を噛んだような顔をして否定した。


「光の大陸にいたんだよ…勇者でもないのに勇者だって祭り上げられて人体実験のモル…奴隷にされてた奴らがいたんだ」


 エラは信じがたい話に困惑の表情になる。


「そんな…」


「ソイツらの中にいたんだよ。お前みたいに生き物を傷つけれない奴が…」


「その人はどうなったんですか?」


「アイツは…少し変わったよ…モンスターや自分の敵を倒せるくらいには…」


「その方にもご指導を?」


「いや…敵に攻撃されても何もしなかったソイツに「ふざけんな」って言っただけだ」


 エラは短い付き合いだがホノカがそれだけでは終わらない人物だと知っているため、エラはホノカに気まずそうな顔で質問する。


「…本当ですか…?」


 ホノカは図星をつかれて少し嫌そうな顔をするが、真実を溢す。


「…もう少し言ったな」


 エラは「やっぱり」と呟き、そんなエラにホノカは図星をつかれた仕返しにある質問をする。


「ソイツにも言ったけどな…お前が倒さなかった敵が…お前の味方を家族を傷つけたとき…お前どう思う?」

(「あれ?俺学校の先生?」)


 エラはホノカに言われたことをしっかりと考えてから答える。


「嫌です…」


「だろ?…でもまぁ…こういうのはすぐにどうにかなるもんじゃない…けど」


 ホノカは立ち上がり、今度は無表情…冷酷さを感じる表情でエラを見つめる。


「この際だから厳しい事を言うぞ?」


「はい…」


「お前がそうしなきゃいけないとき…

動けずに死ぬほど後悔するかはお前次第だぞ」


 エラはホノカとの問答に自分の弱さに涙が溢れ、それを必死に堪える。


コクン


 エラは涙を抑えるので精一杯で声が出せずに頷いて返事をした。


 エラの様子にホノカは今日のところは諦めて帰ろうする。


「今日はもう帰るぞ」


コクン


(ナーニャ王国 王城の魔法訓練場)

 

 此処はナーニャ王国王城の近衛兵駐屯区に併設されている魔法訓練場。


 深夜3時という時間から《・・》魔法の訓練をする者がいた。


「ちゅん、ちゅん」


 その者は魔法のボウガンを放っていた。


 ズカン、ズドン


 ボーガンから放たれる魔法の矢は炎、毒、聖属性と色鮮やかで壁を彩っている。


 訓練場に初老の執事が入ってきた。


 執事は目にクマをつくり、ボーガンを撃っている青年の元へ真っ直ぐ向かう。


「殿下!」


 殿下と呼ばれた青年は執事の声が聞こえていないようでボーガンを撃ち続ける。


「ちゅん、ちゅ…」


「殿下!」


ズドン


 執事は殿下の襟を一瞬だけ掴み、射撃を止めさせる。


「んあ?お、じい!起きたか!」


「起きたかではありませんよ!今何時だと思っているんですか!?」


 殿下は自身が怒られている理由が本当にわからずに首を傾げる。


「なんだよ…いつも早く起きろって言う癖になんで怒るんだよ」


 その態度に執事はさらに眉間の皺が増える。


「殿下?私は規則正しい生活をするように言っているのです。深夜三時に起きて射撃訓練する馬鹿どこにいるのですか!!今から寝る者もいるのですよ!!」


 執事の叫びのとおり、近くの建物から刺すような視線が向けられている。


 しかし殿下はそれに気づいていない…どころか執事の叱責に不満な顔をする。


「爺の大声の方が眠れないだろ」


「あ…が…はぁ…何故練習をしているのですか…?」


 殿下から一言で執事は顔を真っ赤にするが、諦めて騒ぎの理由を問いただす。


「父上から任務を賜ったってな。

だから練習をしていたんだ」


 殿下はボーガンを構えてキメ顔をする。

 その様子と練習場を執事は冷めた目で見つめる。


「その練習がこの結果ですか…」


 執事の目線の先には的の人形を綺麗に外して、ズタボロにした壁が広がっている。


「一様聞いておきますが…これは的を狙ったのですか?」


「何を言ってるんだ爺?それ以外の練習があるのか?」


「…では質問ですが一矢も的を射抜いていないのは何か理由がお有りで?」


「はっは、私が外しているからに決まっているだろ!」


 殿下はまるで成功体験を話すように高らかな声で自慢する。


「でも安心しろ!出立の日までには全弾命中の名手になっているだろう!」


 ズドン


 殿下はカッコつけるためにまた矢を放つ。


「!、はぁ…その自信はどこからくるのですか…」


 執事は怒る気力を使い果たしただ呆れることしか出来なかった。


「何を言う!昔は爺も泣いて私の事を「天才」、「神童」と言っていたではないか」


 執事は殿下の言葉に一瞬だけ驚きを示すがすぐに呆れた顔に戻る。


「…私はそんな事を言った覚えはございません」


「ハッハ、やはり爺は年だな」


「えぇ…そうですね…では」


 執事は自身の入ってきた扉の方を見ると騎士達と執事の部下達が待ち構えていた。


 執事は彼らに目で指示をすると彼らは訓練場に入ってきて片づけを始める。


「早く寝てください…今日は殿下に方々との顔合わせがあるんですから…顔合わせの最中に寝られては王家の威信に関わります…」


「そうだったか!顔合わせは今日だったか。てっきり顔合わせは出立の日だと思っていた」


「はぁ…」


「宝具を頼む!」


 殿下はボーガンを疲れきった執事に渡そうとする。


「は、はぁ…もう…」


 執事はそのボーガンがおいそれと触っていい物ではないこと知っていた為にため息をついてしまった。


魔弓 トリニティ・ボウガン

レア度 英雄級ヒロイッククラス

攻撃力300,000

耐久力300

重さ 30

効果:木材の矢は使用不可。

「炎魔法 ファイヤアロー」(30/30)

「毒魔法 ポイズンアロー」(30/30)

「聖魔法 ホーリーアロー」(30/30)

「炎魔法 ボルーケノアロー」(1/1)

「毒闇魔法 デンジャーアロー」(1/1)

「神聖魔法 ゴットアロー」(1/1)


「宝具を一臣下に…いえ何でもありません…私が宝物庫にお戻し致します…」


 執事は注意しようとするが、やはり諦めてボーガンを受け取った。


 何も考えていない殿下は執事がボーガンを片付けてくれることに満足する。


「うむ、頼む」


氏名 ケマナ・ドルンディ・ナーニャ

所属 ナーニャ王国 第一王子

レベル20

第一職業 勇者

第二職業 剣使い

第三職業 水魔法使い

称号「馬鹿と天才は紙一重」

「宝の持ち腐れ」「残念な第一王子」「冥弓の勇者」

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