第37話:激情の神
ホノカは寮に戻り、ショウリとマイナに戻った理由を説明していた。
「ヴィクトル様!どうしたのですか?まだ授業が残っている筈ですが?…はっ!?まさか嫌がらせを…」
ショウリの灰色の脳細胞はホノカが何の理由もなく授業をサボろうとする事を一瞬で思い出しが、予想は斜め上にいってしまう。
ショウリの余計な発想の所為でマイナも更に不安そうな顔でホノカを見つめる。
「安心しろ、そんな事はされていない」
ホノカはすぐに否定する。
「だが教師に寮で待機しているように言われたらしい…」
「何方がその事をお教えに?」
マイナはホノカを心配して質問する。
「コルナ嬢だ」
「成る程わかりました。」
マイナは情報源がコルナで安心した。
「悪いが俺は何が起こっている調べたい。お前達はコルナ嬢のところに護衛しに行ってくれないか?」
「わ、「わかりました」」
二人はホノカの指示に従う。
「念のため装備は一式揃えておけ」
「「はい」」
「続けて悪いが俺はもう出る」
「かしこまりました。我々も身支度がありますので…」
「あぁ」
ホノカは瞬時に姿を消し去る。
「じゃあ身支度を済ませますか」
「はい!」
二人は装備を整え始める。
◇
(ホノカ視点)
「ちっ…」
久しぶりに授業に参加したはいいけど、グエルの隙は窺えなかった…
しかもなんか起きてみたいだ。
改革派の奴らか…もしかしたら教団か…
まぁ、どっちが動いていようとも潰すだけだ。
いた。グエルだ。
会議してに入ったな。
“聞き耳”スキルを使うか。
「おい!問題の生徒はまだ見つからないのか?」
「問題を起こされる前に早く見つけないと戦争になりかねないぞ!?」
戦争?穏やかじゃないな…
「此処で話していても無意味だ。我々全員で探しましょう」
「確かにそうですね」
「あぁ…勿論そのつもりだ…」
グエルの言葉で教師の意見が一瞬で纏まったみたいだな…
コイツが教団の関係者じゃなかったら喜べたんだけどな…
「そういえば改革派の言っているアレはどこまで本当なのでしょうか?」
アレ?
「嘘に決まっているだろ!」
「改革派は問題を起こし王族に無理矢理責任を取らせるつもりなんですよ」
「そ…そうですよね…」
詳しくわからないな、誰か聞いてくれないかな…
「でもアレが…噂が本当なら私はコルナ嬢を助けたくありません…」
「なっ!?、滅多な事を言うんじゃない!!」
何だ噂って?
「でも彼女がアイツの娘かもしれないんですよ!?あの『戦火』」
!?
バシ
「教師が噂程度に惑わされるんじゃない!!」
何?どういう事だ?
情報が漏れたけど間違った伝わったのか?
バン
「大変です!」
一人の教師が会議に飛び込んで来た。
「数人の生徒が実家の兵を連れてコルナ嬢を襲いに来ています!」
「「「「!?」」」」
!?
不味い!
早くコルナ嬢のところに行かないと!
“索敵”
敵の反応が運動上で円になりかけている…
手遅れになる前に早くいくぞ!
“身体強化・極”
バコン、バコ、バコ…
廊下や地面が削れるのなんて気にしてられるか。
「着いた…」
◇
運動場に着いたホノカの目の前にはコルナを庇っているマイナとボロボロになっても二人を守るショウリ…
そして謂れのないの事で襲われたコルナの泣き顔が焼き付けていた。
改革派の生徒やそれに焚き付けられた生徒が自身の私兵を呼びコルナ達を襲っていた。
ショウリだけでなくコルナの護衛の騎士も傷を負い倒れていた。
≪ジ…ジ…≫
「コイツもペンドラゴンの生徒だな」
「ならコイツも対象だろう」
騎士達は話しながらホノカへ近づく。
騎士はホノカの胸ぐらを掴もうする…
≪…により神、うをきょ…動…≫
ポ
しかし掴もうとした腕は消失した。
「「は?」」
「「え?」」
その場にいた騎士と生徒は何が起こったか分からずにいた。
「ぎぁあああああああああ」
騎士は腕が消えた事により、痛みではなく恐怖から叫びだすが…
「黙れ」
ポ
今度は騎士の口が消失した。
「俺の警告が甘かったか…でもそれがお前らの選んだ道だ…」
彼らに告げたのホノカの眼はいつもと違い、左目は黒く何かが蠢き、右目は薄く光っていた。
「何をしている!さっさと殺せ!」
リーダー格の生徒が騎士達に命令を出す。
「「「え?」」」
騎士や生徒は本来の目的と違う事に戸惑う。
「死傷者を出されて黙っていられるか!やれ!」
リーダー格の生徒は自分達のやった事を棚に上げて再び命令する。
「「うおおおおおお!」」
殆ど騎士達は後戻りが出来ないと思いホノカに剣で切りかかる。
更に二人が矢を弾く。
パシ
ホノカは2本の矢を右手で目の前にいた騎士の剣を左手で掴む。
「あ、え?」
左手の剣が弓へと創り変わる。
騎士は何が起こってるか分からずに慌てる。
「…」
ホノカは無言で矢を弾き、弾いてきた二人に矢を返す。
二人の肩が削り取れ二人は激痛から転げ回る。
「ヒィイイイイイイイ」
生徒数人が逃げ出そうとするが…
「逃すか」
ホノカは名もない法術を使い結界を張る。
「何だよこれ!」
生徒達は白い結界を殴るが外に出れることは出来ない。
(一方教師達…)
教師達は装備を整えて、暴徒化した生徒達の居場所を突き止めた教師の知らせを待っていた。
「改革派に属していない教師はこれだけか?」
ジャガーの教師は集まった人数に不満に思う。
「他の先生方は改革派の教師や生徒を牽制されていて、これ以上動員出来ません。それに“戦火”に恨みを持つ教師も少なくありませんから…」
「彼女の父親はガルルグ・サンダーボルトだ!
くだらない情報に惑わされおって!馬鹿どもが…」
狼の教師はガルルグと親交があり、この事でかなり苛立っていた。
「こんな事を話している暇はありません…暴走した生徒達を止めに行きますよ」
「はい」「勿論だ!」
グエルは話しを切り上げコルナ達を助けに向かおうとする。
生徒を見つけていた教師が走って此方に来た。
「生徒と兵は今どこに?」
「マズイです!既にコルナ嬢を襲い、コルナ嬢は逃げ出そうとしたのですが、運動場に誘い込まれコルナ嬢の護衛と改革派の私兵が戦闘を起こしています!」
「!?、いますぐ向かいましょう」
グエルが先陣になり、コルナを助けに向かう。
教師達は運動場に着くと丁度数人の生徒が逃げようとしていた。
「彼らです」
「確保しましょう」
「はい」
教師が生徒に近づき捕まえようとするが、目の前に謎の結界がはられ拒まれる。
「何だこれは…」
教師は結界に触れるが何も起こらない。
グエルも結界に触れる。
「今すぐサンバ殿を呼んでこい」ボソ
「え?」
「今すぐにサンバを呼んでこい!」
グエルは声を荒げて指示してしまう。
「は、はい」
教師は魔法の知識に優れたザンバという教師を連れ来る為此処から離れる。
(再び結界の中)
「今すぐ此処から出せ!」
リーダー格の生徒は状況を理解出来ずにホノカに指図する。
「はぁ…お前らの傲慢さにはうんざろだ…」
ため息を吐くホノカの身体には薄らと怒りのオーラが漏れ出していた。
「俺は誰だか知って…」
リーダー格の生徒は喚き続けるが、ホノカには聞こえていなかった。
(「そうだった…」)
ホノカは何かを思い出す。
「おい!聞いているのか!?」
ホノカは無視してコルナの方へ目を向ける。
「そうだ、あいつらを…」
リーダー格の生徒は何かを思いつく。
ホノカはそんな事を他所にコルナ達の方へ手をかざす。
たちまちコルナ達は結界の外へと転移する。
「な、どうして!」
リーダー格の生徒は何が起こった理解出来ずに叫ぶ。
「次はお前ら…いや…」
ホノカは何かを考え直す。
「お前らの中でクーガ・トライーガ殿に身内を殺された者は前に出ろ」
「…」
殆どの者は前に出る事は無かった。
しかし一人の生徒が震えながら前に出る。
狸の少年だった。
少年は唇を震わせながら話出す。
「俺の父は…父は!イグラシア第23師団 団長 ポンケ・ラーコだ!“戦火”を英雄視するお前らを俺は蔑視するぅ!はぁ…はぁ…」
少年は決死の覚悟で思いを叫ぶ。
そうすると半数の生徒が泣きながら震えながら前に出る。
しかし彼らは恐怖から声が出ない。
「そうか…お前らの思う気持ちは何も間違いじゃない。
トライーガ殿のおかげで俺たちは安心して暮らせた。
ペンドラゴンに攻める国の兵を殺すことで平和を…
ペンドラゴンが攻める国の兵を殺す事で豊富を得て俺たちは暮らしていた。
最近でこそ戦争が亡くなり和平を結ぶ国が多くなったが、
少し前では何処の国もそうやって暮らし来た。
戦争は政治だけど、そこに人の気持ちが入らないわけがない。
だから俺らを恨むのは仕方ない止めるつもりもない…だが俺の仲間を傷つければ俺は仲間を守るために止めるし、最悪殺す。俺たちの親がやってきた様に」
最後にホノカは前に出た生徒達を睨みながら語る。
「それと彼女はトライーガ殿の娘じゃない…お前らも貴族ならよくわかるはずだ。不義理の子供が王族の血筋を名乗れるわけないだろ…」
この言葉で殆ど生徒が下を向く。
「イグラシアがこの事を問題するか分からないが、お前らはこの国の法で裁いてもらう…」
「何をしているやれ!油断している今だ!やれ!」
リーダー格の生徒は諦めずに命令して数人の兵がホノカに切りかかるが、
「はぁ…」
ホノカは左手を振りかざす。
パ
ホノカに切りかかった兵のみが消滅した。
「だけど残りのお前らは…」
(フリール邸)
ギギイルはイラつきながらも結果を楽しみに待っていた。
「結果がどうであれ、イグラシアとペンドラゴンは戦争だ…
そうして騎士や兵士が減っている間に王を打てば…私が…王に…」
「なる事はない」
「だ、誰…どうなってるぅ!?」
ギギイルは目の前の光景に壮絶する。
ホノカは何個かの生首を持って現れた。
「俺の事はどうでもいい…問題はお前だよ…」
ホノカは一つの生首を持ち上げる。
「お前はこの改革派のNo.2のガキを使って、英雄を恨みを持つ生徒を焚き付けて、ペンドラゴンとイグラシアを戦争させようとした事全部聞いたよ」
「?、ひっ…」
ホノカが持っていた生首は生きていた。
「フリール公…助けて…」
「ヒィィィヤアアアアアア?!!」
ギギイルは恐怖から後ろに転ぶ。
「お前らは親を慕う子供達の心を利用した。
謂れのない事で少女を傷つけた。
大人の戦いに子供を巻き込んだ。
その報いは受けて貰う」
ホノカはギギイルを見下しながら近づく。
「ぎぁああああああああああああああ」
こうしてイグラシアの改革派は壊滅した。
ベツニ・イヒトゥジナイ 教師
種族 人族
親をクーガ(の私兵)に殺された一人。
担当 戦争の歴史(曲解あり)
研究 戦争の戦術
ビンタされた人。
フーン・ラーコ 生徒
種族 獣人族(狸)
親をクーガに殺された一人。
隊長の息子。
一番最初に前で出た子。
ザンバ・スキャン 教師
種族 エルフ族
別国の貴族の家系
「樹」の大陸出身
担当 魔法Ⅲ
研究 なし(強いから講師に選ばれた)
ホノカは改革派の親達を生首にしました。(両親かは場合による)
そして子供達の親との記憶を消し去りました。
コルナを袋叩きにしようとした人の割合
クーガに関係者を殺された人6割
改革派4割
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