表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/397

88「スルトヘイム」

シレラ達の船は無事に魔界のある大陸に到着した。

帰りの船の約束は無い。

魔界での旅がいつには終わるというスケジュールが立たないからだ。

それまで此処で船が停まっている事は出来ない。

そんな理由で、帰りには方法を考えなければならなかった。


魔界大陸の名はスルトヘイム。

スルトヘイムは大陸と言うほど広大な土地じゃないが、島と言うには広大すぎる。

それくらいの規模だった。

スルトヘイムの外周は3000m級の山岳に囲まれ、主要な陸地は盆地の中に在る。

もし航空写真でも見れるなら、クレーターと見えるかもしれない。

3000m級の山岳には火山だって混在する。

熱せられた大気は盆地の中で対流する。

そのため、肥沃な緑地帯というものは存在しない。

僅かに生える植物と岩肌が荒れ果てた世界は、正に魔界と呼ばれるに相応しい様相だ。

心なしか硫黄の匂いがする気がする。


スルトヘイムの入り口は、それほど広くない入り江の向こう。

山脈と山脈が織り成す渓谷の間に頑丈な門で隔離されていた。

しかし、門はだいぶ以前に破壊されたままになっている。

難民達はここから脱出したのだろう。


門の向こうは幸い馬車くらいは通れそうな幅があるが、路面状況はあまり良く無さそうだ。


ゾルックさんは言う。


「アシャンレニルの都は治安が崩壊していて危険だ。スルトヘイムを廻るなら邑々が良いだろう」


そういう提案で、私達は邑を目指す事にした。

邑は土塁壁を囲壁をめぐらし、周囲に氏族民共有の耕作地を展開している。

一般に言う村より規模が大きいらしいが、町というほどの規模でもない。

土塁壁を邑の周りにめぐらせていなければ、それだけ危険な土地だという事を現している。




四日ほど進んだ所にジョズナという邑があった。

壁は3mくらいの高さで邑を囲い、外敵から守っている。

残念ながら中の住人達からは、有益な情報は得られなかった。


久しぶりに保存食以外の物を食べようって話になったけど、

たいした植物が育たないから、肉が主な料理になる。

あまり調味料が普及していないから、美味しいとは思えなかった。

スルトヘイムでは、どこもこんな具合らしい。


人族の世界、アツィルト界と言うらしいけど、そちらに比べると大地は荒涼としている。

そんな地で暮らす彼等だから、食料は狩猟に頼っている所が多い。

狩りの道具は剣が殆どだったりするという、弓も罠も使わないらしい。

それくらい資材も少なかったりしている。


「それだから、魔族が闘争的と思われるのは無理も無いか」


邑の子供達は大きくなって狩りに参加するために、遊びは男女別無く剣の修行が中心になる。

私達のような外部の人が珍しくて、よく人に囲まれる。

子供達が剣戟遊びに誘って来るんだけど、私やタリマは駄目だな。

何せリザードマンの道場の子供にも勝てないんだから。

そういうのはゾルックさんとミモにお任せする。


「おお~、あのお姉ちゃんスゲー」


六刀流は魔族の間でも珍しいのかな、みな驚嘆している。

負けじとゾルックさんは伝家の宝刀の斬馬刀を振って見せている。

もう子供達から英雄扱いされまくって、なかなか終るに終われない。


翌日、私達は次の邑の情報を聞いて出発する事にした。

いつかは手掛かりが掴めるだろうと期待して。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ