3 魔の地の果ての師弟
こう見ると「...」多いですね、でも好きなんでガンガン入れてくつもりです。今回はちょっとストーリー進みますね、主人公の過去もちょこっと出てます。
俺と師匠が出会ってはや4年、俺と師匠は変わらないやり取りをしていた。
「おーい用意できたぞー」
「今行きまーす」
この慣れた日常もいつか終わるのだと思うと少し目尻に涙が...出てこないな、なぜって?
「師匠、またトーストだけですか?」
「おいルイ、いくら僕の愛弟子とはいえトーストの悪口は許さないよ」
「どう考えても師匠のこと言ってるんですけどね?!」
師匠は家事が本当に苦手...というか全くできない。まぁ家事以外は他の追随を許さないらしい、本人曰くだが。
「なぁルイー今日は一緒に寝ても...」
「ダメに決まっているでしょう」
しかもこの人スキンシップが激しすぎる、今まで人と親しくなった経験がないからしょうがないらしい、本人曰くだが。こんな日々を4年もすごした自分を褒め讃えたい...いや褒め讃えている。
「で、話ってなんですか?」
師匠から急に大事な話があると言われたのだ。師匠のことだから、多分くだらない内容だろうと思う。
「ルイは今年で12歳だ、ということは来年は13歳だな?」
「は?まぁそうですけど」
俺は死んだ時には15歳だったが、こっちに来た時には8歳だった。わかったのは師匠のおかげだが、今の師匠を見ると信用できるかどうか...怪しいな。
「それでだ。この国には13歳から入学できる、学園があるというのは知ってるだろう?」
「もちろん知っていますが、その時に師匠が『僕がいるから学園なんて必要ないよね!行かないよね?!行かないで!』って言ってましたよね?」
俺も13歳の話をされた時、その話が頭をよぎったが、あの時の師匠があまりにも必死だったから違うと思ってたんだが。
「その時の話を掘り返されると恥ずかしいのだが...まぁいい。確かに僕はそう言ったけどこの4年間君のそばにいて気づいたんだ。ルイの成長のためには僕以外の助けも必要だとね、簡単な話ルイには学校に行き、友達を作り、負ける経験...は十分か、勝つ経験をして欲しいんだ」
勝ち負けの経験はともかく、友達を作る...か。小学校にはいた気がするが、基本的に俺は大人数とは関わりたくない派なのだ。
「友達を作るですか」
「そう、僕とルイは確かに切っても切れない親しい間柄だが、普通の友達というのも作って欲しいんだ。学ぶことがたくさんあると思うからね?それにルイは僕に勝つどころか片腕でねじ伏せられてるだろう?たまには勝ってみたいんじゃないかい?」
「う、うるさいですね。最初は腕さえ使ってくれなかったんですから進歩しているでしょう?確かに勝ってみたくないといえば嘘になりますけど...」
師匠の話は事実だし、正直勝ってみたい気持ちもある。だがどうしてもあの時の瞬間がフラッシュバックするのだ、あいつらの顔が。
「そんなに他人と関わるのが怖いかい?」
他人と関わるのが怖い。そうなのだろうか?そうなのかもしれない、なんせ関わらなければ普通に生きてただろうからな。
「そう、なのかもしれません」
「そうか...なら簡単だ、誰か他人と関わる経験を積めばいい」
他人と言ってもここには師匠しかいないし、この近くに人里がある訳でもない。
「そうは言っても師匠しかいないでしょう?」
そう言うと師匠はニヤリと笑った。この顔は何度見ても慣れない、いつもは忘れかけてる魔女のオーラが伝わってくるのだ。そして師匠は言う。
「僕の使い魔を紹介しよう、おいでノエル」
ノエルとは角の生えた猫の名前で師匠の使い魔だ。あの猫には角が生えてるとはいえ喋れるわけじゃない、また師匠はふざけているのだろうか。
「師匠ふざけてるんですか?たまにはまともな話を...」
「はい、なんでしょう?フルーラ様」
俺の言葉は突然遮られた。この声は師匠では無い、俺の知らない声だ。俺はゆっくりと振り返るとそこには...
「どうも、この姿でルイさんの前に出るのは初めてですね?『魔の地の魔女』グランの使い魔にして専属メイド、ノエルでございます」
真っ黒いメイド服に身を包んだメイド、ノエルさんがそこにはいた。
まぁこんな感じでフルーラも大事なことは真剣に話します。普段はへなちょこなので、その影響でルイもちょっと丸くなりました。
ノエル 「全部美味い」