第1話:氷の大陸へ
長い間お休みして大変申し訳ございません。
12月から2月は只々サボって漫画やラノベ、ゲームをしていました。
ホノカは現在海の上で浮かんでいた。
「ぐはっ…貴様…よくも使徒である我輩を足蹴に…」
「黙れ、質問したことだけに答えろ」
ホノカは魚人族である第10階位海溝王ベルジドンと激戦を繰り広げた後だった。
「…誰が答えるか…」
ベキ
ホノカはまだ抵抗しようとしたベルジドンの腕を踏んで折る。
「ツ!!」
ベルジドンは痛みに耐える。
「もう一度聞いてやる…消えた人達は何処だ?」
「消えた奴?は、我輩が下等種共をわざわざ研究材料にしてるとでも思ったか?
襲った船の後なんて知るわけないだろ!」
「…」
グシャ
「グウウウウウ」
ホノカは減らず口のベルジドンの折れた腕を踏む。
「次の質問だ…氷の大陸の教団のことを教えろ」
「…」
「知らないのか?」
「…」
「はぁ、わかったお前にもう要はない…
雷神法術 神火鳴雷」
ホノカの手から電撃が走る。
「よ…」
バアアアアアン
電撃がベルジドンに触れると白い炎に包まれ残っていた鎧ごと吹き飛ばされる。
「こいつは第10階位とか言ってたな…上の階位の事は知らないのか?」
ホノカは氷の大陸に行くために船に乗っていたところをベルジドン達に襲撃されたのだった。
本来ホノカは船なんかに乗らなくていいのだが…
(三日程前)
ホノカはペンドラゴン王宮でオーレン達と話していた。
「無事イグラシアと国交を結ぶ事ができた」
「彼方からほぼ属国になるような申し出でしたからね。断る理由は少しありましたがそれ以上のいい話もありましたからね。」
イグラシアは自らの国の何割かの利権を渡す替わりに人材の派遣を要請してきた。
ホノカが再起不能にした貴族達の代わりを欲しっての申し出だった。
「いい話?」
「あぁ派遣する者達の見聞を広めるのは勿論、イグラシアとの同盟に参加した事で他の数国も参加することにもなったんだ」
「もっとありますけどね」
「わかってるよ…」
ブレンはホノカへの説明が足りない事をワザと指摘していた。
「…」
ホノカは二人を見つめる。
「どうしたんだい?」
「い、いやなんでもない…ない」
「そうか良かった」
(「食わせすぎたか?」)
ホノカは変わり果てたしまったオーレン達を気まずそうに見つめる。
ポヨーン
二人はこの前の晩餐会で少し…いやだいぶ肥えていた。
オーレンはそれに気づいていない。
「そうだ!ホノカに合わせたい方々がいるんだ。」
「どんなやつだ?」
「会ってからのお楽しみだよ!」
オーレンは珍しく浮き足だっていた。
「こちらへ」
ホノカはブレンに案内され別の場所に向かう。
「ここで暫しお待ちを」
ホノカが案内さた場所は王族が接待する為の場所だ。
オーレンが扉を開く。
「お待たせした!」
部屋にいた二人はオーレンが入ると立ち上がる。
立っちあがった二人とは青獣国シャンバラ国王サファイアホーンとユラメイ王国女王ボートリア4世だった。
サファイアホーンは鹿の獣人族でボートリアルは人族だ。
「お二人とも君に会いたくて遠路遥々やってきたんだ」
両国とも光の大陸の沿岸部に属していて、青獣国シャンバラは侯爵領が、ユラメイ王国は王都が海に面している。
二人は互いに睨むように目を合わせるとサファイアホーンが前に出て話始める。
「私は青獣国シャンバラの国王サファイアホーンだ。」
サファイアホーンが挨拶を終えると今度はボートリアが前に出る。
「私はユラメイ王国、女王ボートリア四世です。」
二人はホノカに対して笑いかけているが、ホノカは若干引き、オーレンは気まずく誤魔化すように笑っている。
「ふ、二人とも立ち話もなんですから座って話しましょう…」
「あぁ、そうさせてもらうよ」
「ええ、そうさせてもらいます」
二人は食い気味かつほぼ同時に返事を返す。
そして二人は再び睨み合う。
「ホノカも座って」
「お、おう…」
ホノカはオーレンに座るように促されるが、正直この場から去りたいと思っていた。
ホノカが座るな否や。
「改めまして自己紹介させていただきます。私はユラメイ王国の女王ボートリア四世です。今日はペンドラゴンの英雄『黒刀』にお会いできて光栄でございます」
ボートリアは先程サファイアホーンに自分より先に挨拶がされたのが気に食わなかったため、挨拶をやり直す。
サファイアホーンはそんなボートリアを睨みつけているが、ホノカもボートリアの護衛から睨まれていた。
「どうも、それでお二方は何故に俺に何の用ですか?」
ホノカはこれ以上場の空気が悪くならないように話を進める。
「そ…」「それは私から説明しよう!」
サファイアホーンはボートリアの言葉を掻き消すくらい大きな声で話し始める。
「我がシャンバラとユラメイは同じ問題に直面していてね。
『黒刀』殿、我々の国がどういう国か知っているかい?」
「一様…青獣国シャンバラは青き聖獣ペリュトンをテイムした一人の獣人が高位悪魔であり、異名持ちでもある悪魔、『双子座を割く者』を倒した事により建国された英雄の国だ。
ユラメイ王国は元はただの辺境伯領だったが、初代女王になるボートリア一世が絶世の美女だったこともあり、自国の王族は勿論、他国、他大陸の王族を魅惑し、その全員を夫にして自身が女王として王国を築き上げた国だ」
ホノカは自身のゲームの知識とこの世界の知識を照らし合わせながら話した。
しかしユラメイ王国の話でボートリアは少し不服そうだった。
なのでホノカは…
「そして初代国王の頃から夫を王直下の騎士隊にしていて、初代国王は自身の国を残すために自身の後を継ぐ者は最も強く、最も美しい女性でなければならない、その教えの通り夫はA級並の強さと類い稀ない知識、不屈の精神を持ち、
ユラメイ王国の女王はS級並の強さと夫以上の知識を持つ強国…かな?」
ホノカの補足に満足したのかボートリア笑顔に見えるが…
「よくご存知ですね。我が国家の秘密を…」
ボートリアから笑顔が消える。
「!?」
「私の夫が複数にいることは周知の事実ですが、夫が私直下の騎士団や私がS級冒険者ほどの力があるのを知っているのはそこの堅物と知らない振りをしている狸君くらいの筈よ」
ボートリアはサファイアホーンとブレンを睨み、怪訝な顔になってしまった。
オーレンは合わせた事は失敗したと言わんばかりの絶望した顔していた。
ホノカも前世の知識をひけらかしてしまった事を焦っていた。
ここでホノカを救ったのはサファイアホーンだった。
「秘密にはしていてもあれだけ強い男や賢き男を添い遂げているんだ。英雄殿じゃなくても知恵があるなら簡単に推測出来るだろうに」
サファイアホーンはホノカを助けると同時にボートリアに嫌味をぶつける。
「…」
ボートリアはサファイアホーンを無視する。
話が区切れたことにホノカ達は安心した。
サファイアホーンは脱線させていまた話を自ら戻し始める。
「話を戻すが先程言った通りはユラメイとシャンバラは同じ問題に直面していてね…
光の大陸から出発する船がある海域に入ると目的地に着く事なく消息不明になるのだよ。悪天候でもないのに…
更にはその海域を通り光の大陸に向かう船も消息を絶つ事態に、シャンバラもユラメイも独自に調べたが何も掴めず、海域を変えれればいいのだがそうした場合今まで以上の人員、経費を増やさなければならないし慣れていない海域を使用したくないのだよ…
そこで是非君にこの事件を解決してほしいんだ…」
ホノカは気まずそうな顔で返答する。
「そうか…でも悪いが俺にはやらなければならない事があるんだ…」
「そうですか…」
「我々の依頼を断るのですか?」
サファイアホーンは諦めようとするが、ボートリアは納得出来ずにいた。
「貴方の答えでペンドラゴンとの同盟も…」
ドン
ボートリアの言葉を遮ったのはオーレンだった。
「ボートリア女王…外交を使って彼を脅すことは絶対許しません。
彼の邪魔をするというのならユラメイと同盟を破棄させていただく、
これはペンドラゴン全国民の総意と思っていただいて構わない。」
オーレンは毅然とした態度かつ王として風格でボートリアに警告する。
「私もオーレン国王に同意する。本来自分達で解決しなければならない事を依頼したのだ…それを断られて脅す事はあってはならない…」
ボートリアはサファイアホーンを睨む。
「貴方だって30年らいの友を失い、その原因を突き止めるために更に二人の優秀な部下を失ったのに何故此処で引き退がる事が出来るんですか!?」
ボートリアはサファイアホーンの冷静さに不快感を示し怒りを顕にする。
ボートリアも何を隠そうと近衛騎士である旦那を失い動揺していた。
「それとこれは別だ…お前も見ればわかるだろう?オーレン国王にとって黒刀殿は大切な友なんだ。
何が起こるかわからない場所に優秀な部下を…友を…そして家族を送ったのは我々だ…
私は彼らにそれを強要できない…」
ボートリアは下唇を噛み押し黙る。
ボートリアは椅子に座り、俯きながら話始める。
「彼しかいないんですよ…?貴方も此処来たということはX級冒険者に断られたのでしょう?」
「あぁ…それでもだ…」
ボートリアはサファイアホーンの言葉に泣くことしか出来なかった。
「すまない…黒刀殿」
「いいんだ…」
「因みにやらないといけない事を聞いてもいいかい?」
サファイアホーンは自身とボートリアを諦めさせるためにホノカに質問する。
ホノカは少し悩むが泣いて騎士に介抱されているボートリアを見て、話す事にした。
「…俺には生き別れた弟がいる。ある連中に連れていかれて氷の大陸にいるって手掛かりを掴んだんだ」
「氷の…」「「大陸?」」
サファイアホーンとボートリアは氷の大陸に反応する。
「氷の大陸に行くのかい?」
「あぁ…」
「ならばもう一度お願いさせてくれないかい?」
「…」
「先程詳しく説明しなかったが、船が消える海域が丁度氷の大陸へ向かう航路なんだ…」
「成る程…」
ホノカは彼らがこの後言うことを察した。
「旅費は全て私がもつし報酬は君が望むだけ渡そうだから…どうか…我々の調査に協力してくれないだろうか?」
サファイアホーンはホノカに懇願し始める。
「私も報酬をお支払いいたしますし、協力も惜しみません!」
ボートリアもホノカに切実に懇願した。
…
こうしてホノカは2人の思いに心動かされ、2人の依頼を受けたのだった。
(現在)
ホノカは海面から飛び去り船に戻る。
(「話を聞いたときに教団が関わっている可能性を疑ったが…まさか本当に教団の所為だったとは…」)
ホノカは教団が関わっていると思ったが、ユーガを第一優先にしたため断っていた。
ホノカが考え事をしている船の船長が話かけてきた。
「いんやーおめさん強いんだなあ」
船長はホノカの戦いぶりに興奮していた。
「これでもS級冒険者ですから、あれくらいできないとやっていけますんよ」
ホノカは船長の興奮を抑える為にも謙虚に振る舞うが…
一人の少年が否定する。
「いやあんなのS級以上だよ。X級も目じゃないよ」
「余計な事言うねよ…リント」
なんとリントがホノカに追てきていた。
しかし正式には違う。
リントの祖父が自身の間諜にホノカの足取りを調べてさせて、氷の大陸に向かう事がわかるとリントに社会勉強しにいけと無理矢理シャンバラの船に入船させていた。
ホノカはリントが入船していて驚き、降りるよう進めるが、リントは祖父の言いつけを文句を言いながら守り船から降りる事を拒んだ。
「親戚の常識を捻じ曲げられたくないんだよ」
船長とリントの祖父はリントの母方が親戚だった。
ホノカは既にこの事を聞いていた。
「そうかよ…」
ホノカはリントに口で勝てそうになかったので諦めた。
「船長さん…あとはどれくらいで着きそうですか?」
「おめさんがあのヘンテコな奴らを倒すてくれたおかげで元の航路使えっから…飛ばしても…んー、はやくとも2、3日ぐらいかっかなー」
「そうですか。ありがとうございます」
「暫くは一緒だね」
リントは目は笑っていないがホノカに笑顔を見せる。
「…(転移して俺だけ行くか…いやコイツをどっかに飛ばすのもありだな)」
ホノカは心の中でリント置き去りを計画を立てていた。
因みにポーラはついて来ているが、船酔いしたトン三郎の看病して上げていた。
「じゃあそろそろ食事をしましょうか」
リントは船長に食事を促す。
「んだな、おらが捌いた魚を食わせてやっからな」
「はぁ…」
ホノカはリントとの船生活を三日間頑張るのだった。
ベルジドンの研究内容:錬金による生命創造
ポーラの船旅三日間の食事
鮪 一頭半
鮭 二匹
イカ 五杯
海老 30尾
米 十合
大根の味噌汁 30杯
白菜の鍋 2鍋
ワイバーンの肉 1kg
オークの肉 10kg
リントの家族への愚痴 120回
リントのホノカへの注意(と嫌味)30回
ホノカのリントへの殺意8回




