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96「帰還そして旅立ちへ」

セスァレナの街へ戻ってきた。

ゾルックさんは仲間一族の元へ、帰還の報告をするために仲間を呼び集めていた。

私達はトゥラザト一族の皆さんから歓迎を受けている。


今夜は報告会を兼ねて、大きな酒場を借りきって帰還パーティーが開かれる事になった。

当然、パハジルさんも参加する。

新たに加わったトゥシァバ一族の人たちも参加すると言う。

この人達は面識無いけど、セスァレナの街の一員になれた感謝を述べたいそうだ。


そして、エルフのズンナ翁はまだ街に逗留していて、帰還の報を聞きつけ飛んで来た。

大きな酒場の人だかりの中、帰還した三人と声をかけようと進んでくる。


「ん? 彼は何者なのじゃ?」


ズンナ翁はフードの付いた黒いローブを着ている仮面の男の姿が目に入る。

魔術師の様でもあり、他の何かでもある様だ。

ズンナ翁の嗅覚に興味を惹かれるものがあったんだろう。

恐る恐る持ち語りかけてみる。


「あの、貴方様は? 儂はエルダーエルフのズンナと申す」


「お初にお目に掛かる、エルフの長老殿、儂はイモータルワイズマンと呼ばれるパハジルという者」


遠い昔、噂で聞いたイモータルワイズマンその人だ。

いつまでも噂のベールの向こうにいるはずの不死の賢者は実在した。

実在した噂の賢者が目の前にいて、ズンナ翁に声をかけている。

畏れとも感動ともいえる複雑な感情が湧き上がるエルダーエルフのズンナ翁。


「おお、貴方様が噂に聞くイモータルワイズマン殿!お初にお目に掛かりますじゃ」


吹き上がる感情に目を見開き感動に打ち震える。


二人は親交を深め始めたようだ。探求者同士気の合うものがあるようだ。


話題は進み、光のダンジョンを攻略した報告に皆の動揺が走る。

伝説のダンジョンが攻略された。

制覇したパーティーが街に帰還したのだ。

トゥラザト一族の団長ゾルックはダンジョン制覇したパーティーの一員。

皆は如何に危険なダンジョンだったかの話に驚愕し、制覇を誇らしいと感激した。





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全てが一段落した頃、シレラは街から少し離れた所にダンジョンを構えた。


ダンマスになって知った事がある。

引き継いだスキルは初期化されている。

ダンマスは一度誰かに手を引かれ、導かれなければダンジョンから出られない。

シレラはタリマとミモに手を引かれ、外に出る事が出来た。

思えば、タリマはシレラが最初に手を引いて外へ出たんだっけ。


ダンジョンの迷路デザインやトラップの選択・配置は

目の前に半透明な画像を見ながら、意識で操作する。

ダンマスは自分の創ったダンジョンの中で権能は発揮される。

他のダンマスの支配下じゃ権能は使えない。


そもそもダンジョンの役割は、トラップで冒険者を斃し、

その命のエネルギーを世界に還元していた。

世界は集めた命のエネルギーで恵みを齎す。


その循環を切らさないために、此処にダンジョンを構える事にした。

素行の悪い冒険者や盗賊の命を世界のエネルギーに捧げる事にした。


【神のお宝が、あのダンジョンに眠っている、何人も手を出してはいけない】


という噂を街の冒険者ギルドを使って流している。

噂に誘き寄せられた宜しくない連中からは容赦なく命を捧げて貰う。

残忍な事だと思うけど、命の循環の理を無視する事が出来ない。




ダンマスのシレラの部屋を守るガーディアンが入り口前に待ち構えている。


「今度はミモがシレラを助けるのであります」


盗賊たちがシレラやミモの前に届く事は殆ど無い。

大体トラップで皆全滅をするのだから。

ミモに用事が有る時は、一族の人が代わってくれる。


このダンジョンには、秘密の通路が設けてある。

毎日タリマが食事を届けに入る通用口。

ミモの交替もこの通用口を使う。

簡単に最短距離で行き来できなきゃね。





そんなシレラの有様に同情する人もいる。ミモの衆だ。


「気の毒になぁ。タリマさんを人に戻せたのに、自分が主になっちまうなんて」


「まったくだぜ、ダンジョンの中に縛られにゃならんなら、魔界の魔王でも縛っときゃ良いものをょ」


「そうだな、あいつならどうせ禄でもない事しかしないからな」


誰かが名案を出す。




提案を聞いたゾルックはシレラたちに相談してみた。


ダンジョンスキルを魔界の魔王に委譲して、魔王をダンジョンに閉じ込めよう。

そうすれば、シレラは元に戻れるのだろう?と。

やるならトゥラザト一族もトゥシァバ一族も協力をする。

魔界から脱出して来た者は皆、魔王の独裁に苦しんだ者ばかり。


但し魔王をダンマスに任命するには、シレラは一度死ななければならないという問題はある。

だが、そんな問題はパハジル氏という不死の賢者がいる。

彼なら蘇生も出来よう。

使いを出して協力を仰いだって良い。



シレラはその提案を受け入れた。


便利で有用な能力だけど、反面他者の命の代償を求められるスキル。

奪う命たちを世界の恵みに還元する、その犠牲者は盗賊ならばと、

自分を誤魔化して来たけど、心が痛まない訳は無い。




旅の支度をしつつ、数日が経った。

空の向こうから気球がやって来るのが見える。


「面白そうな事を考えたな。また儂に勝利の美酒を呑ませてくれよ」


協力を快諾してくれたパハジルさんは愉快そうに語る。

蘇生の事なら、不死の賢者に任せろと自信たっぷりだ。


「蘇生しても骸骨姿になるのは困るんですけど」


「そんな事にはならないから、安心せい」


パハジルさんは笑う。




こうしてシレラ・タリマ・ミモのパーティーはパハジルとゾルックを加え魔界へ旅立つ。

実はパハジルさんのゴンドラにはこれ以上乗れないんだよね。

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