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異世界再生神話〜神は万能ではない〜  作者: 犬星梟太
第四章 神と王の双炎編

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第33話: 漏電

(雷の丘)


ボロボロにななった服を着た雷の民の女性が森の中でウロついていた。

この女性は以前にホノカが雷の丘に来たときにユピテルの隣にいた女性だ。


女性は連絡用と思われる魔導具を手にしていた。


「どうして連絡つかないの…」


女性は外部にいる何者かに連絡しようとしているが魔導具が反応しない。


「早く来て、こんな所から私を解放してよ」


女性は雷の丘から抜けたがっている。


「リーケ」


ビク


女性は名前を呼ばれると魔導具を隠す。


「とうとう尻尾をだしたね」


リーケと呼ばれた女性の眼前にはユピテルと他の雷の民が集まっていた。


リーケーは振り返って逃げようとするが、既に周りを包囲されていた。


「これは違うんです!」

リーケは逃げるのに失敗して、今更言い訳を始めた。


「外から助…」


バゴーン


リーケの目の前に雷が落ち、落雷が起こった場所は土が抉れていた。


「くだらない言い訳を続けるなら、今度はあんたに落とすよ」


リーケのユピテルの圧に気圧されて、後退る。


「ぜ、全部お見通しってわけね…」

リーケは強がろうするが、声は震えていた。


「みんな私の話を聞いて!

私を支援してくれる人は凄いのよ!

見てこれ!」


リーケーは懐から小さな麻袋を取り出して、その口を開き中身の宝石を一族の者に見せる。


「私のことを助けてくれたらみんなにも同じ報酬を貰えるように取次いであげる!

そうすれば古臭い掟から解放されて、こんな田舎で暮らさなくていいの!

出ていこうとしても、そこのババアに消されなくて済む!

外の世界はすごいのよ!

今まで見たことないものを食べられるし!

好きな男、女も抱き放題!

好きな所で好きな事ができるの!」


「「…」」

リーケの話を聞いた一族の者達はリーケに憐れみの目を向け只々黙っていた。


「はぁ…そもそもお前の言うような掟はない…

そんなに此処が嫌なら出て行きばよかったものを…」


「そんなこと言って…外に出ようとした父さんと母さんを掟に従って殺したくせに!」


リーケは犯人を突き止めたようにユピテルに指を差す。


「…あぁ、私はお前の父親を殺した…」

ユピテルはあっさりとリーケの父親を殺した事を認めた。


しかし雷の民は一切動じない。


リーケはそれに気づかず話を続けようとする。

「ほらみんな聞いた…」


ユピテルがそれを遮る。

「だがお前の母親を殺したのはお前の父親だ」


「え?」

リーケはユピテルの話が聞こえていなかった。


「アイツはお前の母親も唆そうとした…だが…お前の母親はそれを拒み、その話を私に知らせようとした…

その結果、事が露見するのを恐れたお前の父親はお前の母親を殺したんだ」


「嘘だ!!!」


「いや、本当だ」

リーケを否定したのはユピテルの護衛男性ドンナーだった。


「お前の母親が死ぬ寸前に全て教えてくれた…」


「え、私知らない…そんなの私知らない…だって父さんは…」


リーケは父親に嘘の話をずっと聞かされ続けた。


「お前の母レーカに頼まれたんだ…お前には父の愚行を伝えないで欲しいと…すまない」

ドンナーは当時のことを思い出して涙を流してリーケに謝った。


「謝るな」

ユピテルはドンナーに謝罪を取り消させた。


「リーケ、お前は真実を知らなかったとしても許されない罪を犯し過ぎた」


バチバチ


ユピテルの身体から雷電が漏れ出す。


「お前は欲望に駆られ、村に敵を招き入れ、子供達の誘拐を手引き、終いには氷神の復活…

そして嘘と皆の不安を焚き付けて、私のひ孫を悪者にしようとした…

一族の長として、そして一人の親としてお前を裁く」

ユピテルは白き眼光でリーケを睨みつける。


リーケの父親は妻を殺して氷神の封印の場所への案内をした。

そしてリーケは子供の誘拐の手引き、それがイズモのおかげで失敗に終わるとイズモの力の危険性やイズモの母親が外で悪い奴らと通じていて、その関係がイズモまで続いていると嘘の話でイズモへの不安を扇動していた。


そんな罪人リーケは怒りで身を震わせていた。


「親として?自分の家族ばっかり特別扱いして、娘を他国にやったり!

孫には外の人間と結婚させて、ひ孫を英雄にしようとしてる!

それでも長かよ!!!」


「特別?」


バチバチ


ユピテルから漏れ出す雷電の出力が上がっていく。


「家族が特別なのは当たり前だ。

家族が良い事をしたら家族として誉めるし、長として讃える。

だが、家族が悪事を働けば家族として怒るし、長として裁く。

そこに全く手頃がない…とは言わない…しかし私は…」


バチバチバチ


先程までより激しく、更に出力を上げた。


「見聞を広めたいと言った者を外に出したときも!

冒険者に憧れた者を外に出したときも!

外の者と結婚して外に出したときも!

私は長として忠告や助言をしても、その者達の歩みを止めたい事はない!

その者達を見送ってきた!」


バチ、バチ


ユピテルから漏れ出る雷電が飛び散り、草木や岩、地面を削っていく。


「リーケ…今の話は昔話ではない…

お前と同じ世代や下の世代の話だ…

何故お前がこのことを知らないと思う?」


ユピテルの表情は怒りに染まり、リーケだけでなくこの場にいる全員が後退りをしてしまう。


リーケは後退りをするも同じく顔を怒りで歪ませ何も言おうとはしない。


「お前は自分の事しか考えていなかった…自分の話しかしなかった…

他の話を聞かなかった…

終いには己が為に他から大切なものを奪おうとした…

愚かな父と同じように…」


リーケはユピテルの最後に一言で怒り自暴自棄になり、ユピテルに襲いかかる。

「死ねぇ!!!!!!」


「雷魔法 鳴伏雷法術」


ユピテルは黒雷の蛇をリーケに放つ。


バチン


リーケーはユピテルの雷により焼け焦げになる。


「わた…じ…ゆ…ぅ…に…な……かった」


生きているのが不思議なほど丸焦げになったリーケからは無知故の願望が溢れ落ちた。


「お前は見ようとしなかった…

知ろうとしなかった…

お前を捕らえていたのは一族ではない、どうしようもない父親のどうでもいい怨念だよ…」


リーケはユピテルの言葉を聞くと涙を流し身体が灰となって崩れ落ちていく。


雷の民は一族から裏切り者が出たことにより、平然とした態度をしているがかなり重い空気を纏って村へと戻っていく。


そんな彼らの歩む道に強い光が差し込む。


「雲が…雷が…晴れた」

雷の民の青年から声が漏れた。


ユピテル達、雷の民は空に燦々と煌めく黄金の太陽を見つめる。


(「これをあの若き神が…?

正しき神と悪しき神…両方の力を持ち合わせる、幼く、若き神…」)


ユピテルは黄金の太陽に向かって、拝み初めた。

数人は黄金の太陽に魅入ってばかりだが、他はユピテルの行動を真似て拝み始める。


(「若き神よ…イズモを導いてあげてください…」)






ユピテルは拝むの止めて太陽を見つめる。


(「イズモ…若き神を護るのですよ…」)

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